第22話 ファーストコンタクト

同名国軍がゴブリンとの戦い《いくさ》を今始めようとしている。


「ショウさん、ここからなら安全に戦を見守る事ができますが」


「そうですね。ここなら安全だ」


確かに戦うのは騎士達で、その後ろで傷つく者達を見守る。

この世界はどちらかが負ける。

そして勝たなければならない。


「魔王様、準備できました」


「それじゃ行こう」


俺とアイナは馬に股がる。


「え!どこに行くのですか」


「いや、あのゴブリン達と話しをつけてこようと」


「ゴブリンと会話が成立しません。そんな事ができていたら争い等してません」


「そうかもね。だから話ししてくるよ」


俺はそう言い残し馬を走らせた。

残されたユミナさんは何か言いたそうな顔をしていた。


+ + + + + + + + + + + +


「けど本当にゴブリンと会話できるのか」


「契約しているゴブリンとは言葉が通じますが、野生の者達となると」


「やっぱり契約とか何かないと会話できないのか」


「そうですね。あとは魔力で会話か、魔道具等ありますが」


「まあ、ここからは出たとこ勝負だ」


俺たちは馬を走らせ、ゴブリン達を迎え撃つことにした。

兵士が待ち構える丘と目の前にある林の前、ゴブリン達は林を抜けてやって来るのだ。


「やべー、緊張してきた」


「何を言っているのですか、魔王様は」


「だってよ、俺たちは向こうがどんな集団なのかも知らないだぞ」


「相手はゴブリンですね」


「そのゴブリンはいきなり攻撃なんてされないよな」


「まあ、初対面ですからね」


「なんでさっきから心配になる事ばっか言うかな!」


「いや、なんでさっきから魔王が弱音ばっか言うかな」


「いやいや、俺初戦闘になるかもしれないんだぞ!あと今さっき素が出たぞ」


「それな事より魔王様、ゴブリン達がすぐ目の前に来ましたよ」


アイラが言ったとうりにゴブリン達が林から出てくる。


「さあ、ここからが勝負ですよ」


俺は覚悟を決める。


「ゴブリン達!話がある。この無駄な争いを今すぐやめるんだ!」


俺の言葉にゴブリン達の動きが止まる。


「おお、話しが通じるんだな」


「何とか話しができそうですね」


俺はアイラに頷く、その瞬間だった。


「キィー!」


ゴブリン達が攻撃をしてくる。


「おいおい、会話ができる雰囲気だったろ!」

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