第23話 戦闘と傷心

 ゴブリンとの戦闘。


「落ち着け!俺達は話しをしに来たんだ!」


 俺はゴブリン達の攻撃を避け、訴える。

 だか、ゴブリン達は武器を下ろさない。


「おお、魔王様彼らは攻撃する気みたいですね」


「だからってなんでアイラは離れた場所にいるんだ!」


「心配しないで下さい。馬は守ります」


「いや、俺も守ってくれよ!」


「何かあれば援護ぐらいはできるので」


「援護して!今すぐして!うぉ!?」


 ゴブリンの攻撃を避けながらアイラに訴えるも応援されるのみ。なんだこの部下、なんか最近部下の立ち位置じゃあないよな?

 部下を持つ上司ってこんな苦労するのか?

 そんな事を考えてるからか俺は躓いてしまった。

 隙を見せた獲物を狩るゴブリン。


「魔王様!」


 アイラの声が聞こえる。


 振り下ろされた刀がスローモーションで見える。


 馬の鳴き声が聞こえる。


 血飛沫が……。


「あれ?生きてる」


 俺は体を確認するも傷一つない。

 しかし、目の前のゴブリンの頭がなかった。


「間に合った」


 顔を向けると騎士がいた。

 刀にはゴブリンの血が。


「さあ、ゴブリンども根絶やしにしてやる。かかれ」

「「うぉー!」」


 騎士の掛け声で大勢の軍隊がゴブリン達を制圧していく。


「大丈夫ですか」


「えぇ、ありがとうございます」


 俺は騎士にお礼を言う。

 そして、騎士は俺を軽々と持ち上げ、格好はお姫様抱っこ。


「大事なお客様に怪我があってはなにません。さあこちらに」


 騎士はその格好のままアイラの場所まで連れてってくれた。

 大きな体に、筋肉がわかる。背も高く、顔はハンサムだろう。

 俺が乙女なら恋に落ちる音が聞こえる。


「魔王様大丈夫ですか!」


「おぉ、アイラ問題ない」


 駆け寄ってくるアイラに俺は言葉を発するのが精一杯。

 あと少し遅ければ、死。

 今感じる、生きてる。


「これが、戦場」


 生と死が繰り返す場所。

 俺は少し侮っていた。

 ゲームや漫画ならかっこ良く戦える主人公。俺は違った。

 いつも逃げていた。

 助けてもらっていた。


「魔王様、ゴブリン達が退いていきます」


 軍隊には勝てないと思ってか、死んだ仲間を置いて山に帰るゴブリン達。


「奴らをにがすな!少しでも多く倒せ!」


 騎士の掛け声で軍隊はゴブリンを追い詰める。


「我々は1度基地に戻りましょうか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生魔王は勇者様? 二又 正偽 @futaba1131

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ