第1章 魔王誕生

第2話 どうしましょう


「うっ……」


 何か声が聞こえる。

 歓声みたいな叫び声みたいな。


「ここは……」


 目を開けるともう一度目を閉じる。


「いや、起きたらなら目を開けなさい」

「えー、だってこの状況は」

「あなたは1億年と2000年に目覚めた魔王の中の魔王なのですから」

「なんだその設定は」

「とりあえず、おはようございます魔王様」

「お、おはよう。えーと名前は?」

「あー、わたしは魔王様の補佐するアイラといいます」

「そっかアイラさんかよろしく」

「ええ、よろしくお願いします魔王様」


 そっか、俺死んで女神に転生されたんだ。

 魔王になったのはいいんだけど、この現状はどうしたらいいんだ。


「そうでした魔王様、国民に挨拶を」

「挨拶ってどうしたら」

「それは魔王様らしく威厳よく、格好良く」


 魔王らしくって俺魔王がどのようなことするのかしらないんだけど。

 言われるままに衣装を着せられ壇上に連れてかれる。

 幕が下りていて向こう側が見えない。


「俺って何言ったらいいの?魔王らしいって俺魔王になりたてなんだけど」

「魔王らしいは魔王らしくです」

「そうですか……」


 なんだかこの補佐人アイラはあの女神に似ているな。


「はい、魔王様幕開けますね」

「え、ちょちょちょっとまって」


 俺の言葉を無視して幕が開く。


「おお、まじか……」


 幕の向こうは魑魅魍魎。

 ああ、また死にそう。


「(魔王様お言葉を!)」


「ああ、えーと魔王になったショウです。なんか魔王になったのは初めてなのでよろしくお願いします」


 壇上の上で頭を下げる。

 なんて礼儀ができた魔王なんだろう。


「魔王様が頭を下げた……」


「頭を下げた」

「下げた」

「始めてだ」


 なんか魑魅魍魎が騒ぎ始めた。

 なんだなんか俺やらかしたか。


「魔王様に一生着いて行きます!」

「魔王様万歳!」

「万歳!」「万歳!」「万歳!」


 なんか今度は騒ぎ始めた。


「さすが魔王様、素晴らしいお言葉でした」

「そうか?」

「これまでの魔王は命令や痛い発言が多く部下たちも苦労していたので」

「そうなのか、大変だな」

「それでは魔王様。これからなにをおこないますか」


 魔王になりたてなのにさっそく仕事の話しとは、魔王は大変だ。

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