一気に読んでしまいました。愛ゆえに想い人を傷つけた人間を排除したのに想い人は自分を向いてくれない。それどころか自分ではなく、自分よりもつまらない男に愛情を向けている。彼女が欲しいから自分はこんなにもボロボロになっているのに、彼女はこちらを向いてくれない。彼女に振り向いて欲しいがゆえに主人公は処女さえ捨てたのに、主人公に残ったのは徒労になってしまった傷の数々。報われない話ですが、それゆえに主人公の血みどろの禍々しい努力が、美しい愛の形になっている魅力的な物語です。全てを投げ打って少女が少女を求める感情に酔え!
展開が楽しみでサクサク読んでしまいます。各話の題名も、某バンドの曲名なのが好き。背徳感を越えて、ちょっとイカれてる感じがたまりません。
現代の言い回しと古い言い回しがマッチしていて、読みやすい文体。そしてなにより、ちょっと高飛車なエリート女子高生の皮肉が効いていて、読んでいて面白い!
本作で語られる主人公春香の初恋は、静かな狂気を孕んでいる。どこまでも純粋で、ゆえに制御しようのない彼女の「衝動」を読者は恐る恐る追体験するだろう。ただし、一度読み始めたら、その行き着く先を知るまでは、もう引き返すことができない。(つまり、最後まで読まずにはいられないはずです)
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