覆面作家『＊＊＊＊』の殺人

個性的なキャラクターが、勢いで突き進むドタバタコメディミステリー。

ミステリーと聞いたら、難解で退屈なイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし本作は、とにかくキャラクターが濃いので、飽きるほうが難しいほどです。

人が読んだり探したりしている本が分かってしまう書店員、物の値段が瞬時に分かる助手、なぜか犯人になりたがる少女などなど。
面白キャラが満載です。

謎解き要素はフーダニットに特化しています。
ちりばめられたヒントから、 果たして犯人にたどり着けるかどうか。
そして終盤、予想外の犯人に驚愕すること間違いなしです。
楽しみながら真相にたどり着いて下さい。

「人の顔を見ただけで、その人が読んだ本と探している本が分かる」主人公・磯崎春子。
そして「犯行に使われた道具の値段が分かる」男・八島貴文。
さらに「犯人になりたがる症候群」という奇病を持つ作家・ここなし心。

なんだよ、これ。まともな人間がひとりもいないってどうなっているんだよって半分笑い、半分どこか敗北感を覚えながら読んでいたら……

おおう、犯人が一番まともじゃねーか！

負けました。面白かったです、チクショウ！