概要
あなたの思考を侵食する、サイバーパンク×心理戦×ミステリー×実験小説
※注:本作品はテレパシーを題材にしたSF小説ですが、一般的な小説のルールを逸脱した手法で書かれている箇所があります。お読みいただく際は予めご了承ください。
◯カクヨム金のたまご(2017年11~12月期) 選出作品
◯カクヨム金のたまご(2017年11~12月期) 選出作品
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!わたしが【わたし】であるための、冴えたやり方
思念放射という犯罪が頻繁に起きるようになった近未来を舞台に、思念放射犯罪対策官(カウンターテレパス)である主人公の活躍を描くSFミステリー。
薬物中毒者が自分の思考を周囲にまき散らし他者の精神を汚染する、思念放射というアイデアが非常に秀逸。
彼らと思念放射犯罪対策官(カウンターテレパス)の互いに思考を侵食し合う戦いの様子は、小説ならではの表現が存分に盛り込まれていて読んでいて一気に引き込まれる。
また、主人公のエドが好むスムージーの描写などから、この世界の設定をわかりやすく読者に伝えるなど、設定の見せ方も非常に上手い。
秀逸なのは設定や文章力だけではなく、ストーリー自体にもある仕掛けがさ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「絶対の他者」であろうとした?
簡潔で明瞭な文章。意外性に満ちたストーリーライン。緻密でリアリティある設定。傑作である。
ニュータイプとか人類補完計画とか、まぁそれ系の試みが世の中いろいろあるわけだが、それを感情論ではなく冷徹な論理でいともたやすく否定してのけた点が印象的な作品。
自分と相手の思考が混じり合った際の表現が非常に面白い。一人称に対する挑戦、と言えばよいか。他にもメタ的な仕掛けが盛り込まれており、最後までだれることなく読了できた。
最後まで読むと、大きな謎がひとつ残る。
これは個人的な妄想だが、相互の不理解があるから不和は生まれ、しかし相互の不理解があるから人は孤独ではない。少なくとも、孤独ではない…続きを読む