罪の重さが力になるクソみたいな街と、それをぶち壊したいと望む無罪の少年。そして、彼の前に颯爽と現れる怪しいおねーさん。
導入からして心をグッと掴んで止みませんが、驚くべきことに上記はこの世界のほんの表層に過ぎません。
魅力的な登場人物たちが織りなす軽妙なやり取りや外連味溢れる異能バトルアクション。その水面下で複雑にもつれた世界の謎が紐解かれ、その果てに真に糾されるべき罪が白日の下に晒される。その過程こそまさしく「解体」。巧緻極まるストーリー展開は、幾度となく読者の度胆を抜くこと請け合いです。最後までこの作品を読み終えた時、あなたはタイトルに込められた本当の意味を理解することになるでしょう。
まあとりあえず騙されたと思って第七話まで読んでみてくださいよ、絶対に損はさせませんからマジでマジで。
一読者として続編を心待ちにしております。勿論書籍で。
完結記念レビューです。
罪の重さが異能力の強さに直結する街で、無罪=無能力者の少年が、少年を「少年」と呼ぶタイプのお姉さんと一緒に、いろいろなものをぶっ壊していくお話。
双子なのに何かと世話を焼こうとするタイプの姉もいるぞ!
ぶっ壊していく対象とともに大きくなっていく世界観、同時に規模を増していくバトル描写、そしてそれらを根底から支える設定・ロジック。
ひみつ道具こと遺産の名前をはじめとした、クスリと笑える要素にも事欠きません。
一見異能力バトル物の冒頭に見える冒頭なのに、なぜ作者はこれを「SF(サイエンスファンタジー)」と称しているのか、実際に読んで確かめてほしいところです。
確かめられたときには、本作の魅力にも気付いているはず!
少年を「少年」と呼ぶタイプのお姉さんはよいぞ。
2週間ただひたすら長編を書きまくり電撃小説大賞に応募しようとするという 何とも過酷で困難なことを成し遂げようとしている作品がある それがこの「違法使いの都神解体《ジェイルブレイク》」です
とにかくもう一つ一つの要素が強力なうえ無駄がない。治安の終わった街。どこにも行けない閉塞感に懊悩する少年。傍若無人な双子の姉。ミステリアスな謎のおねーさん。心が生む異空間。小ネタ的パロディ盛りだくさんのひみつ道具。そして異能バトルとミステリの幸福な結婚によって生まれた、幾重にも重なりあった真実。作者がこれまでカクヨムファイターとしての執筆の中で鍛えた、圧巻の筆力と構成力によってこれらがまとめ上げられ、物語が織りなされている。どれか一つでもピンときた人は、今すぐ読んでほしい!!
私がライトノベルに求めているものの全てがこの作品の中にあった。きっとあなたもこの作品を読んだ後なら、「ライトノベル」とは何だ?と問われたら、この作品を指して"これ"だ!と胸を張って答えられるようになるだろう。