第21話 母の入院 カルテ そのに
やっぱりこうなったか……
みんなが同じように思っただろう。
家の中が荒れた。 だ。
「にゃー達のトイレの砂が部屋のあちこちに散らかってるよ〜さっき踏んづけちゃったよ!」
「トイレットペーパーの芯って最後に使ったヤツが捨ててよ!」
「ゴミいっこいっこまとめるの面倒じゃない? いっその事、大きなゴミ箱買ってきてそれに捨てちゃう?」
「名のない家事」がここまで面倒だったと、母親が居なくなってはじめてみんなが気が付かされた。
母親は手術と入院込みで、約一週間ほど家に帰ってこれない。
食事に洗濯、後片付け、買い出し。
極めつけは、名のない細々とした作業たち。猫の手も借りたい……が……
猫の恩返しは、まだ起こりそうにない。(いや、一生ない)
早いもので、三日で家が荒れ出す始末。
食事は作り置きでタッパーに沢山冷蔵庫に用意されていた。ポテトサラダに南蛮漬け、きんぴらにナスのホタテのカポナータ。それでも三日で底を尽きた。……これは食いすぎだと思われた。
悲鳴が一番上がったのは、ゴミ出しに洗濯のたたみ物だった。当たり前だと思われていた小さな家事。お姉ちゃんはこの手のことに無関心で「部活で私は忙しいの!」の一点張りだった。お兄ちゃんは勿論平日は帰ってこれない。残すは父親と僕だ。慣れない手つきで洗濯物を干し雨で濡れて台無し。不燃ゴミと可燃ゴミに小物金属……その他。
さてはて、どうなることやら……
(後半に続く)
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