第6話 土曜と日曜 其ノ弍
土日は母親はだらしなく横たわるか、ずり落ちそうな体制でレンタルしてきた映画やドラマをリビングのソファーで観る。
テーブルには、飲み物や食べ物がならぶ。チョコレートにスナック菓子。極めつけに冷凍庫にはアイスクリームが数種類に冷蔵庫に和洋の甘味が揃えられた。
つまりは、この方は土日は外に出ないのである。(極力とフォローしておこう)
父親が誘わない限り行こうとしない。
いわゆるひとつの「ひきこもり」のようになる。
それゆえに「家族の自由」は合って無いのである。
母親は身の丈に合わないオシャレなカフェなどには行かないのである。(少年雑誌が並べてあるような古めかしい喫茶店は大好きらしい)
平日のあの姿はどこに行ってしまうのかは、本当に謎である。メイクは愚かジャージ上下で、のほほんな表情だ。
リビングのソファーは、ふたり用。子供なら三人座ろうとすれば座れるサイズだ。
そこに横たわり映画鑑賞にふける。ひとりじめだ。たまに背中に僕が乗る時もある。
父親はそんな母親に怒ることはしない。なんなら金曜の夜に嬉しそうな顔で、甘味物をお土産に帰ってくるくらいだ。仲はとても良い夫婦だと思う。お兄ちゃんもお姉ちゃんも文句など言ったこともなかった。お兄ちゃんは横に座り一緒に観るくらいだからこれもまた仲が良いと言えよう。
母親は強い。力がという意味ではない。土日のだらだらを誰にも文句言わせないのだ。仕事も出来るし、作ってくれるご飯も美味しい。僕はキーマカレーとハンバーグは本当に好きだ。
それからとてもフレンドリーなのだ。ただ、「コイツ面倒くさい」と思ったら最後、絶対に許さないし、何もやらなくなる。
敵にはまわさないことが大事だと思う。
夕方になり、ひととおり借りてきた映画たちを観終える頃にお姉ちゃんが帰ってくる。
その頃には父親の土日飯が始まる。
今夜は「特製肉団子鍋」らしい。楽しみ。
さわやかな絵に描いたような土曜も日曜もウチにはない。どちらかといえばオタクな感じだ。
それが僕にとっては居心地が良いのだ。世間がどう言っても迷惑はかけていないからね。そうでしょ?
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