第9話 ねこねこ監視隊

 みんなはお留守番ってしたことある?


 うちの家はお留守番をあまりさせない。

 ちょっとの距離のコンビニですら、連れて行かれる。

 それが必死で宿題をやっていてもだ。


 何故だ?


 流石に風邪で熱を出している時はないけれどね。でもね、ひとりにはならない。いや、一人にはなれないのだ。

 誰かしらが必ず家に居る。(別に怖い意味ではない)


 猫もその対象だ。

 病気で部屋で寝ていると、猫が代わる代わる僕の様子を見るように、監視するようにベッドの隅に座っている。

 決して「たっくん辛そうだな! しゃねえなあ〜、一緒に寝ようか!」ではない。


 うちの猫二匹は元は野良なのだが、目が開いて数日の、まだ自分でトイレにも行けない頃にやってきた。もちろんミルクも哺乳瓶であげないと飲めない子猫だった。


 母親と父親の、知り合いの家の納屋で野良猫が数匹を産んだのだという。


 そこまではよくある話。母親と父親が許せなかったのはその後らしい。保護をしたくせに面倒が見れなくなったその知り合いは「かわいいんだけど面倒が見れなくなったから保健所で処分する」と言い出し、母親と父親は「待った」を出したのである。


 僕もこれには嫌な気持ちになった。


 なんだかんだで、高速を使って車で片道二時間、往復四時間をかけ、家に連れて帰ってきた。


 よちよち歩きの二匹は哺乳瓶でミルクをもらい、タオルとんとんで排尿し、ペットボトルに人肌の湯を入れた湯たんぽを抱き枕にし、すくすくと育ち、今や、ふてぶてしく、そして可愛く成長した。


 僕はきっと、この二匹から言えば、弟なのだろうな。


 あと、きっと彼らは自分たちを猫だと思っていないと思うんだ。多分、人だと思ってるって思うんだ。


 ジッパーが付いてて、中に小さな人が入っているんじゃないかって、前に母親は笑って冗談を言っていた。


 ……いや、それ怖いから。

 もう夢に出るから……いや本当に怖いから。やめて。


 そして今日も猫たちの、風邪っぴきの僕の観察は続く。

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