第2話 スキルをもらおう


「アイやぁー、タナカさんのステータス、ひどいアルよぉ」


 目の前で変な片言カタコトで喋ってる小さな生き物は、この世界の女神様なのだそうだ。


 身長15センチくらい。

 背中についた白い羽でパタパタ飛んでいる。

 女神というより虫だな、虫。

 顔は西洋風、輝くようなブロンドの髪。

 美少女なんだろうが、なにせ小さい。

 チャイナドレスと変なアルアル言葉。


 地球の女性の平均をとって服装と言葉をイメージしたらこうなったとのこと。そういえば一国だけヤタラと人の多い国があったな。


「戦闘力は柔道だっけか、してただけ普通よりは少し上アルが。それもほんの少しだけね」

 運動神経は良くも悪くもなかったが、子供のころ柔道を習ってたおかげで相撲だけは強かった気がする

 まあ、少しとはいえ戦闘に有利となれば、悪い気はしない。


「けど知力はひどいね。平均よりもずっと下アルよ」

 な・ん・だ・と!

 俺は子供のころから学校の成績こそ悪いが、頭は悪くないほうだと思っていた。


「かわいそアルから、これは女神の力で平均にはしとくよ」

小さな虫に、かわいそうだと言われた。かわいそうだと。



「政治力と魔力も平均よりか低いアルけど、これも平均にしとくアルね」

口調はなんか腹立つけど、この小さな虫は俺の能力を底上げしてくれるらしい。


「アイやぁー、外交力はひどすぎるね。15て何アルか。15て」


 なんでも、平均的な能力の値は50なのだそうだ。



50     平凡

60(40) 有能(無能)

70(30) 超有能(超無能)

80(20) 天才(愚鈍)

90(10) 化け物

100(0) 神



「これはアタシではどうもできないアルよ。30が限界ね。30が」

 超無能にはしてくれるらしい。 



「最後に運は、けっこういい方アルね。64だから、タナカさんは運だけで生きてきたくちアルね」

 こころあたりが無いわけでも無いが、そもそも、運のいい人間がトラックにはねられてこんなとこ来るか?

 まあ、やり直させてくれるっていうのだから、ある意味、運がいいのかも知れない。


「では、じゃじゃ~んアル。タナカさんのステータス発表アルよ」

 目の前の空間に透明なウィンドウが現れる。



 名前 未定 (田中真人)

 年齢 14 (29)

 職業 君主

 

 武力 52  知力 50

 魔力 50  政治 50

 交渉 30  運  64


 ボーナスポイント 残り32


 スキル 体術 Lv4 

     悪運 Lv6

     無限収納  (初期特典)

     鑑定    (初期特典)

     常識図書館 (初期特典)

     異世界言語 (初期特典)

 

 ボーナススキル 残り1


 

 しかしこうやって自分のステータスを見ると、ひどいもんだな。

 戦略シミュレーションならこんな武将いらん子だよ、いらん子。

 序盤の人がいない時だけは使うけど、中盤以降は確実に解雇だな。

 もしくは空白地をつくらないために後方に置いておかれるだけの空気だわ。


 これでも底上げしてくれてるみたいだし文句は言えないよな。

 自分の事だと思うと、泣けてくるけど。

 

「あとは名前決めて、ボーナスポイント使うヨロシ」


 

 名前は……ネトゲで使ってた『ウヒウヒ丸』とかにすると絶対後悔するよな。

 こだわってもツボにハマるだけだから簡単にいくか。

 真人だからトゥルーマンでいいかな。ちょっと長い気もするが。

 田中だと……田は確かライスフィールド。

 中はセンターとかミッドとか、くっつけるとヤボったくなるな。


「んじゃ、トゥルーマン・フィールド、いや、ルーマン・フィルで」


「わかったアルぅ~。次はボーナスポイントね。均等に割り振ってもいいアルし、一点集中でもいいアルよ」


 均等に振るのは、ないな。

 平凡が少しマシになった程度じゃ使えないのに変わりはない。


 それじゃ一点集中だが、どこに振るかだ。

 異世界に行くのだから武力か魔力に振ってみたいところだが……

 俺がなるのは一国の君主だ。

 戦闘は部下にまかせればいいわけで、ここは運に全ツッパかな。

「んじゃ運に全振りで」


「はいアル~。これで運が96。悪運のプラス補正で、というとき102アルね」

 な・ん・だ・と!

 土壇場での運だけは神を越えたのか俺は。


「ということは、武力も実質56なのか?」


「アイやー、そこは違うある。武器使った戦闘は、武器補正つかないから52のままアルよ。素手での戦闘は補正ついて56ね。けど普通は武器使うでしょ。相手と素手で殴りあうって場合を除けば、体術は微妙ね。武器持った相手に素手でいったら怪我するアルよ」

 なるほど、補正がかかるのは徒手限定らしい。


「あとは~、スキル1っこ選ぶアルね。でもここで、オススメがあるアルよ。タナカさんは君主だから有能な人材を集めていくべきね。そこで、人物鑑定系のスキルがオススメね。初期特典の鑑定は物とかだけで人には使えないアルから」


 ヤバかった。

 鑑定スキルがあるんでそっち系のスキルは全く頭になかった。

 言われなかったら後で泣きをみるとこだった。


「んじゃそれで」

「わかったアル~。それじゃタナカさんの最終ステータス~」


 

 名前 ルーマン・フィル

 年齢 14   

 職業 君主


 武力 52  知力 50

 魔力 50  政治 50

 交渉 30  運  96New 

 

 スキル 体術   Lv4

     悪運   Lv6

     名伯楽  New  

     無限収納    

     鑑定          

     常識図書館  

     異世界言語 

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