第28話 遍在する蜘蛛





  18日目 17:00 浮島表層 標高88m?



 いま姫路城の大天守六階の望楼に居る。

 姫路城だ、これはきっと姫路城だ。

 七色の宝石でできているんで、もう白鷺しらさぎ城とは呼べないが、形だけは姫路城だ。

 まぶしい、表層の横から差し込む夕陽を浴びて、とにかく眩しい。

 宝石ゆえ透けて見えないようにと、壁や床に層をつくり、その隙間に金属箔を差し挟んでいる。

 壁は鏡面となり、角や出っ張りは光を七色に分散して、そこかしこでキラキラしている。


 ……サングラスかけてないと目が痛いわ!……外でも見ていようって……高けぇな……怖えぇわ……そういや俺、高いとこ苦手だった……柱にしがみついておくかって……柱も眩しいっ!

   

 高さ45.6m、半径80mの円柱状の石垣『姫山』が第一層。

 高さ18.45mの石垣が第二層。どちらも深い琥珀こはく色の宝石。

 実際に石を積んでいるわけではないので、厚い外壁の内部に洋風の居住空間が隠れている。

 第二層の上には高さ31.5mの大天守。透明の結晶をベースに赤、青、黄、緑、黒、色とりどりの宝石が華やかな輝きを添えている。

 構造だけは五層七階を忠実に再現している……らしい。

 地上六階地下一階が和風の軍事エリア。

 石垣第二層は洋風で三階に分かれ、政務エリアになっている。

 第一層『姫島』は八階に分かれ、居住区と客間、大広間などの外交エリアだ。

 そして最下層の分厚い床と中央の巨大な柱の下に隠し空間があって、そこにサーニアの眠る宝玉と台座が置かれている。国王の寝室に隠されている転移魔方陣からしか入ることができない。

 どのエリアもきらびやかで、贅沢で、派手派手で美しく、そして目に悪い。 


 ……目に刺さる……いくら堅牢けんろうな城だっつっても……ここで俺、毎晩寝るんだぜ……さっき寝室に行ってきたけど……部屋の照明だけでも眩し過ぎたわ……眠れんぞあれは……


「不戦不燃の白鷺城とは、縁起がいいですね」

 サングラスをかけた馬謖くんが、俺の横にならんできた。

 清々すがすがしい笑顔だ。

 今朝、居住区の模型を見せてからすこぶる機嫌がいい。

 馬謖くんの建築家だましいに火が点いたようだ。


「常時サングラスが必要とか、これはちょっと城としてマズいんじゃないか?」

「何をおっしゃいます。攻め込んでくる敵が直視できない城、最高じゃないですか。こちらの兵にはサングラスを配りましょう。城を内部から煌々こうこうと照らし、視界を奪われた敵と用意のある味方。それだけでも戦況は我が方に有利となるでしょう」

 まあ、理屈はそうだな。

「そういや偽城とか偽城壁を作っていたハズだが、そっちの方はどうするんだ。もうヤメとくか?」

「いえ、現状のまま作業を進めていきましょう。ハリボテの城壁は攻め手を油断させるために使えます。見掛け倒しの外壁を易々と破った敵に、この頑強な城まで虚仮脅こけおどしと思わせれば占めたもの。虚実織り交ぜた名城となりましょう。偽城の方は出丸として配置するのが宜しいかと」

「デマル?」

「城壁や本城の外に置く支城のことですね。無視して本丸を攻めれば挟撃きょうげきにあい、攻め落としたところで、本丸から一方的に攻撃を受けるという、攻め手にとっては厄介やっかいなものです」

 なるほど、なるほど。

「偽城の出丸を先に落とそうと攻めかかってきた敵に、仕込んでおいた油をき散らし火責めにするのはいかがでしょう。本城の方は火にめっぽう強いということですし、ご心配でしたらいずれ本城の周りに掘りを置いてもいいでしょう。偽城や偽砲門の中には罠を仕掛けておきましょう」

 馬謖くんが目をキラキラさせている。

 そういや馬謖くんって別に内政官ってわけでも無いんだよね。周倉くんたち俺直属の部下が脳筋揃のうきんぞろいってことで、万能型の馬謖くんに内政を任せっきりになっちゃってるだけで、本職は軍師なんだ。まあ、現場に出せない困った軍師なんだけど、所持スキルは建築と奇策、城の罠とか配置させるには適任だね。

 人も増えて内政官が充実してきたら、建築関係の仕事に専念させるのがいい。


籠城ろうじょうして敵戦力を削るとして、やっぱ武器は弓かな?数を揃えるのは」

「弓はですね……それなりに使いこなせるようになるにはかなりの訓練が必要となります。関羽将軍や張飛将軍といった歴戦の強者つわものや上位の冒険者でしたら、あるいは扱うこともできるのでしょうが、一般の兵では与えたからといってすぐに効果は期待できませんね。ここ数日のうちに外の世界に接続するとして、運悪く空賊と交戦することになった場合、弓よりも投石の方が効果を期待できると思います」

 投石か……それは頭からすっかり抜けてたわ。地味な攻撃法なんで、映画やアニメなどの戦闘シーンで描かれることはまれだけど、そういや古代から現代に至るまで重要かつ効果的な戦術だったわ。武田軍にもたしか小山田投石隊なんていうのがあって徳川軍を大いに苦しめたって話があったよな。

「投石の良いところはですね、前に飛ばすだけなら女子供でも容易たやすいということです」

「腕力がなくて威力が出ないんじゃないのか?」

「力を使って投げるのではありません。投石紐スリングを使って遠心力を利用するのです。手を放すタイミングだけ掴んでしまえば素人でもすぐに威力が出せますよ」

 そういや島原の乱のとき、宮本武蔵が農民の投げた石に二度も当たって辟易へきえきしたなんて話もあったよな。剣豪にすら怪我をさせる。地味に嫌な攻撃かも知れない。

「弓100に投石紐スリング300といったところでしょうか、今の段階で用意しておくのは。アベタカ殿に頼んで石の代わりに鉄球を用意してもらうとしましょう」

 鉄球はヤベーな。こんな高いところからなら落ちてくるだけで大怪我するよ。

 兵力の足りない現段階では子供たちにも鉄球を投げてもらうことにしよう。

「俺はまだ実際の戦場を経験したことがないんでね、そのあたりの事は馬謖に任せるよ。子供たちにも石の投げ方を教えてやってくれ」

御意ぎょい

 と、馬謖くんに命令を一つ与えたところで下の階から『アトちゃんズ』が望楼に登ってきた。今日覚醒したばかりの五組目の『アトちゃんズ』だ。


「ここですかさず、シュートでおじゃる」

 氏真の蹴り出したボールが天井に当たり、そこかしこでバウンドしてから氏真の足元に戻った。

「ちょっ、おまっ!こんな狭いところでボール蹴るなよ。危ねーだろうが!」

 怒鳴りつけると氏真は、

「大きな蜘蛛がおったでおじゃる」

 天井を指さしている。

「蜘蛛?」

 氏真の指す方に目をむけると、ほんとうに大きな蜘蛛が潰れて足をピクピクさせていた。

 

 新築の城にさっそく蜘蛛だと……モンスター?……はないな……スタンピードで瘴気が外に溢れている場合でもない限り、モンスターはダンジョンの外では生きられない。……それにしてもデカい蜘蛛だな……体だけで30cmくらいある……まさか毒なんて持っていないよな……


 念の為に鑑定にかけてみると、


 遍在する蜘蛛:召喚獣

    スキル:WWWワールドワイドウェブ

   張り巡らせた網を通して

   侵入先の情報を集める。


 なんかスゲーやばそうなんだけど!

「召喚獣の遍在する蜘蛛だそうだ」

 心当たりは無いかと馬謖くんの方を見ると、首を横に振った。

 黄皓も首を横に振る。

 氏真はリフティングに熱中している。

 バカ王は……ん?……わなわな震えている。

「遍在するスパイダーはルイ11世ね。ミーの宿敵、おフランスのキングの一人ね」

 ルイ11世か……知らんな。ヨーロッパの王ってやつは名前がかぶるから何世なんて後ろに付けてややこしいんだよ。

「ルイ11世ってどんな奴だったんだ?」

「ミーより後の世代だったのでよくは知らないね。プローバブリィ、外交と陰謀が得意なキングだったはずね。戦争よりも外交や陰謀で国内平和を保ったと思うね」

 陰険な平和主義者か。まあ本人が戦争より外交つっても、主の君主がどうだかかは分からんよな。蜘蛛を使って諜報活動とか厄介な相手だよ。これからは他の君主の動向にも気をつけていかなきゃだな。

「ところでジョンくん。君の名前の後には何世っていうのは付かないのかい?」

「イギリスではジョンはミーだけね。子孫たちは何故か、子供にジョンというネームを付けなかったね」

 子孫にみ嫌われる名前って、おまえ相当な王様だったんだな。


 

 本日の収支


 残金       296Mゴルド

 商会の売り上げ +250Mゴルド

 魔素購入費   -420Mゴルド

 武器購入費   -100Mゴルド

 残金        26Mゴルド 


 罠や弓などの購入費用として馬謖くんに100Mゴルドを預けておいた。




 現在の状況(18日目 17:30)


 人口 タナカ王国  258(189)        

    アベタカ王国 101(93)              

    冒険者(私兵) 27 

    冒険者(一般) 69


 魔素残量 約4.2M(-40154K)                 

 瘴気残量      0(-851K)             

 残金      約 26Mゴルド   

 借金       200Mゴルド

 ガンシップ   5機(修理中2機)             

 兵力 転生者      5 

    エインヘリアル 30

    タナカ王国   79(31)              

    アベタカ王国  35                     

    赤薔薇傭兵団  64(62)             

    冒険者(私兵) 27                

    冒険者(一般) 69



 マズいことに瘴気が切れた。

 朝の段階で既にゼロになっていたので、昨日のBOSS討伐で枯渇してしまったようだ。BOSSの瘴気消費量がハンパない。何事も手探りで試しているのだから、当然こういうことも想定しておかなければならなかったのだけれど、迂闊うかつだった。全く考えていなかった。

 魔素は購入できるが瘴気はできない。当初の目標にはまだ遠い兵力でログインを余儀なくされてしまった。杉原たちが帰ってきたら緊急対策会議を開かなければならない。


 魔素の方は昨日アベタカに言われた量に余裕を持って420Mゴルド分補給しておいた。

 人口も増えてきたし、住民たちにいつまでもベッドだけ与えておく生活をさせているというのもよくない。居住区エリアの完成模型を手に入れて馬謖くんがやる気になってくれているのだ。明日から居住区エリアを開放して、少しずつ建物を増やしていくことにした。

 予算は毎朝入る商会からの前渡し金の50Mゴルド。これを馬謖くんにそのまま渡して、優先順位の高いものから建てていってもらう。宝石の城に続いて宝石の街の建設だ。ジルコニアの材料を大量に採取するために鉱山エリアの規模も大きくしなければならない。

 魔素の方はしばらくは購入していくことになる。光の世界にログインさえすればタダで手に入るものである。それに高い金を払うのは複雑な気持ちがするが、弱小国の悲しさだ。普通に街を建設するよりよっぽど安くて立派な街が造れるのだからと自分に言い聞かせて割り切るほかない。

 

 チョコレートの生産は昨日の段階でゴブリン2500匹分を超えた。人員と設備を充実させた結果だ。慣れればもっと作れますとシオンちゃんは意気込んでいるが、あまり無理をさせるのもよくない。慣れて時間が余ってくるようなら、その分は休憩にまわすように言っておいた。ノルマは日産2500匹分。その売り上げだけが暫らくは俺の収入となる。



 18日目 18:00 姫島内 寝室



 夕食が準備されるまでの間、自室に戻っていた。

 杉原たち遠征隊はまだ戻っていない。


 高い天井からぶら下がったシャンデリアが七色の光を放ち、部屋中がキラキラと光を反射している。ベッドの上の天蓋てんがいも骨組みが宝石なのでそこかしこできらめいて、横になっていても落ち着かない。どんな大国の王であってもここまできらびやかな宮殿を持つことはできないってくらいに豪華なんだけど、要サングラスって不便かも知れない。


 そろそろ温泉エリアに向かうかと身を起こしたところで、テーブルの上に大きな蜘蛛がいる事に気付いた。

 また遍在する蜘蛛か。

 戦闘系の召喚獣ではないのでそこまで怖がる必要はないのだが、デカいと怖い。つうかキモい。

 蜘蛛はジーっと俺を見ている。複眼と単眼が並んでるんでほんとうはどっちを見ているかわからないハズなんだが、こっちをジーっと見ている気がする。

 身動きが取れない。

 しばらく蜘蛛と見つめあっていると、蜘蛛が前方にある左右2本の手?足?を使って文字を書き始めた。左足にスケッチブックをかかげ、右足持ったペンを走らせている。

『先程は失礼しました』

 なんか下手にでてきてくれている感じだ。

 器用にスケッチブックのページをめくる。

『我が方はタナカ王様と敵対するつもりはございません』

 蜘蛛を使って遠距離で通信できるって便利だよな。

『ただ私どももチョコレートの製造、販売をしてもよろしいでしょうか?』

 ん?何もわざわざコチラに断りを入れなくても、作れるなら勝手に作って売ればいいだけのことなのに律儀りちぎだな……それともこれはアレか?……『お前たちの秘密はいつだって覗けるぞ』という脅しなのか?交渉力30の俺と外交の天才のやり取り。分の悪い状況だ。言葉面ことばづらだけを捉えていていいものではないのだろう。

『先程も申しました通り我が方はタナカ王様と敵対するつもりはございません。販売代金の方もそちらに合わせますので、何卒なにとぞご検討のほど宜しくお願いします』

 ここで断っても、陰でこっそり売ればいいだけの話なので、許可するより他ないことなんだ。「構わない」と一言伝えると、

『ありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、お宝映像を献上させていただきます』

「お宝映像?」

『タナカ王国の女風呂の様子をつまびらかに録画しております』

 ちょっ、おまっ、それ盗撮だから!

『孔明殿、関羽殿、張飛殿、マチルダ殿、それはもう美しく撮れておりますが』

 ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!見たい!

 孔明にしても関羽、張飛にしても前世がおとこだといっても、今は絶世の美女なんだ。も巨大だ。映像として観る分にはたまらないだろう。マチルダは天然ものだし。

 それは一度は見てみたい。けれどバレたらヤバい。それにルイ11世に弱味を握られてしまう。

 これが強国の外交というやつか!

 とんでもない揺さぶりをかけてきやがるぜ。

「それは、遠慮させてもらう」

 断腸だんちょうの思いで断りを入れた。

『タナカ王様がたまに一人でコッソリご覧になっておられる孔明殿のギリギリ入浴映像よりもつまびらかに映っておりますぞ』

 ぐはっ!そこまで知っているのか。けれどあの映像はまだセーフだ。外の世界の温泉で、杉原たちと知り合う前に撮ったものだし、八割しか映っていない。大事な部分は隠れているのだ。

 まだ言い訳が効く。

 ただ消し忘れただけだと。

 それにしてもルイ11世、おそろしい奴。

 戦わずして俺をここまで追い詰めるとは……

「お気遣いは結構だ。チョコレートの事は勝手にすればいい」

 全てを拒絶することが、ライフ0にまで削られた俺のささやかな抵抗だった。

 ルイ11世、陰謀と外交の鬼才。陰険な平和主義者。

 恐ろしい戦いだった。

 危うく敗北をきっするところだったぜ。




 18日目 19:00 温泉エリア 夕食後



 杉原たち遠征隊がまだ帰ってこない。

 少し心配になってきているが、温かい夕食を準備して待っているより仕方がない。

 このまま温泉エリアのダンジョン出口で出迎えることにした。

 先に夕食を済ませた子供たちが片付けをしていると、エルマちゃんたち女の子の悲鳴が上がった。大きな蜘蛛が出たらしい。

 モーゼが海を割ったように、子供たちが左右に分かれ、まっすぐ俺に向かって道ができる。

 巨大な蜘蛛がワサワサ、ワサワサ、一目散にこっちに走ってくる。

 キモい。あれは怖い。

 前足でスケッチブックをかかげ、そこに

 『助けてください』

 と書いてある。

 はぁいぃ?何事だ?

 『主様とマッドウルフに襲われています。お願いです。助けに来てください』

 ん?

 マッドウルフってダンジョン二階の森林地帯にいるアレだよな。臭い消しの。

 あれって超弱くなかったか?

 俺は倒せないけど、アンダくんがサクサク倒してたよな。

 なんであんなもんに襲われて危険なんだ?

 『お願いします。お願いします。お願いします」

 なんか必死だ。蜘蛛なのに。


 とりあえず戦力になる氏真と馬謖くんを武装させ、相手は外交の鬼才なので、こちらも陰険な外交員、黄皓の1人を連れて行くことにした。黄皓は背中にアトちゃんを背負っている。連れて行くつもりらしい。まあ、敵はマッドウルフなんで危険は無いか。

 何故か呼んでも居ないのに欠地王ジョンまで1人ついてくるようだ。五組目のアトちゃんズは一蓮托生いちれんたくしょうってわけかな。


 急ぐ蜘蛛の後について移動を開始する。

 転移エリアからリカリスを経由せずに直でルイ11世の主のいる浮島へと飛んだ。

 俺の浮島と同じ造りだ。

 表層エリアは野ざらしで、貧相なプレハブの本拠地がポツンと建っている。

 昨日までのウチの風景だ。


 本拠地から通常ダンジョンの転移魔方陣のる。

 蜘蛛の後をついてダンジョン1階を進む。途中遭遇するスライムは氏真のシュートや槍でサクサク処理されていく。

 ダンジョン2階。遭遇するマッドウルフもキラーラビットも敵ではない。氏真一人で蹴散らしていく。

 

 すると、森林エリアの奥で、大きな木の枝の上で包帯だらけの黒髪の少女?と執事服を着た影のある白髪の少年が抱き合って震えていた。

 下を十匹程のマッドウルフが取り囲んでいる。

 何度も飛びつこうとしているが、枝が高くて届かない。

 けれど上にいる二人は、狼が飛び上がる度に怖さからギュと強く抱き合っている。

 急いで助けるように氏真と馬謖くんに命令する。


「シュートでおじゃる」

 氏真のシュートで狂狼の一匹が吹っ飛ぶ。

 残りの九匹は警戒し左右に飛んで散開しながらコチラに向き直る。

 跳ね返ってきたボールを足で受け氏真がさらにシュート。

「二点目でおじゃる」

 また狂狼の一匹が吹き飛ぶ。

 距離をとっていてはマズいと狂狼たちは一斉にこちらに駆け寄ってくる。

「ハットトリックでおじゃる」

 接敵までに三匹目が吹き飛んだ。

 後は氏真と馬謖くんの槍でサクサク串刺し、危なっかしいところは一つもなかった。

 最後に一匹だけ逃げようとした狂狼を氏真がロングシュートで止めをさした。

『ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます』

 蜘蛛はペンを走らせて感謝の意を表す。

 お辞儀までしている。

 キモいけどなんか可愛らしく見えてきた。



 

 18日目 20:00 山田家 本拠地



「ふんっ、感謝すればいいのかな」

 黒髪の少女は偉そうに踏ん反りかえって虚勢を張っているが、まだ膝がガクガク震えている。なんか複雑な子のようだ。

 名は山田さん。

 中二病な名前をこちらで付けてしまったが、やはり日本人同士でそれを呼び合うのは恥ずかしいらしく、山田・田中でお互いを呼ぶことになった。

 知力全振りの芸術系チート持ち。戦闘力は50で普通だが、前の世界では虫も殺したことがないようなタイプなので、戦力にはならない。俺と同じくコミュ力に問題がある口で、底上げされて交渉30、残念系である。

 黒髪の和風美少女。全ての作りが小さい。可愛らしい感じで、杉原が喜びそうだな。胸はつつましやかで、そちらも残念だ。

 こちらに来て一か月、攻略できたダンジョンのフロアは1階のみ。日々スライムと死闘を繰り広げ、そこかしこに酸であざをつくっている。包帯だらけだ。街で治療を受ければすぐに治る傷なのだけれど、治療費が無いらしい。

「ふんっ、こんな庶民の食べる物など」

 文句を言いながら、チョコに伸ばす手が止まらない。

 目に涙を浮かべている。

 かなり複雑な子だ。

「主様を助けていただき、本当にありがとうございました」

 SSRのエインヘリアル、ルイ11世。

 執事服を着た白髪の優男やさおとこ

 こちらも戦闘向きではない。


 名前 シーソー・ミクモガミ

 年齢 14  

 職業 忠臣・忠蜘蛛


 武力 37前後 知力 72前後

 魔力 58前後 政治 80以上

 交渉 60以上 運  66以下 


 スキル 執事    Lv0

     腹黒    Lv5

     和平工作  LvMax 

 召喚術:遍在する蜘蛛LvMax 


 おそらく交渉は90を超えていたりするんだろう。内政と外交に特化したタイプ。

 戦闘向きで無い主と戦闘向きで無い臣下がこっちの世界に投げ出されて苦労してきたようだ。せっかくの宝の山のダンジョンもスライムですら倒すのに苦労してきた。芸術チートで稼ごうにも画材を買う資金すらない。街に通うこともままならなくなって、自領に引き籠りながら打開の策を練っていた。ルイ11世のスキル、遍在する蜘蛛を各地に飛ばして、他の君主たちがどうやって資金を集めているかをスパイし、一番ハードルが低そうな3階のゴブリンのチョコレートで勝負しようとしてみたが、狂狼に危うく返り討ちにされそうになったというわけだ。

「ゴブリンの次となりますと、4階のオークで稼いでらっしゃる方が多かったですね」

 アベタカくらいの戦闘力だな。

「あと8階のサハギンは稼ぎがいいみたいです。リカリスではありませんが別の交易都市に『新鮮組』という鮮魚店を出して大きな商売をされている方がいらっしゃいます。店長がコンドーさん、副店長がヒジカタさん。店の前に張り紙がしてあって『尋ね人 オキタ・サイトウ・ナガクラ・ゲンさん』と書いてありますね。なんでもそちらの君主さんの意にかなう方でしたら、上のランクのエインヘリアルとのトレードにも応じてくださるとか。今日もお一人トレードの交渉に来られた方がいて『初代局長のセリザワだぞ、なんで駄目なんだ』とか言いながら帰っていきましたね。きっとトレードは不成立だったのでしょう」

 新選組の近藤派をコレクションしてんだな。芹沢鴨が駄目ってことは伊藤甲子太郎とかも駄目なんだろう。芹沢はともかく伊藤の方は強いだろうが。

 まあ俺も、直属の部下ではないが、領内に劉備、孔明、関羽、張飛と居るんだ。趙雲、馬超、黄忠を手に入れて五虎将を揃えてみたい。孔明とはそりが合わないだろうけれども魏延なんかも欲しいところだ。

 

 本人には言わないが、怖い思いをした山田さんたちが落ち着くまでと手持ちのチョコを振舞ってお茶を飲むことにした。

「ミーにユーの領地をよこすね」

 変な絡み方でジョンがルイの手からチョコを奪っていく。

 あははははとルイは誤魔化し笑いをしてから、ジョンが向こうを向いた隙に、襟口に蜘蛛を忍び込ませた。

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ワッツザヘル!」

 ジョンがのたうちまわっている。

 さわやか顔をしてルイは、けっこう黒い。


 これまでは初期装備で貰った保存食と命がけで狩ったスライムでなんとか食いつないできた二人だ。所持金が1万ゴルドを切ったという状態でこのまま放っておくわけにもいかない。ウチの領内に誘うことにした。

「ふんっ、僕は別にどっちだって構わないんだけどな」

 山田さんは虚勢を張っている。

 言葉でとげを放ちながら、その棘が相手に刺さらないか不安そうだ。

 にらみつける目がウルウルしている。

 面倒くさい子だ。

 けど、こういう生きるのが下手なヤツは嫌いじゃないんだよね。

「気楽に遊びに来るつもりで、しばらく滞在したらいい」

「ふんっ、君がどうしてもと言うのなら、仕方がない。行ってやってもいいさ」

 せっかくの芸術チートがお金に代わるぐらいの道具が一式そろうまで、暫らくウチで働いてもらうか。



 18日目 21:00 温泉エリア 祝勝会



 領地に戻ると杉原たちが戻ってきていた。

 軽傷者は何人か出たが、死者や重症者はいなかったとのこと。

 みなが無事に帰ってきたことに胸を撫でおろした。

 アンダくんも、うん、いつもと変わらない様子だな。 

 よかった、よかった。

 

 骨付き肉にかじりつき、酒杯をあおる冒険者たち。

 みな陽気な顔つきだが、ん?

 Fランクの将来有望な少年少女達がみな顔をパンパンにらしている。

 あれで軽傷なのか?

 聞けば若気の至りからなのか無謀な突撃を何度か繰り返したところで、周倉くんにブン殴られたそうだ。

 周倉くんへの反発があるかと思いきや、なんか逆になつかれているな。

 周倉くんの尻にくっついて宴会の食事を頬張ほおばっている。

 ああいう脳筋のうきん系のノリは理解できない俺なんで、さすがは周倉くんと感心してしまった。


 陽気でガサツな冒険者たちの中に溶け込めないのか俺の後ろで動かない山田さんが、場の雰囲気に圧倒されそうになったからか、だからこそ踏ん反り返って、

「ふんっ、このような庶民の料理など、僕の口には合わないさ」

 目がA5ランクの和牛のローストビーフに釘付けになっている。

 毎日毎日、保存食で飢えをしのいできたんだ。マトモな料理は久しぶりだろう。

「庶民の料理をたまに我慢して食べてみるのも、君主としての社会勉強だよ」

 助け舟を出してやった。

「ふんっ、君がそこまで言うのなら、我慢して食べてやってもいいさ」

 チョロいな。

 山田さんが目をウルウルさせながらローストビーフに齧りついている。

 それ柔らかくって肉の旨味がのってて最高なんだよね。

 いかんいかん、見ていたら鋭くにらまれた。

 ゆっくり食べてもらおう。


 食事の時間を十分とってから、杉原たちを誘って本拠地の会議室へ向かった。

 今日完成したばかりの宝石でキラキラの、目に悪い会議室だ。




 18日目 22:00 報告と緊急対策会議



「ふんっ、派手に飾り付ければいいってものじゃないだろうさ。君の俗物さがにじみ出ているよ」

 城に飛んでいきなりの悪態だ。

 山田さんは姫路城を気に入ってくれたらしい。

「はわわわわ、綺麗なのです。まるで御伽おとぎの国なのです」

 夜の闇にほの浮かんだ宝石の城、ライトアップされて幻想的だ。

 どうやら女性陣には評判がいい。

「くくくくっ、思い切ったことをしましたね~。タナカさんがアベタカさんに怒鳴りつけたところを実際に見てみたかったよ。僕たちが帰ってくるまで待っていて欲しかったよね~」

 はいはい、そうですか杉原さん。

 あの時はほんと、余裕なんてなかったんですけどね。

「これだけ大きな城に二人だけで住むとは、何だか勿体ないですね。客間が空いているようでしたら、私や杉原さん、田原さんにも1部屋割り振ってもらいたいところです」

「おやおや、それは名案ですね。私からもお願いしますよ」

 客間は腐るほど余っているんだよね。

 部屋も広くてコンテナハウスよりは過ごし易いだろうから、移ってきたいというなら構わない。

「俺も頼むZE」

「ふんっ、僕はこんな下品な所は願い下げだが、君が是非にと言うのなら我慢してやってもいいさ」

 みな来る気満々だ。俺の居室と階は違うし別に構わんよ。好きに使ってくれ。


 さて、先ずは杉原たち討伐隊の報告から。

「いやぁ、最初に分配の上限金を設定しておいて良かったよ~。均等分配なんてしてたら絶対に破産してたね~」

 通常の地竜討伐隊の分配金は8Mゴルド~15Mゴルドといったところだそうだ。

 今回の討伐では上限金を設定し、


 SAランクの冒険者 20Mゴルド

 BCランクの冒険者 15Mゴルド

 Dランク以下    10Mゴルド


 としておいた。

 Dランク以下の冒険者への分配が少ないような気もするが、実際には絶対に地竜討伐には参加できないランクの冒険者である。10Mゴルドといえば彼らが一、二年、真面目に働いて稼ぐような金額なので、不満の声はあがらなかった。

 そして10階の牛王を倒した時点で入手したランク8の武力の宝石で、一発でその上限は越えてしまうことになる。  

 牛王を討伐して得られる宝石のランクは10でなく8であった。

 各階のBOSSと宝石のランクは


 10階 牛王  武力ランク8

 20階 八頭蛇 魔法ランク9

 30階 地竜  運ランク10


 それと中BOSS


  5階 魂喰 政治ランク5

 15階 獣王 知力ランク6

 25階 妖精 外交ランク7


 あと通常モンスターから得られるEXPが

  

 ~10階 1~50EXP

 ~20階  ~100EXP

 ~30階  ~150EXP

 30階~ 150EXP~?

 

といったところ。20階を越えた下層で30~40匹MOBを狩ればランク5の宝石が育つのだから、そのあたりまでは比較的入手し易い感じだな。ランク6以降になると徐々に苦行になっていく。


「ランク10の運の宝石は、当然タナカさんに持っていてもらいたいね~。国王の運があがれば僕たちも安心だ」

 これで俺の運は106となる。悪運が発動すれば、いざというとき運は112、神の域を更に一割上回る。

「魔力のランク9はとりあえずヘスに、武力のランク8は関羽さんに持たせてもらって、次に高ランクの武力の石が育ったら張飛さんにまわしてもらうのでどうかな?」

 無難なところだね。

 今回手に入った多くの宝石で上位陣から戦力強化を図っていくのは当然だ。

 量産された武力ランク5の石を、5人の氏真たちにも渡しておくか。ヤツらは見た目がアレだけど、戦力としては頼りになるし。

「実験で作った中ボスからの政治の石なんかは、タナカさんに装備してもらいたいね~。スキルの効果も上がるだろうし」

 武力・魔力・政治ランク5、知力ランク6、外交ランク7の宝石も俺が装備することになった。これで俺のステータスは、


 武力 57 知力 56

 魔力 55 政治 55

 交渉 37 運 106


 となる。精密に数値化できる能力値もその前後30となるわけだ。

「もともと運は高すぎて鑑定すづらかったんだが、100を突き抜けると更に使い勝手が悪くなってしまうよな。それに指輪を6つもじゃらじゃらとハメているのは趣味にあわないんだが」

「ふんっ、俗物の君にはよくお似合いさ」

「はわわわわ、それでしたらバングルなんてどうでしょう。バングルに6つの石を嵌め込むのです。それと宝石の効果をオン・オフできるようにしましたら使い勝手もよくなるのです。兵士に配るアクセサリーもバングルにするです。石を6つ入れた台座が廻るようにして、育てる石を指定するように工夫するです。明日作ってみるです」

 なるほど、強化する能力は1つに限ったことじゃないしな。狩で得る経験値を育てたい石に割り振れるようにすれば便利だ。


 つづいて11階からのモンスター素材の報告に移った。

 種類が多いので詳細は書面にして後日提出するということになったが、結果は予想の上をいく満足のいくものとなったそうだ。10階までとは比べ物にならない高級食材や、呪いなどの鍵のついた変なチョイスのアチラの世界の食材。

 ダンジョン内で見つけたブドウ畑には「奇跡のテロワール」級のブドウが実っていたそうで、最高級ワインが仕込めると野口は興奮していたし、食材をどう料理するかに田原は思いをはせていた。

 今回の討伐の報酬で手持ちの現金の大半を吐き出すことになった杉原たちであったが、そんなのは軍を強くするために手元に残しておく素材を大量にけておいても、数日で二倍にも三倍にもなって取り返せるとのことだった。

「タナカさんにはこれを見てもらいたいね~」

 アイテムボックスから杉原がゴーレムを取り出す。鑑定するとミスリルゴーレムとでた。

「34階のMOBなんだけど、死体がそのまま大量のミスリルだ。売れば一財産になるだろうけど、是非とっておいて加工したいよね~」

 今回の遠征で到達できたのは34階。

 35階の灼熱地獄には近づくことすらできなかったそうだ。

 いずれ対策を練って先にすすみたいと杉原は言った。

 34階でミスリルか。40階、50階と踏破していけばいずれオリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネと希少金属が手に入るかも知れない。夢が膨らむ話である。

 

 討伐隊は10Fから進み34FまでのMOBを綺麗に掃討そうとうした。

 牛王を倒した時点で瘴気が枯れたらしく11F以降のリポップは無い。

 帰りに1F~9Fまでもハンパに残しておくのもなんだしと、綺麗に掃除して帰ってきたので、現在34階までは完全に空っぽの状態である。

 さて、尽きた瘴気の補充の問題。ログインを何時にするかを話し合わなきゃだ。


「残念なことに瘴気が0になった。明日、明後日にもログインしなければならないわけだが、兵力に不安がある。どうすればいいか、みなの知恵を借りたい」

「う~ん、僕としては今回の戦利品を現金に替えるのに何日か余裕が欲しいかな~。冒険者たちもふところが温かくなってるんで数日ダンジョンに入れなくても文句は出ないだろうし」

 と杉原、続いて野口が

「みなさんの手持ちの素材が何日持つかでしょうね。私のところの日本酒は5日というところでしょうが、今日手に入れたブドウなんかも試してみますと、もう少し時間に余裕はありそうですね」

「俺のところはアンダくんが二日ほど無双してくれたから、ゴブリンがあと1万6千匹は残っているかな。今のペースだと後6日というところだ」

「私のところはコレと決まった素材ではありませんしね。今回の戦利品で何日でも持ちますね」

「DOUSHIから買い受けた豚鬼がまだまだ解体しきれてないZE」

「僕のところは実のところ2日が限界なんだよね~。ただし補充のアテはある。山田さんのところのダンジョンがまだほとんど手付かずでしょ。使用料は払うんで使わせてもらえれば、なんとかなるかな」

 おお、山田さんのところのダンジョンがあったわ。1ヶ月の間に瘴気を1Kも消費していないほとんど手付かずの状態で。つうことは残りの瘴気は499K以上あるね。

「はわわわわ、そこなのです。山田さんのところで上手く補充をして、瘴気が枯れたところでBOSS討伐ができるのです。それと、みなさんはお忘れかも知れないですが、アベタカさんの領地にもダンジョンがあるのです。5階以降はモンスターが居るはずですからこちらも一度BOSS討伐隊が送れるのです」

 おお、そういや休眠中のアベタカの浮島もあったよな。そのあたりをやり繰りすれば、後数日は時間が作れるわけだ。

「ログインまでの時間的余裕はまだ少しあるのです。この間に軍備を整えれるのです。そこでタナカ王様にお願いがあるのです。私兵を増やすことを許可していただきたいのです」

 う~ん、そこだよね。もう杉原たちを信用できるとかできないと言ってる場合じゃないんだよね。私掠空賊団に滅ぼされちゃったら、何にもならんわけだから、なりふり構っていられない。

 私兵を増やすって言っても、いきなり何百とか、俺を圧倒するような変なことはしないだろうし、助けてもらうほかないよね。

「常識の範囲内で頼む」

 と答えておいた。

「ダンジョンの使用料を前金で渡しておくから、山田さんにも兵を集めてもらいたいよね~」

 と杉原の提案に、

「ふんっ、兵士などという野蛮な者を僕は雇い入れる気は更々さらさらないぞ。そういう無粋ぶすいなことは君たちだけでやってくれたまえ」

 この子はこの乱世で何を目指して生きていくんだろう。






――――――――――――



「やはり気付いてはいらっしゃらないようなのです」

「まあ、それがタナカさんだからね~。彼にはこのままいつまでも凡庸なお人好しでいてもらいたいよ」

「凡人が過ぎた力を手にしたばかりに身を亡ぼすことは多々あることですから」

「まあ、彼は目に見える数字からしか判断しないだろうから、そのあたりは大丈夫そうだよね~。運も強いし。ただ最初に脅かしすぎちゃったからか、ずいぶん外の世界を怖がっちゃってるよね。このまま夜の世界に引き籠られちゃっても美味しくないんで、なんとかしないとだ」

「君主が慎重なのは素晴らしいことですが、臆病なのは困ったことなのです」

「ウチの今の戦力をはどう見る?」

「頑強な城もあることですし、万の敵ならあるいは押し切られるかもしれませんが、三千や四千の敵ならば物の数ではございませんです」

「外でそこそこの国と遭遇でもしない限りは大丈夫そうだよね~。タナカさんにはどこかで少しだけでも自信をつけてもらいたいよ」

「明日にでも一戦ひといくさしていただくのがよいのです」

「できるかい

「お任せあれなのです」

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