第15話 はりつけ

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 これは僕が実際に体験し、起きてすぐにメモった悪夢です。


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 僕はぬるま湯に浸かっていた。


 浸かりたくてそうしているんじゃない。


 何かにそうさせられているんだ。


 いっときすると湯から上げられ、体中をブラシでこすられた。


 そして布の上に置かれて水切りさせられると、壁に押さえつけられた。


 手の甲に釘が刺さり、壁に打ち付けられた。


 痛くて拳を握ると、強引に開くように動かされた。


 痛みはないが、不快感がひどい。


 もう片方の手も同じように打ち付けられ、僕ははりつけにされた。


 そして左右対称にして足や頭の位置を固定するように釘が打たれた。


 僕を磔にしたのは、蝶だった。


 蝶だけではない。


 カブトムシやクワガタ、バッタ、カマキリ………人と同じ大きさでスーツを着た、いろんな虫の姿がいた。


 見回すと、壁にはいろんな人間が磔にされていた。


 中には乾燥して干からびている人間もいる。


 それはまるで標本のように。


 標本に連れた虫たちの復讐であるかのように。


「僕はやってない! 昆虫標本とか作ってない!」


 僕は虫が嫌いだ。


 苦手ではなく、嫌いだ。


 どんな昆虫でも近寄られたら悲鳴をあげて逃げる。


 そんな僕が昆虫標本なんか作るわけがない。


 虫たちは顔を見合わせる。


 そしてこう言った。


「まだ死んでいないやつがいるぞ」


 僕は壁から引き剥がされた。


 釘が刺さったままだったので、手がひどいことになった。


 そして、僕は殺され、また磔にされる。

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