第7話 テレビと影
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これは僕が実際に体験し、起きてすぐにメモった悪夢です。
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夜中突然テレビが点いた。
朝、テレビが自動的に起動するアラーム機能があるが、それではない。
時間は午前2時半。早すぎる。
飼い猫がリモコンのスイッチを踏んだ?
テレビに映っているのは虹色のテストパターン画面と、ピーという耳障りな音。
テレビ消さなきゃ。煩くて眩しくて、寝ていられない。
リモコンを探す。
テレビからはピーという音が続く。
リモコンリモコン………あった。
テーブルの上にリモコンはあった。猫が踏んでいきそうな場所ではないが、眠いので気にせず電源を落とす。
部屋に静寂と闇が訪れる。
あれ。
いま、変じゃなかったか?
テレビの光に照らされてできた僕の影が白い壁にあった。
テレビを消したら影も消えるはずだが、今、一瞬影が残っていた。
残像? 目の錯覚?
気にせず寝る。
すると、またテレビが点いた。
カラーパターンとピーという音。
今度は猫が踏みそうな位置にリモコンを置いてしまった僕のせいだろう。
消そう。
いや、おかしい。やっぱりおかしい。
テレビの光で生まれた僕の影は、僕と違う動きをしている。
すこし影のほうが遅れて動いている。
それに僕が取っていない行動をとっている。
壁に映った影を見る僕。
ピーという音が続く。
テレビのカラーパターンはころころ変わったりしないのに、なぜか壁には様々な色の光が交互に当てられている。
その光の中で僕の影はなにかを振り払うような素振りをしている。
そしてソファの影に倒れるように消えていった。
なんだったんだ────猛烈な睡魔に僕はそのまま寝てしまった。
翌朝、テレビは朝のニュースを流していた。昨夜から点けっぱなしだ。
おはようクゥ。餌はまだ入ってるね。水を変えよう。
わ、コバエだ。
どこから湧いたんだこいつ!
手を振り回してコバエを追い払った僕は、その姿勢とタイミングが昨夜見た夢のような「自分と違う動きをする影」と同じだと気がついた。
クゥがコバエめがけて飛びかかり、僕にタックルする。
クゥに押し倒されるように倒れる僕の姿は、やはりソファの影に倒れて消えた自分の影と同じ動きだった。
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