第20話 失われた自分

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 これは僕が実際に体験し、起きてすぐにメモった悪夢………いや、人はこれを怖い夢と捉えるか、良い夢と捉えるのかわからない。


 これをメモしたのは僕が17歳の多感で、とても性的欲求に苛まれていた頃だった。


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 僕の目の前には女の子がいる。


 ここは多分大きなペッドの上。ふわふわしている。


「どうしたの」


 女の子が問う。


 とにかく美しい。

 とにかく可愛い。

 そして、とにかくエロい。


 現実的ではなくテレビで見るような………けど芸能人にこれほどの子はいないと断言できる。


 悩ましげな眼差しで女の子は俺を見ながらにじり寄ってくる。


「どうしたの」


 どうもしない。いや、この子をどうにかしたい。

 女の子は僕の意思を汲んだのか、服を脱ぎだした。


(今思うと、思い出補正もあるかもしれないが、あれほど媚びたふうでもなく美しく艶のある脱衣は………浅草のストリップ劇場で見た演者さん以外には、この夢の女の子だけだ)


 形の良い、大きな胸、くびれた腰、透き通るように白い肌。

 僕は女の子の裸体から視線を外せなかった。


 普段なら恥ずかしくて直視できないというのに、ここでは目を背けることが「もったいなさ過ぎる」と思えた。


 女の子はゆっくり僕の首に両腕を回し、口づけてきた。

 これほど甘美でぞくぞくと興奮する口づけを知らない。


 胸の奥が焦がれて燃え尽きてしまう程の興奮。

 今すぐ叫び出したくなるほどの抑えきれない獰猛な性衝動が僕を襲う。


 女の子が僕自身に触れる。


 ?


 何も感じない?


 下を見ると、僕自身の生殖器はなかった。


 まったく存在していない。


 女の子はニッコリすると身を翻して消えていった。






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 飛び起きて、僕自身がちゃんと存在することを確認するまで、本気で焦ったのはいい思い出。

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