概要
この壁が何で出来ているのか。誰が、いつ、何のために作ったのかは世界の謎だった。
新米兵士であるナインスとレイワードは壁の調査を皇帝より任命されるが... ...。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!人の可能性について
絶対的な未知の存在として描かれる『黒い壁』の謎に挑戦する主人公のレイワードとナインス。
壁はその圧倒的な拒絶感と神秘性をもって人間の無力さを際立たせます。
作中に登場するロベルトは、そんな主人公たちに人間の可能性を表します。
効率性や見極め(判断)の速さが尊ばれる今日、人間は自らの可能性を狭めてはいないだろうかなんて考えさせられる一作。
皇帝になりたいという強い意志を持つ少年として描かれるベクレル。
物語の終わりに、主人公の目には彼がどのように映ったのかは読者によって想像が異なってくるのかもしれません。
短編でありながらも、しっかりとその世界観とテーマを描いた本作。
最近すこし疲れたか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一分後。あなたはこの壁の魅力から抜け出せなくなる。心躍る傑作冒険譚!
この魅力的な冒険譚! 圧倒的世界観! きっと誰もが心躍るであろう素晴らしい作品でした!
SFというジャンルに気後れされる方にこそ、是非ともご覧になっていただきたい。
御作者様の見事なあらすじ紹介をそのままお借りする形で申し訳ないのですが『誰もその先を知らない巨大な黒い壁』『これを調査する、堅苦しい兵士と調子者の兵士』。こちらでちょっとでも興味を持たれた方は間違いなくお楽しみいただけることでしょう。
高尚で、かつ読みやすく、心にすんなりと染みる素晴らしい文章で綴られる物語。
間違いのない傑作です!
私は、御作品のテーマを「成長」と捉えましたが……。皆様が掴む『15cm』は、どのような答えを…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その壁〈隔たり〉の大きさは、人の想いのそれなのかもしれない。
先生として生徒に語る冒頭や、作中世界の文化の転換がどこか現代社会になぞらえてある趣きが好みなんですけれども、それはさておき、恋慕や親しみといった人の感情、その強さの表れを物語は魅せます。
それはタイトルにもある『壁』にまつわるもの。
そうして、奇妙でありながら純粋な男女の愛を、語り手(レイワード)自身ではなく出会った者として語られる構図が、
余計に彼らの機微を想像させてくれます。
また主人公の視点ですと、家族への想いがちらり垣間見えます。
そしてそこに、想いの強さゆえの盲目さ、危うさを『壁』は感じさせてくれました。
このような『壁』は、謎多き存在です。
その謎が解かされてゆく感覚は、…続きを読む