その壁〈隔たり〉の大きさは、人の想いのそれなのかもしれない。
- ★★★ Excellent!!!
先生として生徒に語る冒頭や、作中世界の文化の転換がどこか現代社会になぞらえてある趣きが好みなんですけれども、それはさておき、恋慕や親しみといった人の感情、その強さの表れを物語は魅せます。
それはタイトルにもある『壁』にまつわるもの。
そうして、奇妙でありながら純粋な男女の愛を、語り手(レイワード)自身ではなく出会った者として語られる構図が、
余計に彼らの機微を想像させてくれます。
また主人公の視点ですと、家族への想いがちらり垣間見えます。
そしてそこに、想いの強さゆえの盲目さ、危うさを『壁』は感じさせてくれました。
このような『壁』は、謎多き存在です。
その謎が解かされてゆく感覚は、ミステリーに通じるものがあり興味を惹かれます。
その中に、人らしい感情と人ゆえの愛情が添えられています。
(ep6、時点なので)結末を楽しみに【壁の先には】、その向こう側を待ちたいと思います。
皆さま、一読いかがでしょう。