人の可能性について

絶対的な未知の存在として描かれる『黒い壁』の謎に挑戦する主人公のレイワードとナインス。
壁はその圧倒的な拒絶感と神秘性をもって人間の無力さを際立たせます。
作中に登場するロベルトは、そんな主人公たちに人間の可能性を表します。

効率性や見極め(判断)の速さが尊ばれる今日、人間は自らの可能性を狭めてはいないだろうかなんて考えさせられる一作。

皇帝になりたいという強い意志を持つ少年として描かれるベクレル。
物語の終わりに、主人公の目には彼がどのように映ったのかは読者によって想像が異なってくるのかもしれません。

短編でありながらも、しっかりとその世界観とテーマを描いた本作。
最近すこし疲れたかななんて感じていらっしゃる方は是非ご一読を。

その他のおすすめレビュー

なるせ悠さんの他のおすすめレビュー13