第四話 ステータス

「ちょっと用事があるから、またあとでね、絶対に部屋から出ちゃだめだよ? ここは広くて、初めての人だとすぐに迷子になっちゃうから、あ、ステータスでわからないことがあったら軽く文字に触れてみるといいよ、解説が出てくるから」


そういってクロエは部屋から出て行った、そしてクロエに続くようにルドルフも部屋から出て行った。


(あ、そういえばおっさんも部屋の中いたんだった)


途中から全く会話に入ってこなかったため、すっかり忘れていた。


「にしても、異世界ものっていったら普通俺TUEEEEEだろ……どう見ても凡人…いや、凡人以下だな」


そういうマコトのステータスはこうだ。



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ミカナギ・マコト 17歳 性別:男 種族:人間族


Lv 1

才能:白魔導士

HP 28/28

MP 23/23

筋力:14

耐性:14

俊敏:26

魔力:3

魔耐:10

魔力属性:光

使用可能な魔法:ヒール ケアラ ヘルト

特技:下位魔法 火事場の馬鹿力 適応力・心 逃走

称号:無能 下位魔法を極めし者 異世界人

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クロエの話によると、Lv1の時のHP、MP以外の能力値の平均は、15なんだとか。


「魔力3って何なんだよ!? ひっく! 低すぎだろーが! 俺そんなに魔法の才能ないの!? それに火事場の馬鹿力ってなんだよ!? なんでこっちの世界にこんな言葉があんだよ! てか足はやっ!? あと無能ってなに!? 俺ステータスに嫌われてるの!?」


マコトは自分のステータスに盛大に突っ込みを入れた。


「ぐすん、もういいもん、俺魔法なんて使えなくたっていいもん、異世界召喚されたらすごい魔法つかってやるって思ってたけど、こんなにズタボロいわれるんなら魔法なんて使わないもん……」


魔法の才能がほとんどないという事実に、マコトはかなりショックを受けている。


「それに白魔導士だからたぶん使える魔法も補助系ばっかなんだろうなぁ、ヒールとか絶対回復魔法じゃん」


(ん、そういえばクロエが文字に触れると解説が出てくるって言ってたな)


さっそくマコトはヒールの文字に触れてみた。


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ヒール


消費MP 10


使用した相手のHPを回復する


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「やっぱり回復魔法か」


そして次にケアラの文字に触れた。


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ケアラ


消費MP 8


一定確率で使用した相手の状態異常を治す


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「あー、そういうやつか、ってかやっぱり補助魔法なんだな」


次にヘルトの文字に触れた。


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ヘルト


消費MP 15


一定時間、使用した相手の能力値を少し上げる


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「うん、補助魔法だな」


その次は、称号の欄にある下位魔法を極めし者、という文字に触れた。


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下位魔法を極めし者


下位魔法の能力が大幅に上がる


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「……お、おぉ、まぁいいんじゃねぇの?」


そしてその次に、一番の問題である無能という文字について調べてみる。


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無能


一生下位魔法しか扱えない


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「……うそーん」


さっき軽くクロエから教わった情報によると、称号にも何かしらの効果があるとのことだった。

下位魔法しか使えない、つまり、どれだけレベルを上げようが、どれだけ魔法について勉強しようが、上位の魔法を使うことができないということだ。


「努力次第でいつかは上位の魔法も使えるようになるって希望を抱いてたのに……ま、まぁ魔法なんてもともと使えなかったものが下位魔法だけでも使えるようになったんだから良しとしよう、うん、そういうことにしよう」


そういうマコトの顔は、悲しすぎて今にも死にそうであった。

実際、血液不足で死にかけているが。


「……一応ほかのやつも見てみるか」


下位魔法:下位魔法を使うとき、詠唱が必要なくなる


火事場の馬鹿力:HPが十分の一以下の時、能力値が大幅に上昇する


適応力 心:精神に関係するものであれば適応することができる


逃走:逃げる際の俊敏の能力値が大幅に上昇する


異世界人:異世界より召喚されたもの、この世界の言葉を理解できるようになる


「うーん、ちょいちょい役に立ちそうなものがあるな……っていうか、逃げる際の俊敏の能力値上昇って……典型的なダメ人間じゃねぇ―か!!」


さすがマコト、割と本気で死にかけているというのに突っ込みがキレッキレである。


「まぁでも、こっちの世界の言葉がなんで理解できるのかはわかったな、でも、ステータスは読めたけど本とかは読めるのかな?」


マコトは読書が好きなので異世界の本には中々興味がある、本が読めればこちらの世界のことについて勉強もできるかもしれない。


「あとでクロエに頼んでみるか、記憶喪失って勘違いしてるから、いきなり放り出すようなことはしないだろうし……魔法の使い方とかも教えてもらわねーとなぁー」


異世界に来て死にかけたというのにも関わらずこんなにも呑気でいられるとは、さすが特技が適応力の男。


「それにしても、この『適応力 心』の精神に関係するもの、っつーのは一体どういうことだ?」


精神に関係するもの……見ず知らずの人に話しかけられても心臓がバックバックならないようになっていくとかそういう事だろうか。


「……そういえば、俺ってこれからどうすればいいの? 俺を召喚したやつも近くにいないみたいだし……あれ、俺ってば結構ピンチ? 住む場所もねーじゃん!!」


「あ、それなら大丈夫よ」


「ぬわぃっ!?」


突然クロエが現れたため、意味の分からない奇声をあげてしまった。


「ク、クロエ!? いつからそこに、ってかどうやって入ってきたの!?」


「普通にドアから入ってきたけど?」


クロエの服装は、騎士が着るような鎧から、お姫様が着るようなドレスに変わっていた。


「そ、そうなの? 全然気づかなかった……」


「そんなことよりも、お父様から許可がおりたわよ」


「……許可?」


「ええ、マコトがここに住んでもいいっていう許可」


「……へ?」


突然のクロエの言葉に、つい間の抜けた声を出してしまったマコトであった。

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