概要
だが名前を持たず、ナンバーも持たない惑星がその中にあるのだと、まことしやかに伝えられていた。
天才科学者により維持されている世界で、その「惑星ゼロ」はどんな意味を持つのか。
滅んだ惑星を捨てて、新たな天地を手に入れた人々の生活と、彼らの基盤に存在する女科学者の物語。
基本的に一話完結のオムニバス形式です。
どれから読んでも、何を読まなくても問題ありませんが、わかりやすいのは「13:夏、君のための夏」です。
完結はしましたが、サイドストーリーなどをほそぼそ更新しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!献身と愛情で世界を包んだ創造主は、今日も人々に寄りそい、その未来を作る
十六番目の物語を読みおえたあとの読後感が、まだ胸の奥でやわらかな熱を放っています。
外殻で覆われた惑星群を舞台に、そこに暮らす人々の暮らしを描いたオムニバスには、まだ見ぬものや手の届かないもの、失われてしまったものへの憧れが綴られていました。
それぞれの物語を繋ぐのは、ひとりの天才女性科学者と、かつて暮らしていた惑星を逃れて移民してきた彼らの歴史です。
断片的に提示される情報が、作品を読みすすめるに従って繋ぎあわされ、女性科学者と惑星ゼロについての真実が明かされるとき、彼女と彼の歩いた長い長い道のりが、そして遠い遠い未来が目の前にひろがりました。
この読後感こそが、この作品の一番の魅力です…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人類は再び宇宙から遠ざかった。惑星ゼロの真相を知る者は、宇宙で只一人。
私が修士課程を修了して8年になる。
研究の道に今も未練を持っている。
だから遠い未来の研究者たちの物語に心を惹かれた。
研究対象「宇宙」への複雑な想いにひどく共感した。
いつか遠い未来、人類が「旧星」を離れた後のこと。
多角形状に惑星が連結された「コートリア惑星群」。
外殻に覆われた環境は機械仕掛け。自然は存在しない。
「宇宙」は再び人類の手の届かないものとなっている。
『惑星#0』はそんな遠未来を舞台とする短編連作だ。
主人公は存在しないが、一貫して登場する人物がいる。
アキホ・F・フェリノルダ。
「ゼロ」について知る、謎多き美貌の科学者である。
宇宙工学、クローン製造、旧星時代の生…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この惑星群に住む全ての人々が、幸せでありますように。
旧星から人々がコートリア惑星群に移住して、200年。
場所も存在自体も不明の、謎の「惑星ゼロ」があると噂されている。
天才科学者アキホ・F・フェリノルダは、ゼロを知っていると言うが。
惑星群のさまざまな星を舞台に、直接には絡まない人々の物語。
皆がそれぞれの場所で楽しく、懸命に、日常を送っています。
イルカの研究で脱線している教授たちとか。
ツイストドーナッツの科学者の変人っぷりとか大好きです。
ショウレちゃんと、全然気づいてもらえてないクルエ君も青春でいいですね!
しかし、全ての中心にいるのはフェリノルダ所長。
最後まで読んで、真相を知ったとき。
先人たちが、これほどの思いで作り出した…続きを読む - ★★★ Excellent!!!過ぎた科学技術が要求する代償を、あなたは背負いきれますか?
地球滅亡後、人類が移住した惑星群で存在すらも定かではない惑星ゼロと、存在自体が謎に包まれている天才・アキホさんを巡る物語です。はるか遠い未来の物語ですが、あちこちに散りばめられた日本の文化が、和風好きにはたまりません(真顔) イルカを育てている教授が可愛いです。あと、SFのくくりでも、未来技術よりも日常に焦点をあてている話の方が個人的には好きなので、ぐっとツボを抑えられました。
最終話で明かされた真実が衝撃的すぎてなんとコメントしてよいものか。改めて読み返してみると、「ゼロを背負う覚悟」「真実は重くて見苦しい」などの言葉に頷かざるをえず。あまりに衝撃的すぎて、つい最初から読み返してしまったほ…続きを読む