#04:永遠なる愛
退屈だ、と彼は思って、そして実際口に出した。
それを聞いていたのはたった一人であったが、そちらからは賛同も反対も得られない。わかっていたはずなのに、実際その状況になった時の失望感は大きかった。
相棒たる男は寡黙な男だった。無愛想という訳ではない。それなりに冗談も言うし、喜怒哀楽もきちんとある。ただ集中してしまうと周りのことなど二の次になってしまう癖があった。
答えないものは待っていても仕方ないので、彼は再び手に持っていた電子端末に目を下ろした。巷では「オレゴン」と呼ばれている電子書籍の端末は、ここ数年で一気に普及した代物だった。電子書籍自体は珍しいものではなく、旧星時代にも出回っている。ただそれらはあくまで、データとして読み込んだ文章を単調に展開するだけの代物に過ぎなかった。
オレゴンの特筆すべきは、個人個人でデータに情報を追記できるという箇所にある。ページに対する注釈、他のデータとの関連付け、他システムへの情報送信。自らの手でページ毎に描画データをインプットすることも出来る。それらは完全な個人のデータであり、外部に流出することはない。
例えば大学生であれば、ページ数の書かれていない論文のデータを効率よく閲覧できるように注釈を入れて、自分の所持している論文、研究資料をリンクする。
社会人であれば資格勉強のための参考書に、その場で手書きで式を記入したり、専門用語を素早く確認するため別のデータへのリンクを張る。
オレゴンを持っているということは、それなりに勤勉で、それなりにデータを所有していることが暗黙の了解となっていた。
今、彼の手元のオレゴンの画面には宇宙定理の数式が表示されている。それを食い入るようにして見つめていると、
「退屈なら溜まっている仕事でも片付けたらどうだ」
相手がかなりの時間を挟んで答えを返した。
「溜まってるわけじゃない。一週間の仕事を調整しているんだ」
「二日分の仕事を一日に詰め込めば、好きな勉強も今より長く出来るだろうよ」
「わかってない。わかってないね。俺はそういう偏りのある生活は嫌なんだ。そりゃ勿論休みの日は好きなことを好きなだけする。だが仕事の日は一応、仕事をしましたと胸張って言えるだけの量はこなさないといけないからな」
アラード・シルディはそう言って満足そうな顔をした。
「仕事、ねぇ?」
その満足そうな顔とは対照的に、リジィ・ラップは涼しげな無感動を浮かばせている。
二人がいるのは巨大な倉庫の中だった。小さな街くらいの大きさを所有するその建物の中には木々が生い茂り、草花が床を埋め、そして動物の鳴き声が聞こえてくる。
二人は倉庫の入口から数十メートル分だけ用意された、「作業エリア」と呼ばれる場所で、少々声を張り上げて会話をしていた。
作業エリアの端には透明な素材で作られた横行開放型のシャッターが設けられていて、その向こうにある緑色の世界と分断している。それぞれに与えられた大きなデスクには書物や機器が並び、床には直接器材――スコップや測量道具などの嵩張るものが置かれている。更に壁沿いには給湯室や休憩室、シャワールームが完備されており、滅多に使うことはないが娯楽室まで用意されていた。
此処、第六惑星「リディーグ」は、バイオトープの試験場が多く存在することで知られている。
バイオトープ、所謂人工的な環境空間。条件を整え、意図的に温度や湿度、土や水を調節する。それにより、特定の生命体や植物を育てることが可能となる。
リディーグには似た様な施設が少なくとも二十個は存在する。それぞれの施設には職員が在籍し、依頼に基づいてビオトープの構築と管理を担う。彼らは特定の企業や研究機関には属さない、バイオトープの専門団体である。バイオトープの技術と施設を年単位で企業に貸すことで収入を得ている。
二人は共に二十代で、リディーグにいるバイオトープ管理士の中ではかなり若い部類に属する。体力がある、という理由だけで面積の広い施設を割り当てられていたが、現在の契約は管理士の手を必要最小限しか求めておらず、寧ろ過度の管理を禁じられていた。従って、二人は毎日暇を持て余しては、それぞれの研究や趣味に没頭していた。
管理士は国家資格であり、食いはぐれることはないが、潰しの利かない職業でもある。
五体満足で健康でないと管理士の仕事は勤まらない。
病原菌をバイオトープに持ち込むことは、恣意的な実験でもない限りは御法度であるし、定められた時間に管理を実施出来ないと、定期的に取得されるデータに狂いが生じる。休日も殆どなく、契約内容によってはその間の食事や飲酒、喫煙の制限まで設けられていることがあるため、自ずと人付き合いも悪くなる。一人で寝泊りしている管理士の場合、あまりの孤独に心を病む者も少なくない。
従って国家資格でありながら離職率が非常に高いというのが、管理士という仕事の欠点の一つだった。あまりの離職率に驚いた政府が、仕事中の自由時間の増加と行動制限の緩和を行ったくらいである。
つまり、それほど管理士が少なく、また同時に需要が多いということだった。
「オレゴンに食えるだけ情報を食わせるのは仕事よりも厄介じゃないのか」
「そうでもないさ。時々こっちのデータの作りが甘いのか、オレゴンが馬鹿なのか、ミヤビの論文なのに宇宙生物の注釈がリンクされたりするけどな」
「情報を取捨選択しないからだ」
知ったような口調でそう呟く相手に、アラードはいささか気分を害した顔をした。
「オレゴンのことはどうでもいいよ。ラップこそ、何してるんだ?」
「次に頼まれそうな仕事の予想を立ててるんだよ。勤勉な誰かさんと違って」
「そんなの予想だろう?お前の予想が当たってるのなんて見たことないぞ」
「そりゃ仕方ない。決めるのは契約者と組合だ。その時の人の気分まで予想に含められるもんか」
アラードはその理屈には肩を竦めただけで何も答えなかったが、何となく興味を抱いて椅子から立ち上がると、同僚の肩越しに手元を覗き込む。自分のより一世代前のオレゴン端末に、様々な企業の名前と研究内容、着手時期などが映し出されている。歪んだ赤い線で塗りつぶされているものもいくつかあり、それはリジィが自分達に回されることはないと踏んだものだった。
「何処が有力?」
「ショウファー製薬と宇宙機構大学のサイトー研究室だな。どっちも広面積のバイオトープを必要とする」
「ショウファーは動物実験用のバイオトープだろ。もっと狭い面積でいいんじゃないか?」
「いや、今度は植物成長抑制剤らしい」
「はぁん、なるほどね」
「俺の勘ではショウファー製薬だな。サイトー研究室は俺達には荷が重いだろうし」
リジィが小さく笑みを浮かべる。
「あぁ、あの教授って凄い曲者なんだろ?」
「そうそう。ちょっとしたことで機嫌損ねるから、俺達じゃ無理だろうな。イシキさんとかのベテランじゃないと」
その時、不意に入場ゲートの右側にある通信機がけたたましく鳴り始めた。普段滅多に鳴る事がないため、二人とも一瞬驚いた顔でそれを見る。
「何だよ、急に」
アラードはそう言いながらも小走りにゲートに近付くと、通信機のパネルに指を走らせた。通信可能状態になり、相手の声が聞こえてくる。
「やぁ、おはよう。組合のファンディだ」
少々年老いた、しかし歯切れの良い口調。管理士組合の副会長である男の声に、二人は余計に首を傾げた。
「おはようございます。何かありましたか?」
「いや、丁度今、そのバイオトープの契約主がいらしてるんだ。仕事でこちらに寄ったとかでね。良ければ中を見てみたいと仰っている」
「契約主って・・・・・・」
「おいおい、今の契約主くらい覚えていたまえよ。エンガ製薬の開発部じゃないか」
「それは流石に覚えていますけど、まさかそこの部長さんとか言いませんよね?」
「そのまさかだ。それで、中に入れても良いかね」
アラードが何か言うより早く、いつの間にか後ろにいたリジィがその体を押しのけてマイクに向かって口を開く。
「煙草、飲酒を六時間以内に行っていなければ」
「その点は大丈夫だ。こちらでチェックしている」
「そうですか。だったら通してください」
契約主とは言っても、バイオトープの中に関しては管理士に一任されており、例え関係者でも管理士の許可なくして入ることは出来ない。それは契約時の書類にも明記されていることで、過去に何度かそれを破った者もいるが例外なく刑務所に送り込まれている。
「では今からご案内するよ。あー、そうそう。以前も言ったと思うが……」
「そこはご安心を。ちゃんと把握しています」
リジィはそう言いながら探るような目でアラードを見た。アラードはどこか困ったような顔をしていたが、見られていることに気付くと何度かしっかりと頷いた。通信を切った後、リジィは建物の中を見回して、大袈裟な溜息をついた。
「とりあえず目に付くものは片付けておこう。規約に反していないとは言っても、相手も気になるだろうし」
「そうだな。特に俺のところ汚いし」
「だから普段から片付けておけと言っているのに」
「仕方ないだろ、物が勝手に増えるんだ」
「無機物は勝手には増えない」
同僚に冷たく言い渡されたアラードは、聞こえるか聞こえないか程度の声量で愚痴を漏らしつつ、目立つものを片っ端からかき集め、机の下の木箱に押し込んだ。
「あと、わかってると思うが」
「あぁ、十分心得てるさ」
エンガ製薬は化粧品を専門に手広く商売をしている企業であり、特に美容液については女性の二人に一人はエンガ製薬の物を使っているとすら言われている。そこの開発部はバイオトープ管理士の間では「お得意様」として認識されていた。そして、その開発部の責任者でもあり部長職でもある男については、彼らの間に一つの決まりごとを作っていた。
「姿を見ても驚かないこと、だろ」
「わかっているなら良い」
「でも結構ハードな要求だ。ただの暗黙の了解みたいなものだと言われたって……」
「おい、来るぞ」
ゲートが外側から解錠される音が天井に備え付けたスピーカーから響く。それから数秒もしないうちに鉄製のゲートが音を立てて左右に開いた。
「邪魔をするよ」
その声は二人の鼓膜に耳障りなほど高く響いた。一昔前の変声機を通したような子供のように甲高いそれは、更に古めかしいセルロイドのお面の向こうから聞こえてくる。
二人の目の前にいるのは、六歳児程度の身長に特注品であろう白衣を身にまとった男だった。目星を強調した大きな瞳、小さすぎる鼻、左右対称のカーブを描いた赤すぎる唇。
ミヤビの縁日に並ぶような、アニメキャラクターを更にデフォルメしたお面は満面の、それでいて無機質な笑みを浮かべている。
「直接会うのは初めてかな?エンガ製薬開発部のクレイ・クートンズだ」
こちらに向けて伸ばされた手は、色も形も子供のそれだったが、薬品焼けと思しきシミや切り傷が浮かんでいた。二人は交互にその手を握り、歓迎の言葉を述べる。続けて言葉を紡いだのはリジィの方だった。
「それで、バイオトープを御覧になりたいとか」
「近くまで寄ったものだからね。珠には見るのも一興だと思ったんだ」
声から感情を読み取ることを、リジィは早々に破棄した。クレイ部長の奇妙な容姿については、様々な憶測が流れているが、誰一人としてそれを直接尋ねる者はいなかった。
「会社で専属の管理士を持つことは禁止されているから、こうして人に頼むんだが……まぁそれで正解だろうね。もし内部の人間に任せたら、心配で何度も見に来てしまいそうだし」
「それがいいですね。もし大企業が管理士を雇うようになったら、正確な数値は取れなくなるでしょうし」
リジィがそう呟いたのを、クレイは愉快そうに笑って流した。
「それにしてもなかなかいいバイオトープじゃないか。これなら期待していた通りのデータが頂けそうだ」
「ご依頼内容は、宇宙糸瓜(ヘチマ)の変種の交配でしたね。殆ど手を加えずに経過を見ること、とありましたが」
「その通り。今の宇宙糸瓜は非常にデリケートで人の手を加えないとまともに育たない。それゆえに収穫量が少なくなり、糸瓜水は最高級化粧水の一つになってしまっている」
クレイは二人を後ろに従わせるような形でバイオトープの中に足を踏み入れた。湿度が高く、土の匂いが強く香る。虫の気配はするが姿は見えない。広い建物の中を限界まで使用して作られた、そのバイオトープは、今のところリジィとアラードにとって「最高傑作」と言えた。
「しかし。しかしだね。管理士の君達なら知っているかと思うが、そもそも糸瓜というのは放っておいてもある程度育ち、非常に安価な代物だったんだよ」
その台詞にリジィは何か言いかけたが、途中で止めてしまった。代わりにアラードが続ける。
「しかし、それは旧星時代の話でしょう?コートリア惑星群では宇宙糸瓜以外の糸瓜はまともに育たない」
「そうだ。宇宙糸瓜は真っ白で小ぶりだが、糸瓜は緑色で大きかったという。繁殖能力も高く、どこでも育ったというから、根本において宇宙糸瓜とは一線を画すと言える」
建物の中央付近にくると、そこだけ木が取り払われて、代わりに軽く耕された土と、そこに何本も乾燥した竹の棒が刺さっている場所があった。土から伸びた白い蔓が、その棒にらせん状に絡んでいる。そして大人の掌ほどもある大きな緑色の葉の合間に、小さな緑色の実が覗いていた。
「おぉ……すばらしい」
面の下から感激のあまり掠れた声が零れた。アラードはそれを横目に説明を始める。
「ご依頼の品種改良された糸瓜の種を、ご依頼通りの環境で育てています。宇宙から持ち帰られた土、石、水。旧星時代の資料を基にしてプログラムされた日照時間。ランダムに降る雨。滅多にない依頼です。普通は一定条件の維持が要求されますから」
「そうだろうね。だがランダムであることが一定条件というだけで、別段いつもの依頼と違う認識はないよ、こちらには」
男は小さな手を伸ばして糸瓜の実に触れた。細やかな繊毛となだらかなライン。薬品を使わなかったためか、少し不恰好に捻れた先端。そのどれもが、小さな手とその先の神経を満足させるには十分だった。
「やはり私の思ったとおりだ。この調子で頼むよ」
「はい。……しかし、どうして糸瓜にこだわるんです?」
何となく口にしたアラードは、次の瞬間それを後悔した。
依頼主の意向に関して、必要以上に口を挟まない。それは管理士達の間の常識だった。実際それを犯して、契約打ち切りになった案件も存在する。しかも今回の依頼主は、一、二を争うほどの変わり者であり、同時に権力者でもある。もしこれで疎んじられでもしたら、彼らのところに大口の仕事が回ってこない可能性もあった。
そんなアラードの不安と後悔を、しかし相手は軽く笑うことで払拭する。
「糸瓜は肌にいいんだそうだ。どんな薬よりも、ずっと。知り合いの女性がそう言っていてね。その人は陶器のような白くて滑らかな肌をしていた。形の良い頤(オトガイ)をその肌で包み込んでいるような、そんな人なんだ」
「宇宙糸瓜ですか?」
「私もそうだと思ったんだけどね。彼女は糸瓜だと言うんだ。宇宙糸瓜も悪くはないが、糸瓜と比べるとどうにも繊細すぎる、と言っていた」
糸瓜そのものは、まだ惑星には生息している。だがそれらは雑草扱いされていて、時折小さな実をつけては熟さないうちに枯れてしまう。糸瓜は宇宙糸瓜の亜種であって出来損ないだと思う者も少なくない。
「糸瓜水は、この惑星群の歴史が始まった頃からある。しかしそれは宇宙糸瓜じゃなかった。旧星の糸瓜だった。誰かが持ち込んで育てていたんだろう。その頃には確かに栽培方法があったはずなんだ。しかしいつしかそれは失われて、宇宙糸瓜が代頭してしまった」
クレイは小さな実を、宝石か何かのように恭しく扱いながら、吟じるように言葉を紡ぐ。
「永遠の若さについて君たちはどう思うかね」
不意に話が変わったことに戸惑いながらも、リジィはそれに何とか反応した。
「若さ、ですか」
「そうだ」
「まぁ、素晴らしいことなんじゃないでしょうか。特に女性だとか働き盛りの男性にとっては」
「ふむ。実に庶民的な意見だ。しかし正しい。私はね。永遠の若さを追求しているのだよ」
デフォルメされたキャラクターの笑顔が、心なしか歪んで見える。顔と声を隠してなお、そんな印象を他者に与えるのは、彼自身の感情が極めて多彩なためだった。
「年を取ってなお、私のその情熱は尽きないんだ。この年で今さら永遠の若さなど何になるか、という話なんだがね」
「………はぁ」
リジィはそれ以外の返答が出来なかった。アラードも同様に困惑した顔をしてる。幼い体つきをした科学者の口から語られる「老い」はどこか不自然であると同時に不気味なものも兼ね備えていた。
二人の思考を見抜いたかのように、クレイは肩をすくめて首を振る。
「これは失礼。若い君たちにこんな話はよくないね。混乱させるだけだ」
「いえ・・・・・・俺達は頼まれたことを遂行するだけですから」
「まぁそれがいいだろうね。しかし、少しだけ昔話に付き合ってくれたまえ」
クレイは糸瓜から手を離して、二人に背を向けたまま話し始めた。
「遠い昔の話だ。私は、自分で言うのも恥ずかしいことだが何不自由ない裕福な家に生まれた。炊事も洗濯も自分でやる必要もない、ベットシーツのしわ一つで使用人をクビに出来るような、そんな家だ。当然私には全てのものが与えられた。不満なら泣き喚けばよかったし、嬉しくても礼をする必要すらなかった。父親は大学の学長でね。私には幼い頃から様々な教育がなされたよ」
二人の管理士は、相手の意図が掴めないまま話を聞いていた。
「あれは忘れもしない。七歳の秋だ。私に一人の家庭教師がつけられた。美しくて気品のある女性だった。様々な知識を持ち、それを子供である私にわかりやすく教えてくれた。彼女にとってはどんな理論ですら、寝物語のように心地よく教えることが出来るんだよ。
私は彼女に様々な知識を与えられた。彼女はいつも白紙の束とペンだけ持ってきて、そこに自由に数式や図を書いて私に「授業」をした。そして終わるとその紙を惜しげもなく破り捨てて帰ってしまう。そんな人だった。
彼女はその頃、二十代半ばに見えた。私は彼女に憧れて、彼女と知識を共有したいと考えた。というか、そうだな……彼女に認められたかったんだ」
気温調整機が動作する音がかすかに聞こえた。リジィが腕時計で時間を確認する。午後三時。今から気温が下がり始める。勿論何処まで下がるかは機械のプログラム次第で彼らにもわからない。
「彼女はある時を境にして家庭教師をやめてしまった。だが私はすでに彼女を追いかける気持ちで一杯だった。がむしゃらに勉強して、本を買いあさり、大人に混じって学会の傍受すらして、そして宇宙機構大学に入ったんだ」
宇宙機構大学。学問の最高峰と言われる教育機関。
管理士である二人は、専門の大学の卒業生であるが、仕事仲間の中にはその大学の卒業生も多い。
「私が目指したのは彼女だけだった。フェリノルダゼミ……大学の数多いゼミの中でも一番人気があり、そして一番難しい……。あのゼミに入れるのは大学の中でもトップクラスの知能の持ち主だけだったからね。私も許可が出るまでは気が気じゃなかったよ」
「つまりその家庭教師っていうのは……」
アラードがそう呟くと、クレイは大きく頷いた。
「そうだ。アキホ・F・フェリノルダ教授のことだ。今は所長かな?とにかく私の時はまだ大学に在籍して教鞭を取っていた。あぁ、あの時の感動と言ったら。ゼミ生の顔合わせの時、私はあの白いドアの前で何度も深呼吸をした。ドアの向こうにいる彼女のことを考えてね。私のことなど忘れているだろう。しかし覚えていてくれたら?私という一人の人間に対して、彼女が脳に存在をインプットして、名前がわかるようにインデックスをつけていたら!あんなに緊張をしたのは……そうだな、高校時代のフィンボールの惑星決勝戦以来だったかもしれないな」
「フィンボールをなさってたんですか?」
今度口を挟んだのはリジィだった。
「あぁ、これでも肩には自信があってね。ゴールからフィールドオンの選手にまで届いたこともある」
その言葉にリジィは内心首を傾げた。
学生時代に同じくフィンボールをしていたリジィにとって、フィールドオンという言葉は知識の一つとして記憶されている。二つに分けられたフィールドで、敵陣営にいることを指す言葉であるが、それは三十年前に廃止されてしまった用語の一つだった。今では全く違う言葉を用いる。
つまりクレイは少なくとも三十年前にフィンボールをしていたことになり、その時選手として活動可能な年齢を考えたとしても、現在五十歳以上でなければ計算が合わない。
一体、この奇異なる研究者は何歳なのだろう、とリジィは今まで努力して無視していた疑問が頭の中で復活するのを感じた。しかしその疑問が確固たる形を持つ前に、クレイの感情的な声がそれを阻害する。
「私はドアをゆっくりと開けた。そこに居たのは紛れもなくあの人だった。彼女は私を見て、数秒だけ黙った後、口角を吊り上げた。「クートンズ家のクレイ令息ではないか。元気だったか?」と言ったんだ。しかし私はその時、全く別のことに衝撃を受けていた。教授用の革張りの椅子に座った彼女は……私の名前を呼んだ彼女は……、最後に見たときと全く同じ姿をしていたんだよ」
面の下から大きな溜息が零れた。
「顔も声も、二十代半ばのものだった。美容整形でもないし、別人でもない。正真正銘、彼女は私の家庭教師をしていた人間と同一人物だった。それからだったね。私が永遠の美と若さに取り付かれてしまったのは。彼女の秘密を知りたくて、少しでも彼女に近付きたくて、研究を重ねたよ。周りは止めろと言ったけどね。私にとって若さの研究は青春の全てだった。今考えれば本末転倒だけどね。若さを調べるのに己の若さを犠牲にしたのだから」
「フェリノルダ所長には聞かなかったんですか?」
アラードの問いかけを、クレイは肩を竦めることで返す。
「先生の答えはいつも同じだった。
「そんなくだらないことを考える暇があるなら、ゼロでも眺めていたまえ」。見えないものを眺めていろなんて、先生らしい嫌味だったな。私はますます研究にのめり込み、その成果を買われてエンガ製薬に就職して……気付いたら私の外見年齢は彼女を追い越してしまった」
「え……」
その声が果たしてどちらの口から漏れたのか、二人には全くわからなかった。
「……私は彼女と同じようになりたかったんだ。若い君たちにはわからない感覚かもしれないけどね。私は年老いて、皺が増え、白髪も現れてくる。彼女は薬品染み以外は美しい肌に皺の一本も許さず、黒曜石を紡ぎ上げたような真っ黒な髪を風に靡かせる。彼女は私達とは全く別の時間を生きていた。私はそれまでの研究を全て自分の体につぎ込んだよ。少しでも若返るように、少しでも老いを防げるように」
―――だが、無駄だった。
クレイが吐き捨てるように言った言葉は、それまでと全く違う重苦しい感情を含んでいた。
「全てが手遅れで、全ての研究が無駄になった瞬間だったよ。肌細胞を培養して植えつけても、血液を全て入れ替えても、老いは止まらなかった。いや、むしろ倍速するかのようだった。一度老化を始めてしまった細胞を止めることなど出来ないんだ」
「で、でもだったらどうしてフェリノルダ所長は……」
「老化しないんだろうね」
アラードの疑問を、クレイはその一言で片付けた。
「彼女は老いなど知らないんだ」
「そんなの有り得ないですよ」
「彼女に可能不可能を当てはめるのは馬鹿らしいことだと思わないかな?」
「いや、思わないかな?と言われましても」
「だから私は諦めたよ。自分の肉体をね。………ん?」
クレイは頭上を振り仰いだ。その面に水が付着しているのに気付いて、リジィは「あ」と呻いた。
「クレイさん、雨が降るようです。作業エリアに戻りましょう」
「雨か。知識として知っていても、浴びるのは初めてだな」
コートリア惑星群には天空の代わりに外殻と呼ばれるものが覆っており、そこにプログラミングされないと雨が降らない仕組みになっているため、農業など特定の職業に就いていない限り、殆どの人間は雨の経験がない。
何処か楽しそうなクレイの様子に、二人は顔を見合わせて溜息をついた。管理士の二人は雨も雪も見慣れているため、煩わしい日程の一つでしかない。湿った空気の中、作業エリアに戻ると、二人はクレイに椅子を薦めた。
「珈琲と紅茶がありますが」
アラードが声をかけると、
「紅茶を頂こう」
体の小さい男は苦労しながら椅子に腰掛けて言った。その返答を受けて、アラードは自分のデスクの奥にある給湯室へと消える。
「糸瓜の飼育は順調のようだ。一定の大きさになるまではこの調子でお願いするよ。えーっと」
「リジィ・ラップです」
自らの名前を名乗りながら、少々人付き合いの苦手な男は、この変わり者の研究者と暫く話さなければいけないことを悟って声を曇らせる。
「そうだった、そうだった。こちらで指定した薬剤だがね、投与後のデータの値によって変更するかもしれないが大丈夫かね?」
「最初に頂いた成分表から大きく外れなければ。ただ念のため変更したら成分表を一緒に送ってください」
「ふむ、それは道理だね」
「あと宇宙糸瓜の場合は収穫時期が……おい、シルディ。何をしている?」
給湯室で何やら騒がしい音を立てていたアラードは、困ったような顔で同僚に振り返った。
「いや、紅茶の缶ひっくり返しちゃったんだ。そしたら砂糖とか他のもんもバラバラバラバラ……」
「だから片付けろと言っただろう」
「なんだよ、茶の一つも淹れられないラップには言われたくないな」
「うるさい、苦手なんだから仕方ないだろう」
「偉そうに……」
愚痴りながら缶を拾い上げる姿を視界から外して、リジィは再びクレイを見る。何度見ても変わるはずもない仮面の笑顔に、照明が薄青い影を作っていた。
「料理はしないのかね」
「料理ではなくキッチンそのものが苦手なもので」
「変わっているね」
「よく言われます。トラウマみたいなものなので、こればかりはどうにも。クレイさんは?」
「あぁ、料理は嫌いじゃないよ。ただ体のサイズの問題でね。普通のキッチンは私には大きすぎる」
「………」
リジィは先刻のことを思い出して何度か瞬きした。
「あの……フィンボールの選手だったんですよね?」
「ん?あぁ。高校と大学の頃だが」
「その……あれって身長制限がありませんでしたか?」
「あるとも。激しいスポーツだからね。……君の言いたいことはわかるよ。私のこの体では絶対に身長制限にひっかかる。この体だったらね。さっき言わなかったかな?「自分の肉体を諦めた」と」
そこにどうにか紅茶を人数分入れたアラードが戻ってきたが、ただならぬ緊張感が満ちているのを悟ると、黙って紅茶のカップを配った。
「それは、どういう意味ですか?」
「ふむ。最初に誤解を解いておこう。私はつい二十年前までは平均的な男性の身長と、やや肥満傾向ではあったが健康範囲内である体重を所持していた」
「で、でも……」
「だがさっきも言ったとおり、既にその肉体は老化していた。あのままでは近いうちに老衰を迎えていただろう。そこで私は考えた。違う肉体になればいいのだとね」
二人とも何も言葉を発することが出来なかった。目の前にいる奇異なる研究者を、凝視するのがせいぜいだった。
「フェリノルダ先生ほどではないが、有名な科学者がいるんだ。ICHIのクローンのことは知っているだろう?あれに埋め込む電子チップの基礎理論を構築したんだ。その化学者もフェリノルダ先生の教え子だったから連絡を取るのは案外簡単だった。私は聞いてみたよ。クローンに本当の人間の脳を移植することは出来るかと」
「な……っ」
「待って下さい、まさか……」
二人が続けて声を上げる。しかし、クレイは構わずに続けた。
「物凄く面食らってたよ。まぁ無理もない。急に連絡を取ってきた老人が、訳のわからない質問を投げてきたんだからな。そしてこう言った。「必要なんですか?」と」
「必要なんですか?」
「必要なんだ。私がフェリノルダ先生に近付くために」
「………あなたはゼロを探しましたか?」
「無いものは探せないよ」
「………なるほど。……理論的には可能です。必要なら、お手伝いしましょう。ですが、それだけです」
「それだけ、とは?」
「私がクレイさんに協力するのはこれっきりです」
「なぜ?」
「私の研究は宇宙のためです。フェリノルダ所長のためではありません。それに断言しましょう。あなたはきっと後悔する」
「彼女は私とは違って天才でね。翌日にはどうすれば私の脳内シグナルをチップに入れて、クローンに移植出来るか、そのためにクローンの頭蓋をどのように改造すればいいか、完璧なデータを作り上げていたよ。最も、二度と関わらなくてもいいように頑張りました、という嫌味のメッセージもセットで私の家に届けられたけどね」
「彼女?」
アラードが意外そうに問い返す。
「ん?言わなかったかな。その科学者は女性でね。フェリノルダ先生のお気に入りだったよ。確かに女性の化学者は少ないが、珍しいものでもあるまい」
「それで、あなたは…そのデータに基づいて……」
「あぁ、移植したよ。最初に移植したのは十歳程度のクローンだった。ICHIで使っているクローンの顔と骨格だったから最初は違和感があったが、すぐに慣れた。それから二年後、捨てた自分の肉体から作ったクローンに乗り換えた。今の肉体は5体目だが、今のところ脳神経回路に異常は見られないよ」
「……五体目?でもそれ二十年前ですよね。そんなに頻繁に変える必要があったんですか?」
リジィがそう問い返すと、一瞬だけクレイの言葉が止まった。しかしすぐにもとの調子に戻る。
「私が目指すのは不老不死だ。例えば肉体年齢に応じて取りたいデータも変わってくるのでね。それで何度も体を取り替えてデータを取り直しているんだ」
「そういうもんですか?」
「君達だって同じ植物を何度も育て直したりするだろう?そういうもんだよ」
「しかし……その…貴方がクローンであるということは……」
「周りは勘付いてはいるだろうね。美容整形ならとにかく、身長まで変わるってのは考えにくいから。ただ誰も聞いてこないよ。腫れ物に触るかのごときだ」
「いえ、フェリノルダ所長はご存知なんですか?」
「知っているよ。この体になって初めて先生に会ったのは……十年ほど前かな。不思議なことにね、先生は既にそのことを知っていたんだよ。会うなり呆れた様な顔で言われたけどね。「馬鹿なことを」と」
クレイは面の口の部分に紅茶のカップの縁を合わせると、そのまま中身を飲み込む。管理士達の目は、その喉元あたりに暫く注がれていた。
「実を言うとね、その時まで私は先生もクローンだと思っていたんだよ。そう考えれば辻褄が合うことが多かったからね。なのに開口一番そんな風に言われて、カッとなってしまって、思わず言ってしまったんだ。「先生も同じなんじゃないですか?」と」
「そ……それで?」
アラードが一拍間を置いて聞き返した。
「………」
面の向こうで、クレイが小さく息を零すのがはっきりと聞こえた。
「「それならどんなにいいことか」先生が言ったのはそれだけだったよ。それっきり私は彼女に何も言わなかったし、彼女もその話題には触れなかった」
バイオトープの雨音が強くなった。シャッターに水が跳ね返る音が次第に高音になっていく。クレイはその音で我に返ったように顔を上げた。
「話しすぎてしまったようだ。そろそろ帰らなければ」
「クレイさん、今の話は……」
「君はシルディ君、だったか。他言無用にお願いするよ。こんなこと、おおっぴらになっても困るからね」
バイオトープの土壌に汚れた白衣の裾を翻し、クレイは出口から外へと出て行く。その姿は急いでいるようでもあり、それでいて落ち着き払っているようにも見えた。
二人は何も言えず、言葉すら捜そうとせずに、その悲しい老化学者の背中を見送った。そのまま数分の時が流れ、沈黙と雨の音が続く。口火を切ったのはアラードのほうだった。
「ラップ、気付いたか?」
「……お前もか。では俺の気のせいではないな」
リジィはさっきまでクレイが飲んでいた紅茶のカップを見る。飲み口が小さく、深さがあるそれを掴みあげて
「お前、これわざとだろう。これ探そうとして缶とかひっくり返したんじゃないのか」
「結構奥に入ってたから……」
「けど、よく気付いたな」
「雨だよ」
アラードは少し躊躇いながら呟いた。
「上向いた時、全然お面が動かなくてさ。普通ちょっとはズレるんじゃないか?だからもう一回確認しようと思って、顎をかなり持ち上げないといけないようなカップにしたんだ」
「刑事にでもなればよかったんじゃないのか」
「親の職業は継がないのがシルディ家の信条だ。で、やっぱりそうだよな?」
「あぁ、あの人の仮面は顔に貼りついてる。……というか、あれが顔面皮膚の代わりなんだろう。変声機も多分喉か口腔内に直接埋め込んであるはずだ。そうじゃなきゃ無造作にお面の口の穴から紅茶を流し込むことは出来ないだろうし」
「でもなんでその必要があるんだ?」
「多分、あの人は既に老化が始まってる」
リジィの結論に、アラードが驚いた顔をする。
「はぁ?だってあの人は……」
「理由はわからないが、あの人はかなりの高齢になってから若返りの施術を試み、クローンに脳を移植した。クローンになる前の施術に関しては、「老化が始まったから全て無意味だった」と言っていただろ?……もしかしてそれはクローンの体になってからもそうだったんじゃないか?」
「でも若い肉体なのに、どうして?ICHIのクローンが急速に老化するなんて話聞いたことないぞ」
「俺は管理士だから、詳しいことはわからない。ただオレゴンで読んだことがある。人間の脳っていうのは思い込みが激しいそうだ」
「思い込み?」
「一度インプットされた情報がなかなか消えないようになっているということさ。それが肉体に近付けば近付くほど。腕を切断された人間が、既にない腕に痛みを感じたりする「幻肢痛」というのが代表的みたいだ」
「脳が腕を誤認するってことか」
「そういうことだな。しかも脳の誤認は体にも影響を与える。だからあの人の脳は「肉体が老化している」という過去の事実が強く焼きついてしまってて……」
「それでいくら肉体を変えても老化しちまうってことか?そんなことありえるのかよ」
「有り得ないことじゃないだろ。クローンって確か、脳内シグナルを正確に受信できるように出来てるって話だし。普通の肉体と脳みその関係なら無視されるようなことも全部肉体に反映されるのかもしれない」
「じゃあ何度も肉体を変えているのは……」
「急速な老化で体がもたなくなったんだろうな。いくら体だけ若くしても、脳の中の認識を削除することは出来ないということだ」
そこまで話を続けて、不意にアラードが引きつったような声を出した。
「じゃああの人は何のために自分の肉体を捨てたんだ?」
「結果論を目的に摩り替えるな。あの人の夢と現実が違ったってことだろ。皮肉な話だよ。若さを求めるあまりに老いが頭にこびり付いてしまうなんて」
気付くと、いつの間にか雨は止んでいた。プログラムに従って日照が再開される。シャッターに残った水滴が、ゆっくりと地面に向かって流れ落ちていくのが見えた。
二人はそれぞれの椅子を引き寄せて、デスクに向き直ると、ほぼ同時にオレゴンを手に取った。しかし操作はせず、惰性でその表面をなぞるだけだった。いくつもの溜め込まれたデータが画面を流れていく。
「あの人は満足なのかな?」
ラップの独白じみた問いに答える者はいなかった。
クレイが求めているのは若さではなく、フェリノルダ所長の世界なのだと、なんとなく二人とも理解はしていた。同じ時を共有して、同じ世界を見たかったのだろう。それを思考や知識ではなく、外見で補おうとした。彼が頼ったという女科学者は、それを見透かしていたに違いない。だから「後悔する」と忠告した。
「満足なんだろうよ。あぁしてる限りはな」
アラードは自分でも少々乱暴だと思うくらいの結論を下した。オレゴンの上に数式が踊る。
「俺はバイオトープが恋人でよかったよ。真似しようたって真似できないからな、これは」
「………」
「おい、ラップ?」
椅子の背もたれに体重をかけて、首を後ろに傾けて同僚を見る。リジィは片手にオレゴンを持ったまま、どこか違う場所を見ているようだった。その視線の先には、まだ散らかったままの給湯室があった。キッチンの類が大嫌いだと豪語していた男らしからぬ行動に、アラードは冷や汗を流す。
「おい!」
大声を張り上げると、リジィは我に返ったように肩を跳ねて振り返った。
「何だよ」
「………人が話しかけてるんだから返事ぐらいしろ」
「だから、何だよ」
「もういい」
クレイの話を聞いていたときと同じ、薄ら寒い感情がアラードの中を満たそうとしていた。あの男の話が、この同僚の何かを刺激してしまったのかもしれない。オレゴンが複数の情報を連結して、関係のなかった事象を些細なデータで繋いでしまうように。
そんな妄想を、しかしただの愚考と斬り捨てることは出来なかった。実りかけた糸瓜と同じ、既に生まれたものを無かったことにすることは出来ない。枯らすのにも時間がかかる。
願わくばそれが、ただの自分の杞憂であることを祈りながら、アラードはオレゴンに映し出された宇宙定理の方程式を、飽きるまでずっと眺めていた。
END
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