指を広げて目を隠す -2-

 覗いた途端、オークと被害者女性の接合部がドアップになった。

「な⁉ スピカ、お前見てんじゃねーか。しかも一番エロいところ見やがって」

『み、見てないもん』

「どっちでもいいから、今拡大の魔眼使うのはやめてくれ。動きづらくなる」

『ず、ズームなんてしてないもん』

 ったく、こんな狭い洞窟でズームしたまま動けるわけ無いだろ。

 女の秘部はオークの催淫効果で洪水のように濡れており、腕のように太いモノが激しく出入りしていた。視点が顔の方に移ると、服は無残にも破かれていた。大きな胸はさらけ出されだらしなく外へ垂れている。年の頃からして訴えてきた男の奥さんだろうか? 

 次に視点が移り、今度は小さな娘が寝ているオークの上に跨り無理矢理貫かれていた。見るに耐えなかったのか、すぐさま視点が移る。

 次は年頃の娘のようだ。全裸で四つん這いになり、動物のように後ろから貫かれていた。もう意識が全く内容で、白目をむいていた。

「おい、スピカ。いい加減にしろ。これじゃ助けに行けない」

『だって、だって』

「仕方ない、俺が左目を瞑る。アケミさん、悪いんだがもう少し魔眼の力を強めてくれないか」

 アケミさんがため息を漏らしていった。

『わかったわよ。これだから処女は駄目ね』

 すると夜目の効果がどんどん高まり、曖昧だった輪郭が色濃く現れてきた。

 オークの習性は、性行為中は灯り以外のいかなる妨害を無視をする。その理由が、鋼鉄のように硬い皮膚への自信だ。普通の剣じゃ歯が立たないから、大抵オーク狩りは槍と弓を持っていく。それでも屈強な冒険者が五人がかりでやっとかすり傷が付く程度だ。

 だが、この魔双剣なら!

 まずは近くのオークに向かって右剣を振り下ろした。

「ぶひぃぃぃぃぃ」

 案の定、《ファング》は鋼鉄と言われる皮膚を貫いて左右に引き裂いた。背骨と肺をさらけ出してこのオークは絶命した。彼女をオークのイチモツから引き抜き、ゆっくりと寝かせた。

 次、幼子を寝ながら犯しているオークの首だ。俺はジャンプをして体を捻り回転させると、右剣に力を込めて喉元へ突き刺した。

 オークは絶命の声すら挙げられず、動かなくなった。ゆっくりと幼子をオークから引き抜き、横たわらせる。

 さっと振り返り構える。

 が、最後の一匹になっても犯すことに夢中だ。

 アケミさんがじれったいと急かした。

『ねえ、オークどものちんこぶった切ればいいじゃないのさ。坊やの腕なら出来るでしょ』

「無理だ」

『何でよ』

「オークのイチモツは、ダイアモンドより硬い。いくら《ファング》でも弾かれるのが落ちだ」

『嘘でしょ』

「よく素人が、全裸のオークのイチモツを狙って飛び出すことがあるが。そいつで頭を殴られて即死、なんて話はよくあることだ」

『うわ。どん引き……』

 とにかく俺は、背後から心臓にめがけて双剣を突き刺した。

 最後の一人を横たわらせて、周りを見る。

「たしか攫われた女は五人と聞いた。あと二人はこの奥か」

 ザッパーから聖水を取り出し、最初に助け出した女性の股を開いた。

『何やってんのよ、あんたにそんな趣味があったなんて』

「勘違いすんな。この中に聖水を入れてオークの精液を死滅させるんだよ。このままじゃオークの赤子が生まれてしまう」

 聖水の瓶は一人一本。

 にちゃっという音がして、瓶が精液に絡みつく。気持ち悪いったらないが、そんなことは言ってられない。奥まで入れると、腰を浮かせて聖水を流し込む。たとえ膣内が精液で溢れていようと、この聖水なら粘っこい精子だろうとすぐに混ざってくれる。

 乱暴にされた部分の傷を俺の低級オーラで応急処置を施した。だが膣や子宮の傷は上級オーラの使い手じゃなければ治せない。でも痛みだけはなんとか取り除いたつもりだ。

 そしてザッパーから羽織モノを三着取り出して、寝ている女性たちにかぶせた。

『どうするの、この人達』

「意識がない以上、動かせない。アケミさん、洞窟の入り口まで戻って近衛隊を呼んできてくれないか」

『私しかいないか。分かったわ』

 解放されたアケミさんは、ハシゴに向かっていった。

「アケミさん」

「何」

 俺は長い間ダンジョンに入っていて、外に出た体験を思い出した。

「そのまま外に出て太陽の光を見るなよ。目が潰れる」

「分かった」

 これで一安心。

 ただ、その間にここに他のオークが女の匂いを嗅ぎつけてこなければいいが。

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