異世界娘 -3-

 剣身から細い剣を抜いた刹那、剣身が飛び出しみるみるうちに大きくなっていった。それは人の形となり、女となった。

 意味が分からないだろうが、言ってるこっちも意味が分からん。

 などと誰に喋っているのか分からない状況に本当になった。

「ザッパー? んなアホな。人が本当に入ってたならもっと重いだろうがよ!」

「ん……? あれ、ここは……私は……」

 長いズボンに胸は標準サイズで見たことがない服、髪型は赤っぽい黒髪のツインテール、顔はまあまあな、女というより少女が出てきた。俺よりは年下に見えるが? どこの民族だ? 肌は俺よりやや黄色みかかっているし、顔の彫りは丸めだ。

「あんた、なにもんだ。この剣から出てきたのか」

「え? アンタ誰ですか、ちょ、マジやめて」

「……意味分からん」

 言葉は通じるようだが、言っていることが支離滅裂だ。とにかく、裸ではないがベッドの毛布を放った。

 それを受けっとた少女はくるまり、距離を取った。大抵の怯えるガキはこうやると、なんとか落ち着くもんだ。

「何なんの、ここは何処なの」

「俺の家」

「アンタ、誰よ」

「ザリュウ。カンナギ・ザリュウだ。お前の名前は」

「アンタも神奈木? 私の名前は、神奈木……素妃香スピカ

「カンナギ・スピカか。お前、なんで剣から出てきたんだ」

「剣? 意味わかんないんだけど、おっさん」

「お、おっさん……」

 ここらじゃ若造と舐められることが多いのに、スピカと名乗った少女から見れば相当老けているらしい。やはり別の民族だな。

 剣について説明しようと、探したが先ほど抜いた剣身が見つからない。あれがこの少女になったのは見間違いじゃなかったらしい。

 とにかく部屋の隅にでもじっとしていてくれと頼んだ。

「変なことしないでよね、おっさん」

「それ言うの、他人の前ではやめろよ。俺が笑われる」

「なんでよ」

「近所じゃガキにしか見られてないからだよ」

「アンタ、いくつよ」

「はぁ……、ズケズケ聴いてくるな。スピカ」

「呼び捨てしないでよ。馴れ馴れしい」

「どっちがだ。どう呼んでほしいんだよ」

「神奈木」

「勘弁してくれ。カンナギはここらじゃ、俺の育ての親だった人の名前だ」

「はぁ? 意味わかんない」

「俺がガキの頃に狼の群れに殺されたんだ」

「あ……」

 急におとなしくなったな。とにかく、もう一つの剣も調べてみるか。

「あのさ」

 スピカが申し訳なさそうに声をかけてきた。

「なに」

「……ごめん」

「ああ……。もう言っても言われても気にしてない。十年前のことだ」

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