疲れたときにはこれ一本 -6-

『私も疲れた』

 アケミさんが言うので、剣から開放した。

 するとおもむろに俺のベルトを外し始めた。

「ちょっと、何するんだ」

「今からおしゃぶりするの。無性に精液が欲しくなって。あーん」

「ちょっと、となりにスピカがいるって」

 とスピカを見たが眠っていた。

 魔力の使い過ぎで出る症状の一種か。それはそうと、相変わらずアケミさんのテクは凄まじい。

 俺は一分と持たずに出してしまった。

「相変わらず濃くてすごい量ね」

 喉を鳴らしながらアケミさんは感心した。

 このままではオークと戦う前に精魂が朽ちる。俺はザッパーから丸薬を取り出し、二粒を飲み込んだ。肉の腐ったような味のは、相変わらずだ。

 アケミさんが聞いてきた。

「なにその薬。また麻薬?」

「違う。これは疲労に即効性がある丸薬だよ。ものすごく不味いんだ。本当は弁当が良かったんだが時間がなくて」

「精力剤みたいなものかしら」

「それはそれで別にある。こいつの名前は《疲労流し》だ。倦怠感や疲れから介抱してくれる。冒険者の必須アイテムだよ」

「へぇ。ねえ、もう少し精液欲しいんだけど、いいでしょ」

「おいおい、夜まで待ってくれよ。今は仕事中だろ」

 確かにアケミさんとエッチ出来るのは嬉しいんだが、今は街の女たちを助けに行かなきゃならない。

「冗談よ。じゃあ、剣にして。ついでにスピカも剣にしたら」

「寝てるけど、俺に影響ないかな」

「あったら外せばいいでしょ」

「確かに」

 俺は二人のクレバスに《ファング》の芯を刺した。

 魔双剣に戻った時、左半身を確かめた。動く。特に問題無はない。

 右剣の鉤爪で下まで降りて、もう一度死体を確かめた。

 この杖は、魔剣の一種なのか。とりあえずザッパーに回収しておこう。

 周りのゴブリンたちの心臓を魔石に変えて引き剥がした。

 このルーフのような半洞窟は、人為的に掘られたものか? 全体を調べたいが流石に時間がない。夜になるとオークが出てくるかもしれない。その巣である炭鉱を目指すことにした。

「やっぱり、炭鉱の門が開いている」

 厳重に鍵がかけられていたはずだが、誰かの手によって破壊されたようだ。

 街の女たちを助けるためには、中に入るしかないだろう。

「おーい、ザリュウ」

 街の近衛隊の声だ。

「三人か。来てくれて助かる」

「すまない、人数をあまり割けなくてね。女たちは見つかったか」

「たぶんこの中だ」

「門の鍵が壊されているな。誰がこんなことを」

「俺は中に入る。あんたらは外を見張っててくれ。外に出たオークが戻ってくるかもしれない」

 俺はすぐそばにあるルーフを指して言った。

 すると近衛隊たちは頷いた。

「分かった。コレの対策はあとでやろう」

「じゃあ、頼む」

 俺は壊れた門を開け、中に入っていった。

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