女 -5-

 とりあえず、俺は《ファング》について説明した。そのほうが二人には、置かれた状況を把握しやすいだろうと思ったのだ。

 その前に、そこに至るまでがものすごく面倒くさくなり、風呂に入らせろだの、スピカは一人で風呂に入りたいだの、飯を食わせろなどの会話がその行動を含めて深夜までかかったのは、ぜひとも割愛したく思う。

「まずは、魔双剣についてだ。《ファング》と呼ばれる理由は、さっき話したように、牙が二つあるところから由来している」

 一旦止めて、反応を伺った。

 二人とも、お茶をしてまったりとしている。眠ってないだけマシか。

「……。大抵、魔剣のたぐいは伝説上の武器なんだが《ファング》だけは例外でな。宮廷魔術師クラスが集団で長い時間かけることで作成できるんだ。その理由の一つが、異世界から力を借りるというか取り込むんだ」

「はーい、ザリュウ先生」

「なんだ、スピ……きゃん」

 ああ、なんだこの呼び方は。呼び捨てのほうが言いやすいのに。

「何で双剣なの? 一本の剣とか杖とかにすれば楽でしょ」

 と俺の羞恥すら気にしない始末だ。

「ああ、一般的な知識でしか俺も知らん。異世界の力を借りる時ひとつよりも一対のほうがバランスが良いんだとよ。昔、ひとつに取り込んでいた時は事故が頻発していたらしい」

「ああ、それ多分、陰陽ってやつね」

 アケミさんがお茶を物足りなさそうに弄りながら言ってきた。

「強すぎる力と弱すぎる力を合わせてバランスをとる、みたいな」

「……アケミさん、もしかして頭良いんですか」

「失礼ね、坊や。これでも東大出てんのよ」

 スピカがひゃーと驚く「エ⁉ マジ。超ヤバいんですけど」

「むっ。なにがヤバイのよ。凄いの間違いでしょ」

 ああ~。この二人が同時に喋ると収拾がつかなくなる。俺は咳払いをして話を続けた。

「おっほん。とにかく、この剣が本物の《ファング》である以上、二人は異世界からやってきたのは間違いない事実なんだ」

 アケミさんが頭を抱えて呻き出した。

「何なのよそれ……。『時をかける少女』みたいな陳腐な設定」

 かたや、スピカは目を輝かせていた。

「まじで『異世界召喚モノ』なんて実在したんだ。うひょーん、すっごーい。やばぁーい。つーか、マジ鬼ヤバ」

 俺はため息をついた。

 用意しておいたザッパーを腰に下げて玄関に向かった。

「どうしたの、ザリュウ」

 とスピカが尋ねたので答えた。

「ああ。女二人のところに寝れないだろ。部屋は二つあるが今夜はとりあえず、俺が宿で寝てくるんだよ」

「そっかー。気をつけてねー」

「あのなー」

 俺の家だ、というツッコミはもう疲れた。

「ねえ、坊や」

「はい、なんすかアケミさん」

「アンタ、二十歳って言ってたよね」

「ああ。それが?」

「どこに泊まるの?」

「この街に一軒しかない宿屋。さっき俺が破産した酒場の二階」

「そう」

「? じゃあ、おやすみ」

 宿に泊まるのは久々だ。家賃はギルド払いにしてもらった。これで次の仕事は半分タダ働き確定だ。

 俺はザッパーから着替えのトランクスを吐き出させ、それ一丁でベッドに横になるのが習慣だ。もちろん、枕元には護身用のダガーを添える。

 ゆっくりと眠りにつく。今日は疲れた。

 ――じゅぽっ、ぐちゅ、ん~ちゅぽっ。

 なんだ、下半身が気持ちいい。

 ――んぐ、んんんぐ、ごぽごぽ。

 なんか、自分のチンコが吸い込まれているような。

「うわ⁉ だ、誰だ。……てアケミさん?」

「げほ、ごほ。こら、ディープスロート中に急に動かないでよ」

「あ、すんません。じゃなくて! なんでこんなことを」

「一宿一飯の恩義よ。それとも、やっぱこんなオバサンじゃいや?」

「そ、そういうわけじゃ」

 アケミさんは美人の部類だ。ミサキさんみたいに若かったらかなりモテてただろう。たとえ五十歳超えとは言え、薄暗いなかでこんなテクニックされたら息子がもたない。

「では、あーん」

「あうっ」

 喉に飲み込まれただけで、精液が全部吸い取られてしまった。

 しかもごくごく飲んでるし。

「アケミさん、汚いっすよ」

「んはっ。褒めてくれたお礼よ」

「褒めたって何のはな……し。うおっ、ちょ、アケミさん、俺実は」

 馬乗りになってきた全裸であろうアケミさんに、秘密を打ち明けようとした。

「童貞なんでしょ、反応見てたら分かるわ」

「うう///」

「ふふ、可愛いわね。ザリュウ」

「からかってんすか」

「坊や、誰かのために童貞守ってたの?」

 アケミさんがアソコに先っぽをこすりつけて来る。なんだこの感触は、まるで天国だ。

「違う……。ただ、好きな女が今までいなかっただけで」

「あら、そうなの。じゃあ、もらっちゃっていいよね」

「え。でも、避妊」

「いいのよ。もう私の子宮、堕ろしすぎて壊れちゃってるから」

「アケミさん、俺、もう」

 もう脳が熱くなりすぎて自分が抑えきれなくなった俺は、おっぱいを鷲掴みにして思いっきり吸い付いていた。

「あらあら。良いわよ、好きにして」

「アケミさん、俺、俺」

「何回でも射精して。ほらほら」

 この腰使い、ただもんじゃねぇぞ。騎乗位のうまい女は娼婦でも滅多にいないって聴いてたのに、あれ嘘だったのかよ。



 俺はこうして、全てを絞り尽くされてしまった。

「ザリュウ、あんた、すっごいのね。はぁはぁはぁ」

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