南雲・エンタメ・実験場

実験作という事で読ませていただきました。暴力的であり、ダイナミックな描写です。勢いはかなりありましたね…。ありがとうございました。

試行錯誤から生まれるものがある。
これはその過程で生成された光る物語。

　なんという不毛な戦いでしょう。
　もう一切のストーリーも山もオチもなく、ただただ化け物同士が斬り合うというだけの話です。

　戦いの後にも何も残りません。しかしこの戦いを見届けた我々読者には、言葉では言い表せない何かがしばらく胸の内に滞留するはずです。
　それこそがこの一見不毛な剣戟が響かせる、彼と彼女の「叫び」というものなのかもしれません。

ゾンビ騎士とオークが戦う。それだけ！
それだけに、余計な要素は一切なし。
ひたすらに剣戟、そして決着。
この思い切りの良さが切れの良さ。
一気に読め！

レビュータイトルにある通り、二人の戦闘描写には一切の無駄がなく、強者の打ち合いが何合と重なる都度、時間が加速していくようでした。
語られる二人の背景は、神の視点によって綴られ、だからこそ、二人が辿ってきた道の重みは全く同じです。
何百頁に渡って書き記された数多の異世界ファンタジー冒険譚に勝るとも劣らない重厚な人生がそこにあり、二人の鍔迫り合いが止まぬ中であるにもかかわらず、ほんの数千字を読み進めただけにもかかわらず、エピローグの余韻を噛み締めるような達成感があります。
描かれている二人の人生の想像の余地は大きく、この物語の冒頭に至る道はまさに無限にあるのでしょう。

あるいはこの物語は、と…続きを読む

様々な出会いや別れ、そして数奇な運命によって出会った、その身を腐れ肉へと変えた女騎士と、刀を武器に戦いの舞台へ赴く1人のオーク。

ここまで壮絶な女騎士とオークの出会い、そして戦いは中々見られないと思います。ぜひご一読を。

姫騎士とオーク。両者は対決する運命にあり、対決すれば姫騎士は敗れる。それは必定。されど。
敗れた姫騎士が、姫騎士でなくなったなら？それがゾンビであるならば？
ありふれた題材もほんのひとつの要素を加えるだけで、これほどに変わるのか。
これは後日談の真剣勝負。