自分の文体を思いっ切り砕いてみた

【注意】本作品は マイン・ネイバー・イズ・サキュバスの『序 平助、ハジメテを奪われる』(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887167649/episodes/1177354054887168837 )

 の文章を可能な限り砕けた形にしただけのものです。新規要素はございません。


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【本文】


『貴方の童貞ハジメテ、頂きました。

 こちらはささやかですが、お代です。

 ありがとうございました』


 朝、目が覚めて。枕元。丁寧な置き手紙がそこにはあった。僕は寝ぼけているのだろうか?


「……顔洗お」


 うん、寝ぼけているに違いない。掛け布団を引っぺがし、身体を起こそうとして。


「寒っ!? さむさむさむさむさむ!」


 思わず叫んでしまうほどに、寒かった。それもそのはず。


「マッパやん!?」


 なんとこの二月、しかも早朝に素っ裸だった。死ぬ、死んでしまう! 慌てて近くに置いてあった服を着込み、一息つく。顔を洗う前に、眠気が覚めちゃったじゃないか。仕方がない。もう一度お手紙を読もう。


「……ですよねー」


 当然、中身は変わらない。寝ぼけてるだけだと思っていたかったけど、どうやらホントの事らしい。で。


「これが、お代、だよね?」


 見えないふりをしていた、分厚い封筒を見る。最初から、お手紙のとなりにあったのだ。うん、誰だって思う。これは絶対、ささやかなんてレベルじゃない。


 現実を見れば見るほど。あり得なさ過ぎて。僕は一度、昨日を振り返ることにした。


 昨夜の八時。自分で作った、寂しい夕食を食べた。四つ切の薄いハムと、千切りのキャベツ。そしてごはん。食費を切り詰めるため、仕方がなかった。

 その後軽くシャワーを浴びて。十時に布団に入った。別にすることもないし、夜更けまでメールとかするのは通信費が痛いし。


 だけど昨日は、なぜか寝付けなくて。仕方がないから、散歩に出た。上着を着たはずなので、このときは服を着ていた。

 間違っても、ジャンバーの下が素っ裸なんてことはない。居たらそいつはバカだ。文句を言われる相手もいないので、僕はあっさりと外に出られた。


 そのままのんべんだらりと、近所の公園へ。テキトーにブラブラして、眠気が来たら戻ろう。そう思ってたんだけど。


 そうだ。公園で、見てしまったんだ。


 大きなおっぱいに、白のワンピース。しかもノースリーブだった。見た感じは寒そうなのに、普通に立っていた。よく覚えている。


 月のせいか、肌が白くて。髪はすごく長かった。その姿に、僕は吸い寄せられて。公園にフラフラと入っていった。


 腕も足もほっそりとしていて、手の先にはバッグがかかっていた覚えがある。


 もっと見たい。そう思って、もっと近づいて。女性が、こっちを向いて。きれいだった。紅い瞳と、僕の目が合って。


「……あれ?」


 その先の記憶が、おぼろげだった。どうやって帰ったのか、思い出せない。やり直しても、欠片程度の覚えしか出てこない。


 でも確かに。この部屋で。信じられない記憶に、僕は布団の上でのたうった。


 昔、母さんに抱かれた時のような暖かさ。

 言葉に出来ない気持ちよさの中、自分の全てを解放したような記憶。

 心ゆくまで、快楽を味わって。

 最後は、気を失うように眠りについた。


 現実を見て、僕は叫ぶ。せんべい布団の上で、天井に向かって。


「大事なものを盗まれてしまいました……。僕の、童貞ハジメテです!」


 薄い天井の向こうからは、床ドンだけが返って来た。

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