レビュータイトルにある通り、二人の戦闘描写には一切の無駄がなく、強者の打ち合いが何合と重なる都度、時間が加速していくようでした。
語られる二人の背景は、神の視点によって綴られ、だからこそ、二人が辿ってきた道の重みは全く同じです。
何百頁に渡って書き記された数多の異世界ファンタジー冒険譚に勝るとも劣らない重厚な人生がそこにあり、二人の鍔迫り合いが止まぬ中であるにもかかわらず、ほんの数千字を読み進めただけにもかかわらず、エピローグの余韻を噛み締めるような達成感があります。
描かれている二人の人生の想像の余地は大きく、この物語の冒頭に至る道はまさに無限にあるのでしょう。
あるいはこの物語は、とある正規のエピソード。
華々しいエンディングを迎える数多のファンタジーの裏で、確かに紡がれたもの。そういう読み方をしてもまた感慨深いものだなと思いました。
息も出来ない。と評するのが端的で、この物語を的確に言い表す感想となるのでしょうか。
斬り結ぶ二人の修羅が迎えたエンディングに、ぼくは敬意を表して拍手を送ろうと思います。