ファンタジー

ミヒャエル・エンデ

『はてしない物語』

あかがねの本を何度も開いては幼ごころのわたしに会いに

それはまた別のお話あなたにはあなたのためのあかがねの本

古書店の扉の奥へ旅に出るほんとうのぼくを見つけるために



ヨースタイン・ゴルデル

『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』

神様が書く物語のヒロインであるよりわたしは自由が欲しい


『カードミステリー 失われた魔法の島』

自らの異端に気づきジョーカーはトランプ箱の世界を棄てた


『鏡の中、神秘の国へ』

最後には死ぬのにどうして生まれるの? 答えはなくて、ただ生きていく



アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

『星の王子さま』

満天の五億の鈴が笑うからぼくも笑うよ、ねえ王子さま



J・R・R・トールキン

『指輪物語』

美しきものは西へと去っていき指輪を巡る旅路は終わる



C・S・ルイス

『ライオンと魔女 ナルニア国物語1』

お屋敷の衣装だんすの戸を開けて百年の冬に私は出会う


『カスピアン王子のつのぶえ ナルニア国物語2』

真夜中の森であなたの声を聴く獅子の背中を信じて歩く


『朝びらき丸 東の海へ ナルニア国物語3』

それこそがまことの望みいやはての東の海へこぎ出すねずみ


『銀のいす ナルニア国物語4』

ここにないものなら夢と同じでしょう? 地底の国で語る太陽



アーシュラ・K・ル=グウィン

『影との戦い ゲド戦記1』

沈黙の重さをいだき少年は己の影の名前を探す


『こわれた腕環 ゲド戦記2』

手を引いて闇の中から連れ出してわたしの足で歩き出すから


『さいはての島へ ゲド戦記3』

死に至る白い砂浜さまよえば石垣越しに蜘蛛が手招く


『帰還 ゲド戦記4』

女であるただそれだけで憎む者よあなたは何を恐れているの


『始まりの場所』

ぶよぶよと白きしがらみ刺し殺し(ああこれは母だ)悪夢は醒める


『ラウィーニア』

母が思う子の幸せとわたくしの望みは違う、それだけのこと



新井素子

『ディアナ・ディア・ディアス』

離れても突き動かされ引きずられ呪いにも似たディアの運命さだめ

狂いゆく母を探して傷ついて草迷宮に赤い夕暮れ



荻原規子

『空色勾玉』

二人きり瞳の中に星を見てあの日わたしは恋に落ちたの



長野まゆみ

『少年アリス』

生まれずに死んでしまった鳥たちの卵がかえる夜の理科室


『テレヴィジョン・シティ』

ずれていく夏の残像もし僕がいなくなっても忘れずにいて


『天体議会 プラネット・ブルー』

逃げ出した自動人形オートマータの少年と兄を見送るさよなら昨日


『螺子式少年 レプリカ・キット』

「聞き分けのよい子がいいの」と作られたレプリカの僕もママが嫌いだ


『天球儀文庫』

もう一度初めて出逢う日のために僕らは夏に別れを告げる



梨木香歩

『裏庭』

Who are you? わたしはわたしもう誰の役に立たなくてもいいのです

だれの役にも立たなくてうれしいな わたしであれと開かれる庭


『家守綺譚』

水底の葡萄の色の瑞々し還らぬ友のまた来るを待つ

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