夏休み

なやんだ末ツインテールをやめました、すみません」ってミクが謝る



なぞなのはつまの不機嫌約束やくそく数分すうふん前にみせに来たのに



生首なまくびり下げられし屋敷やしきありすでに古典のミステリの本



長崎ながさきのつくもの島の宿やどの壁すこし古びた「みずほ」の写真



撫子なでしこつよく美し八十やそ国のすべての民をせる夏の日



何回なんかいもつづった手紙やぶり捨て素直すなおに書けないみどりのインク



きわめきつかれてもまだつ当たりきだったけれどみんな嫌いだ



げやりの徒然つれづれに日をやり過ごしすり減っていく未来みらいの悲鳴



涙雨なみだあめつめたい夜はやさしさにすがりたいから三毛猫みけねこを抱く



      ◇



なつかしきつきの光に大和路やまとじ姿すがたをば思ふ三笠みかさの山の



なみ分けて釣舟つりふねはゆくく塩の須磨すまの侘び寝をみやこに告げよ



那須なす殿はつがへし鏑を放ちすべからく射よみよしの扇



なぐさみにつめを立てれば柔肌やわはだける血汐とみだれゆく髪



なよ竹のつみへと堕ちてやみ深しすくひも未だへぬ密林



も持たぬつまらぬ身ゆゑ山吹やまぶき菅笠すげがさならぬみのひとつなし

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