進化論

酸素さえ薄くなりゆく銀河へと続く電車はガタゴト揺れる



冬空にダイヤモンドが光る夜この明るさを失くした都会



ひまわりのように陽射しを追いかけて雨の夜には萎れてしまう



望月は欠けているのに気がつかぬふりをしている嘘つきの月



はらはらと空が地上に堕ちてくる踏んでけがしてしまえるほどに



三年後打ち上げられる衛星の話をしたら笑われるかな



神さまと宇宙は似ている どれほどに手を伸ばしても届かぬあたり



寒風のホームでアイスにかじりつく少女は強し 春立ちにけり



あいすって打つたび愛すと変換するこのパソコンの中の人って



進化論なぜ人類に恋情が発生したか平易に述べよ



抱きしめていいこいいこと撫でてほしい性行為ならその後にして



ありがとう以外の言葉がこの世から消えたらみんな優しいだろう



駅前の土産物屋のおじさんはぜひいつまでも無愛想でいて



さようならさようならって繰り返すきっと誰にも届かない声



星空と雪と孤独に恵まれたここがわたしの青春でした

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