書架

海外SF

アイザック・アシモフ

『バイセンテニアル・マン』

手放した永久とわと等価でありたまえ二世紀を経て君が得た名は



グレッグ・イーガン

『適切な愛』

愛があればあなたは何でもできますか純真だった頃のあたしへ


『しあわせの理由』

「幸せ」と決めればきっと幸せになれる気がして嘘ばかりつく


『真心』

移ろわぬ愛を脳裏に刻み込み死ぬまで同じ愛をささやく


『ひとりっ子』

たくさんの宇宙の中で君だけがたった独りの僕らの子ども



カズオ・イシグロ

『わたしを離さないで』

失ったものの全てを打ち寄せて記憶の中に浮かぶ海岸



コニー・ウィリス

『わが愛しき娘たちよ』

父さんが髪を刈るのは君のため爪も歯もない哀れな娘



H・G・ウェルズ

『塀についた扉』

塀についた緑のドアを探してる見つけたいのか迷いながらも



ジーン・ウルフ

『デス博士の島その他の物語』

何度でも本を開けば僕たちはまた会えるんだ悲しまないで



ジョージ・オーウェル

『一九八四年[新訳版]』

古き日の歌を忘れてぼくたちは大きな栗の木の下にいる



ブライアン・W・オールディス

『グレイベアド 子供のいない惑星』

行く川の流れは絶えず黄昏の影絵の国で踊る鬼たち



ダニエル・キイス

『アルジャーノンに花束を』

うらにわのおはかに花をそなえたらもうもどれないたびに出ます。



ウィリアム・ギブスン

『ニューロマンサー』

jack in, flip, flip, 電脳のアイスの果ての灰色の墓所



アーサー・C・クラーク

『地球幼年期の終わり』

さようなら地球さよなら子供たち僕は一人でピアノを叩く


『2001年宇宙の旅』

虚空にてデイジー・ベルを歌う日よ人工知能は何を夢見る

HALのみに罪はなけれど人は死にのどかに歌うデイジー、デイジー


『2010年宇宙の旅』

人類はまだ木星に辿り着けないまま過ぎる2010年



ナンシー・クレス

『オレンジの値段』

やさしさを探してごらんオレンジがこんなに高いこの世界でも


『眠る犬』

幸せな夢見て眠る犬がいて手の届かない温かな庭



トム・ゴドウィン

『冷たい方程式』

無知という罪を犯して闇のなか白い子猫を抱きしめている



ネビル・シュート

『渚にて‐人類最後の日』

来年の話をしよう来年はここにいないとわかっていても



コードウェイナー・スミス

『マーク・エルフ』

帝国はもう滅んだよ命令を守り続ける機械の孤独


『昼下がりの女王』

星の海から舞い降りたわたしたちあなたとともにまた星の海で


『スキャナーに生きがいはない』

スキャナーに生きがいはない苦痛なく船が虚空を渡れるのなら


『星の海に魂の帆をかける女』

イカロスはいつかソウルの帆をかけて少女とともに旅立つだろう

「はい」というただひとことが時を超え少女の船は銀河を駆ける

   ※ IKAROS:2010年にJAXAが打ち上げた宇宙ヨット


『人びとが降った日』

埋め尽くすように空から人が降り人が降りああまるで地獄だ


『青をこころに、一、二と数えよ』

犯罪が甦るときお嬢さん一、二と数をかぞえてごらん


『鼠と竜のゲーム』

メイほどの女はいない平面の海で鼠を狩る白い猫


『燃える脳』

わたしから美が消え去れば遺されたわたしを愛してもらえるでしょう?


『スズダル中佐の犯罪と栄光』

だが心は人を悼む! 果てしなく猫と彼らの戦は続く


『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』

泥棒は病んだ羊に夢を見て病んだミンクの夢を見て死ぬ


『クラウン・タウンの死婦人』

われわれを殺すあなたを愛します犬の少女の革命の歌


『老いた大地の底で』

太陽を抱いて踊ればキッドンク! 大地の底で揺れる惑星


『アルファ・ラルファ大通り』

プログラムされた愛では嫌なのと泣いたあのの名はヴィルジニー


『帰らぬク・メルのバラッド』

職としてわたしは女もとは猫 人の心であなたを想う


『ノーストリリア』

ああどうして僕なのだろう生かされる意味など告げぬ病の羊


『シェイヨルという名の星』

快楽の深み苦痛の高みにも負けぬあなたとわたしは生きる


『ナンシー』

この角を曲がればきっと君がいる手の届かないどこか近くに


『アンガーヘルム』

変だ変だなんだか変だ雑音の中でたわけた死者が叫んだ



カレル・チャペック

『山椒魚戦争』

蜥蜴とかげには蜥蜴の未来始まりの真珠を探す始まりの海



テッド・チャン

『あなたの人生の物語』

結末に気づいていてもわたくしはきっとあなたに出会おうとする


『商人と錬金術師の門』

お許しをくださるならば語りましょう過去と未来と赦しについて


『大いなる沈黙』

滅びゆく鳥の種族から人類へ いい子でいてね、あいしているよ


『オムファロス』

主の耳がこちらを向いていなくてもこれが私の道です アーメン



フィリップ・K・ディック

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

蜘蛛の脚ぱちんぱちんと切り刻み山羊は落ちゆくくらい深淵


『流れよわが涙、と警官は言った』

悲しみも別れも愛も過ぎ去って時の果てまで流れよ涙



ジェイムズ・ティプトリー・Jr.

『接続された女』

偶像を愛しているのわたくしを傷つけないし気づきもしない


『たったひとつの冴えたやりかた』

太陽のまっただなかに出かけようあたしたちずっと友達だよね



ロバート・A・ハインライン

『月は無慈悲な夜の女王』

革命を始めるために目の前のDELLにマイクと名前をつける


『夏への扉』

いつの日か猫を飼うため家中の扉を開けて夏を探すの

このドアの向こうに夏があるのなら猫のピートと越えていくのに



オルダス・ハクスリー

『すばらしい新世界』

ああ、何て素敵な世界、神も死も自由もなくて、みんなしあわせ!



ジェームズ・G・バラード

『結晶世界』

結晶の森をさまよう美しい滅びの夢は苦くて甘い



レイ・ブラッドベリ

『火星年代記』

誰もいない家に毎日鳴り響く火星の朝の目覚まし時計


『華氏451度』

もし本を焼く日が来たらわたしにもガソリンかけて燃やせばいいわ

火の鳥よ瓦礫の中で甦れ本のかたちは失われても



デイヴィッド・ブリン

『スタータイド・ライジング』

船を駆り銀河を泳ぐ愉しみをイルカ詩人が詠う休日



グレッグ・ベア

『ブラッド・ミュージック』

淋しさがわたしのかたちどろどろの幸せなんてかりたくない



ジェイムズ・P・ホーガン

『未来からのホットライン』

街角で猫とニアミスするような奇跡を重ね僕らは出会う



ウォルター・M・ミラー・Jr.

『黙示録3174年』

光あれ青き星から智慧の実を載せて漕ぎ出す銀の方舟



エリザベス・ムーン

『くらやみの速さはどれくらい』

苔のにおい、砂利を踏む音、シダの味、ぼくはすべてを覚えていたい



ロバート・F・ヤング

『たんぽぽ娘』

あしたまた会えるでしょうかあの丘の九月は遠く過ぎたとしても



アーシュラ・K・ル・グィン

『オールウェイズ・カミングホーム』

わたくしを見ぬ母を棄て飛び出した故郷へ続く遠き家路よ


『闇の左手』

父であり母となりうる人々よ冬の炉辺で神話を語れ


『所有せざる人々』

所有せざる人にはなれぬわたくしの書棚に並ぶハヤカワ文庫


『言の葉の樹』

白銀の谷間を覗きかろやかにあなたの足は空中を踏む


『ケラスチョン』

河も血も流れることをやめられずケラスチョンとは弔いの笛


『孤独』

誰からも支配をされず支配せずひとりで耳をかたむけている


『世界の誕生日』

わたくしはもう神でなく太陽は今も世界の歳を重ねる


『もうひとつの物語‐もしくは、内海の漁師すなどり

時を越え僕も還ろう母語る昔話の漁師のように



スタニスワフ・レム

『ソラリスののもとに』

他人すら理解できないわたくしに異星の海は遥かに遠い

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