世界の果て

世界の果て

ささやかな楽しいことを一つずつ団栗みたいに拾って歩く



夕光ゆうかげ銀杏絨毯いちょうじゅうたんあそぶ犬らくえんなんて知らないけれど



イエティが あまい いきを はいたので わたし いまからとうみんします



寒いのは嫌いだけれどもし雪が積もるのならば許してあげる



土曜午後ヴィオラの音に目を閉じて真昼の夢の白いデージー



弦のは声に似ていて泣きながら言葉にならない歌を奏でる



家出してみたかったって気付くのはもう少女ではなくなったあと



たんぽぽのお酒はいらない わたしには思い出したい夏なんてない



弔花なら故人の好きな一面の庭石菖の野から一輪



さらさらと雨の音にて目覚む朝 よかった、わたし泣いてなかった



スクリーンセーバーの中舞い落ちる桜吹雪に焦がれています



一面にわらう水仙ありがとうわたしはここにいてもいいのね



自転軸が傾いているだけなのに春が来るのは何だかうれしい



この花は燈台躑躅どうだんつつじ 世界には知らないことが溢れているね



花の名を一つ覚えてまた一歩世界の果てに近づきました

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