青空

小春日が空から降る日 人類も光合成ができると思う



目覚ましの替わりに悪夢はいかがです幸いなことに遅刻はしません



雲ひとつなく晴れた日はわたしだけ残して歩いていく影法師



天空へ伸びるクレーン 蒼穹へ届く階段 目眩めまいがしそう



嘘をつくたびに膨らむ風船はきっとそろそろ臨界点で



ねえ早く光学迷彩実用化してよ わたし消えてしまうから



空気には文字など書いてないじゃない読めるものなら読んでごらんよ



胃袋の中でぷつぷつ泡と沸く怒りを潰しながら 笑うの



一丸となってと皆は言うけれど勝手にわたしを含めないでよ



降り積もるスパムメールに 死ね とだけ書いて返信したい欲望



コロセとかシネとか吐いた舌の根も乾かぬうちにユメやロマンを



東京の夜空はとても明るくて願うことすらできぬ流星



蠍座とオリオン座しかわからない宇宙の終わり待ちわびている



わたしがねこんなに本が好きなのは夜眠るのが怖いからだよ



バンホーテンのココアは甘い 真夜中にひとりで淹れて飲んだとしても



幸せと誤解していた思い出に切り刻まれて泣いたら負けだ



ひとつひとつ鋏で枝毛を切るように醜いものも切り落とせたら



夜の底泣けば沈んでしまうでしょう わたしの浮力は小さいのです



笑うため朝の光に笑うため夜の静寂しじまに呪いを紡ぐ



ああ 今日も空が青くて何もかも失くしてしまえそうな一日

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