概要
ある日突然ヤスデになったぼく。それはそうと、まずは会社に行かなくっちゃ
ある朝突然、虫になってしまった。あなたなら、まずどうしますか? ぼくはとりあえず、スマホで写真撮ってついったに上げます。『変身』のグレゴール・ザムザは悲しい結末を迎えてしまったけれど、現代の日本ならどうなるでしょう。原作のちょっとばかばかしくておもしろい部分を強調した、現代日本版の『変身』です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!現代に甦るカフカの魂
あなたは差別の正体をどれだけ理解していると言うのか?
言うまでもないことだが、『変身』はナチスにおけるユダヤ人差別の比喩として書かれた小説である※。この作品は、現代における差別されるべき存在としてヤスデ人間となってしまった主人公の葛藤がユーモラスに描かれている。
勿論、差別されるべき存在など許されてはならない。だが差別はいけないなどと、口先では言いながら、この中にヤスデ人間を目にして嫌悪を感じない人間がどれだけ居るだろうか。
私には恐らく無理だ。生理的に無理なモノは無理。それを人間に置き換えた時、私の中に眠る差別の正体が浮き彫りになるのである。
ちなみに、私は小学生の頃に『変身』をSF小…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひとのこころ、ヤスデのかたち。
人を人たらしめるものとは何か。人間は何を持ってして自らを人間と定義しているのか。まあ身もふたもない事を最初に言えば、まず第一に遺伝子、肉体、生態、外観。つまり物質的な存在としての「みため」が定義の要因であろう。しかし、外観さえ人間であれば人間であると必ずしも言えるだろうか?「ひとでなし」という言葉がある。人の道から外れた外道に対して付けられる人間用の蔑称(豚にひとでなしと言ってみても始まるまい)である。即ちここに、もう一つの人間の定義がある。周囲の人間から人間であると認められること。人間として帰る場所があること。受け入れてくれる人がいること。それさえあればきっとどんな「みため」になっても、ひ…続きを読む