概要
普通ならば魔法使いが連れているはずの、茶髪に青色硝子の目の小さな魔導人形・タルト。
そんなただでさえ目立つ旅人二人がやってきたのは、水晶の街・フリューリング。
しかし、今では長い長い冬にとざされたその街は、氷と雪の街になってしまっていた。旅の観光気分で訪れたはずが、泥棒騒ぎに巻き込まれ、街が冬にとざされた原因がある氷の城へ行くことに。はたして街に伝わる氷の娘と青年の物語は本当なのか?
(昔書いた小説を手直ししたものです。他サイト掲載済み)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!旅人と魔法人形による、雪に閉ざされた街での冒険譚
旅の途中で通りかかった長く冬が続く街。旅人のリズと魔法人形のタルトは、そこで泥棒騒ぎに巻き込まれます。事件解決のために氷に閉ざされた城に向かった二人は、果たして犯人を捕まえることができるのか――。
水晶採掘の街に伝わる青年と氷の女王の娘の恋物語を背景に、主人公たちが冒険を繰り広げます。迷路あり、謎解きあり。もちろんファンタジー要素もバッチリ。きっと最後はこうなるんだろうなと安心できる反面、謎解きではそうきたかぁと思う所もありました。剣と魔法のバトルじゃないファンタジーをお探しの人にもお薦め。
主人公の相棒が抱えて歩けるサイズの人形という異色の作品。でも魔法人形なので、動くし喋れます。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!思い出の氷に再会する
丁寧に積み重ねられる描写が、非常に魅力的な作品です。
舞台は、一年中雪に覆われている氷の街。
赤い髪の少女と、動いて喋る魔導人形という一風変わったコンビがその常冬の街で冒険物語を繰り広げます。
この作品の特色は、雪に覆われている街の情景がとても丁寧に語られていくところです。
読者がイメージするのを手助けするように詳しく描写を積み重ねながらも、
しつこさやくどさというものを感じさせない、さらっとした文体で読みやすいです。
その文体のさらさら感もまた冬の雰囲気を読者の肌に感じさせます。
読み進めていくうちに、記憶の中にある一番綺麗な氷や雪の景色が引き出されてくるような感じがしま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幻想的で、どこか懐かしさを覚える「雪と氷の御伽噺」。
終わることのない冬に閉ざされた町を訪れる、二人(?)の旅人。氷の女王の呪いが原因と言われる永遠の冬の謎と、旅人たちが巻き込まれる騒動の顛末とは――
古典児童文学を思わせる幻想的な空気が魅力的なこの作品。
個人的にもっとも惹かれた点を挙げるなら、それは作中の雰囲気づくりの巧みさであるといえます。
終わらない冬と、氷と雪に閉ざされた町――現実にはありえない、幻想的な光景です。しかし、しっかりとした筆致で丁寧に描かれたフリューリングの町は、奇妙な現実感を伴って読者の脳内に再生されます。
ストーリーの筋は、さほど奇をてらわず、オーソドックスなものという印象。しかしそれだけに、読者の期待を裏…続きを読む