概要
僕の幼なじみゴルドレンドは、竜を殺すことを決意した。
昔書いたものを改稿。短編です。
昔書いたものを改稿。短編です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!国語の教科書に載せたい物語
もうこれで、村ごと焼き尽くす暴君はどこにもいない。娘たちが生贄にされることも、子供が喰われることもない。
だというのに、竜を倒した初めての人間は人類をして最強最悪の種族としてしまったことに慄然した。
「竜にできずに人間に可能なこと、それは言葉を使うことだ」という彼のいうとおり、どこかで誰かが発明した技術や知識が世代も場所も超えて共有できるという人間をもってすれば、人間が生態系の頂点に立つことはある種の必然だったのかもしれません。しかし天敵の消失はひょっとして、同族の殺し合いの未来を開いてしまったのではないか?だとすれば、人間が言葉をもったときから既に破滅の未来が運命付けられていたのかも…
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ファンタジーの現実性と風刺性
妹をドラゴンに殺された主人公ゴルドレンドは、必ずやそのドラゴンを根絶せんと決意した。
彼は長い年月の後、その計略と智謀を以て人々を纏め上げ、遂にドラゴンを討伐する。そこでチャンチャンと話が終われば単なる成功談なのだが、残念ながら現実はそこで止まることは無い。ネタバレになるためこれ以上は差し控えるが、ゴルドレンドは最後に自問する、果たして邪悪なのはどちらであったのか、と。
現実の世界に目を戻すと、人間は中世から近代において〈自然〉を駆逐した。科学や文明は急速に発展し、二度の世界大戦を引き起こすことにもなった。最早現在、人間の上に立つものは居ない。近代から現代へと進むにつれてその傾向は改善し…続きを読む