国語の教科書に載せたい物語

もうこれで、村ごと焼き尽くす暴君はどこにもいない。娘たちが生贄にされることも、子供が喰われることもない。
だというのに、竜を倒した初めての人間は人類をして最強最悪の種族としてしまったことに慄然した。

「竜にできずに人間に可能なこと、それは言葉を使うことだ」という彼のいうとおり、どこかで誰かが発明した技術や知識が世代も場所も超えて共有できるという人間をもってすれば、人間が生態系の頂点に立つことはある種の必然だったのかもしれません。しかし天敵の消失はひょっとして、同族の殺し合いの未来を開いてしまったのではないか?だとすれば、人間が言葉をもったときから既に破滅の未来が運命付けられていたのかも…
異世界でなく我々の現世界でもこんなことがあったのではと深く考えさせられ、今でも続く絶滅動物に思いを馳せざるを得ない物語です。国語の教科書に載せたい。

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