概要
ねえ、その名前を、僕は知っているよ。星の意識を失って尚、人はソラへ往く
2010年の12月、十歳の高木昴は、自宅で父の帰りを待っていた――。
一年前、高木家は崩壊の危機にあった。
昴の父の明彦は天文学者で、日々星の観測に明け暮れ、あまり家庭を省みなかった。母は明彦に失望し、恋人をつくって家を出て行った。それ以来、昴は父と二人暮らしだった。深夜に流星群を見たりと楽しいこともあったが、主婦のいない家庭は次第に荒れていった。
田舎から祖母が来てくれ、二人の生活が落ち着いた頃、明彦はハワイにある観測所に行くことを志願する。宇宙に最も近いマウナケアの山頂で星の観測をするのが彼の長年の夢だった。昴は悲しみのあまり、出立する明彦に暴言を吐いてしまう。母に続いて、自分は父にも捨てられたのだと思った。
十二月になり、明彦からメールが届く。休暇で日本に帰るので、また流星
一年前、高木家は崩壊の危機にあった。
昴の父の明彦は天文学者で、日々星の観測に明け暮れ、あまり家庭を省みなかった。母は明彦に失望し、恋人をつくって家を出て行った。それ以来、昴は父と二人暮らしだった。深夜に流星群を見たりと楽しいこともあったが、主婦のいない家庭は次第に荒れていった。
田舎から祖母が来てくれ、二人の生活が落ち着いた頃、明彦はハワイにある観測所に行くことを志願する。宇宙に最も近いマウナケアの山頂で星の観測をするのが彼の長年の夢だった。昴は悲しみのあまり、出立する明彦に暴言を吐いてしまう。母に続いて、自分は父にも捨てられたのだと思った。
十二月になり、明彦からメールが届く。休暇で日本に帰るので、また流星