真花

高層ビルの外壁に設置された垂直ゴンドラのオペレータ、クレアは自分の仕事を素晴らしいものと信じて日々頑張っていた。特に、彼女にとって特別な人に会える、その日には。 メトロポリタン…

　とある小さな国のとある村。 　明日、世界が終わる。そんなころ。 　私はリンゴのタネを植える人に出会った。

孤児のみはるは、偶然出会ったセイに拾われて一緒に住むことになる。 考えさせられる毎日。 稽古のような、己を高める旅。 人は心を育み、成長していって、何になるのだろう？ 人間の根…

夏の過失は恐ろしい。 明治神宮前駅を出た時に包まれる熱風のせいにして、幻のような彼女が淹れた珈琲は嘘みたいに真面目で、馬鹿らしかった。

文字が、数字が、ここへ羅列するのは 恐らく、この秒針を阻むためだった。 制服のスカートが翻るよりも早いスピードで 浸透するそのピアノの音が、 黒鍵を嫐る指が、私の微睡む全てになる。

　まだ十代の頃、曖昧な自認の境界線の上で、やじろべえみたいに揺れていた日々の思い出。 【お題】アンダーグラウンド 【ジャンル】私小説風BL 【登場人物】小指の欠けたおっさん、ネ…

これは、朝の満員電車を舞台に繰り広げられた、名もなき騎士の戦いの記録である。

東京で働くサラリーマンの俺は、ネットで偶然見かけた摩周湖の写真に惹かれ、ふらりと旅立つ。しかし、せっかく行った摩周湖は霧。 悪いことと知りつつ湖に降りると、偶然土産屋のお婆さんと…

誰の手も借りる事無く気高く咲く花がある。 彼女はその花の様になりたかった……。

夜な夜な階段に現れるカラスに怯えるタダシくん。彼の一場の経験を描いた童話です。

アングル様自主企画参加作品

入院すると言って出ていった妻の去り際の一言が引っかかって仕事が手につかない夫が深夜、目にしたものは……。◆ タイトル「薫陸香（くんのこ）」は、琥珀を指す岩手県久慈の方言。umbe…

芸大生の私は自分に限界を感じていた。 そんなとき、周囲から「天才」だと目されている同級生・大塚千絵に「絵を描くのをやめたほうがいい」と言われ……。 悩める人に読んでほしい、青春短…

あまり日本では知られていませんが、 1947年まで米メジャーリーグには黒人選手が 存在していませんでした。人種差別の為です。 この為、それ以前の時代には、黒人選手のみの リーグ……

政治家による過去の悪行と直近のスケジュールを閲覧できるウェブサイトを作成した主人公。義憤に駆られたテロリストの出現を待ちつつも、自分が何かかけがえのないものを傷つけているという不…

尖閣に中国のドローンが飛来したニュースから閃きました。 シリアスな内容ですが、お笑い日中戦争。 風刺がたっぷり効いていて笑えると思います。

心に傷を抱えた男子高校生ふたりが仲良くなるはなし。 友達ってなんだろう。 エブリスタ　超・妄想コンテスト 第83回「青」　優秀作品 ※修正加筆 あり

私にとって理想の椅子とはどういうものなのだろうか？

　複数の胡人（北方騎馬民族）が中華に進出し覇を競った五胡十六国時代の事。 　漢人至上主義の下に起こった胡人大虐殺により、数十万人が殺され、その遺体は荒野に打ち捨てられた。 　そ…

【コミカライズ・電子書籍発売中】 恋人と婚約中の乙井果澄は、中学生時代に大嫌いだった同級生・鮎川翠子と、二十八歳の夏に再会する。果澄は、翠子に「大嫌い」だと伝えたいのに、翠子から…

「私」という女の欠陥商品を売ってみせる！ どうしようもなくブスな瀬奈は、年上の彼氏を養っている。 それでも彼には付き合ってる事を周りに隠され、妹には結婚も出産も追い抜かれ、憂鬱…

2021年5月1日に起こった地震で止まった、東北新幹線の車内にいた自分の話です。

文明が崩壊し、あらゆるものが失われた世界で、リトル・ロスコー・アンダーソンは孤独ながらも逞しく生きていた。 ある日リトル・ロスコーは、彼を慕うみなしごに、彼の秘密を打ち明ける。 …

「食べてくれる人を想って、心を込めて焼くんだ」 下町のパン屋に勤めるパン職人クロエ。 時代遅れの職人と蔑む大型チェーン店に挑む品は、クッソ堅いと評判の伝統のパン「鋼のバゲット」 …

親がいないことを同情されても、だから何？　としか言えません。 いない者を悲しんだって明日はやって来ないんです。 無用の憐れみは、時にこちらが傷付くことだってあることを分かってほし…

秋のまっただ中のことだった。その知らせは突然にやってきた。 秋といえば紅葉。赤、真っ赤、真っ赤っ赤。だけど私の秋は、タコみたいに色をかえた。白、真っ白、真っ白け、黒、真っ黒、真…

　毒のある食材を食べずにはいられない。 　自分の命は大切だし、危険も承知だが、欲求には勝てない。 　前例のない異食症を抱えた男と、そんな彼を断固止めんとする女の攻防・考察の軌跡。

その駅に、一人のホームレスが住んでいた。彼の本名は誰も知らない。綽名は『ウーア』電車が通り過ぎる度に、子供のような声でウーアと叫ぶからだ。これは、俺たちとウーアの、一夏の事件。

正月に九州の実家へ帰省した翔太。 滅多に雪がつもらない街は大雪で、美しい銀世界へと変貌していく。 久しぶりに会う両親は、年々年をとっていき、血のつながらない妹は、仕事で家を留守…

褒められる事が嫌いな、性根の曲がった私の戯言です。

　24歳になる会社員、遠野悟は、うつ病のために半年間の休職を余儀なくされていた。家にこもり、変化のない生活を繰り返しているうちに彼の心労は次第に回復していくが、復職のことを考え始…

【掌編】 「終着点」 皆が走ってきたこのレース。ついに最後の１回が発表となった。 ※　KAC202110　第１０回『ゴール』参加作品です。 ※　かなり暗い表現多めです ※　作者…

「今、楽しいことを我慢して頑張れば、20年後、30年後に楽が出来る」 そういう言葉に惑わされていませんか？

今回は『明治東京妖怪奇譚』（https://kakuyomu.jp/works/16816452218826976297）の番外編として書けないお題だったので、エッセイ風に書いて…

【短編】 『うるわしの都』を治めるスペリア（上位者）たち。彼らに奴隷として使える種族がいた。 その名はインフェリア（下位者）。 彼らには２０歳になると街から追放されるという、過酷…

【掌編】 ソーサク国、カクヨム市。その最北端では、今日も激しい戦闘が繰り広げられていた。 この戦いに終わりはあるのだろうか？ ※KAC20216『私と読者と仲間たち』参加作品で…

仮面をかぶることを義務づけられた街。日曜日は般若。私は、この街に住むありふれた人間だ。休日を過ごす、顔のない人間のひとり。

舅の葬儀が済んだ後、遅れてやって来た弔問客と相対した私が察したこと。

今回は『明治東京妖怪奇譚』（https://kakuyomu.jp/works/16816452218826976297）の番外編として書けないお題だったのでエッセイ風に書いてい…

海岸には猫の死体。街道には人の死体。意味がなかった。なにもかもに。

私が精神障害者になり、関節リウマチで歩行困難になりながらも、フリーランスとしてSEに戻るまでの話。

死んだ兄の部屋は、開かずの間となった。蜘蛛が出るから。

文芸部の私と、テニス部の矢沢さん。 小説を書くことに情熱を注ぐ私と、明るくて輪の中心にいる矢沢さん。 全然違う世界で生きている矢沢さんは言った。 「私のこと、小説に書いてよ」 …

【掌編】 ある公園に現れたひとりの幼い女の子。 少女は初対面の他の子供たちに、なぜか「ありがとー」を連呼する。 彼女の「感謝」にこめられた、もうひとつの別の意味とは？

pixivにあげていたものの再掲です。 着想源はカフカ「変身」ですが、完全に同一の設定ではないのでオリジナルにしておきました。 あらすじ 主人公「私」は、遅刻寸前で登校すると、ク…

　仕事よりも私生活を大切にするタイプのOL、東由香里は、夏休みを利用して女友達と沖縄旅行に行く。だが、楽しいはずの夏休みは会社からの電話にたびたび妨害され、そのうち由香里の仕事へ…

　２７歳になる柴田祐希は、妹の結婚を機に自身も婚活をすることを決意するが、２０代での結婚にこだわることに次第に疑問を抱いていく。 　結婚に悩むアラサー女性に読んでほしい作品。

ある日、僕は不思議な女性に呼び止められた。 彼女は、明るいグレーのパンツスーツに身を包んだ若い女性だった。 金色がかった飴色の、ほそい髪の束が、ギリシャの神殿の石柱みたいに、華…

友だちがいない独りぼっちの男の子が、一匹の痩せた老犬に出会う話。 重めの話ですが、ハッピーエンドです。

義兄が死んだ。残されたのは、義兄の死が受け入れられていない姉と、姪の亜里沙。 義兄の死から一週間経ち、私は亜里沙と海へ向かう。 大切な人の死に、人はどう向き合えばいいのか？を問…