胸がつぶれそうな悲しみが伝わって来ました。
暗く、重苦しく、救いのない、寒々とした情景です。
多分、少なくない人々が、心の隅にそうした風景を押し込めて生きているような気がします。ですが、その思いを掘り返すような作品を読むことは辛く、疎ましいことなので、多くの人々は目をそらしたがるのが普通です。
私は、この作品を、今まさに恐ろしい孤独をさまよっている人たちに読んで欲しいと思いました。慰めより、寄り添いが必要な時もあるはずです。
この物語が本当のハッピーエンドでないと指摘するのは簡単でしょう。お母さんとは断絶したままですし、束の間の安らぎが将来どこまで続くかもわかりません。ですが、この作品はそれで良いのです、多分。今が幸せでさえあれば。