概要
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- ★★★ Excellent!!!『世間の心臓』にナイフを突き立てようとした、ある男性の物語。
このご時世、誰もが考えることだと思います。
今の政治はおかしい。金持ちはおかしい。世界はおかしい。かといって、自分が画期的な何かを起こす『明確な』能力はない。どうしたものか。否、どうとでもなってしまえ。
それを具現化し、人間臭く見事に描き切ったのがこの作品です。
政治という『大規模な』ものについて主人公は考えるのだけれど、特にできることはない――というわけでもない。
主人公の思考は政治そのものから昨今のメディアにまで及び、一種のテロ行為をも想像の範疇に含みます。
こんな考えを持って何もしないのは卑怯なのか?
反映されるかどうかも怪しい自らの選挙権一票に価値はあるのか?
勧善懲悪を為すこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現実との境目がつかない超エンターテインメント
以下に二人分の感想を書かせていただきます。
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パートナーの感想
・まず小説作品として、エンタメとして完璧。ストーリーの流れ、無駄がない。
・たくさんの物語 (漫画) を読んできたが、こういうアイディアを見たことがない。斬新。
・あのラストでよかった。賛成派。
・少し趣旨は変わるかもしれないが、筆者別作品「子どもの話」と比べると、舞台映えもしそうだから、ドラマや演劇など、ほかの形の作品に使用してもらうなどもいいと思った。世にも奇妙な物語とかに使ってほしい感じ。(演劇経験したのでそう思う)
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私の感想
<想像力のリミットがないのがすごい>
・筆者さん、こんな怖いこと思いつけちゃうん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どこまでも現実的に
この物語の魅力的なところは、主人公の心情描写が実に現実的で「人間らしい」ところです。
主人公は決して感情的なわけではなく、むしろ理性的に物事を捉え考え悩みます。
その様に、私は読んでいて釘付けになりました。
> 自分でも卑怯なことをしていると思う。
> 更新作業を終えた後で、良心の呵責を感じることもある。
> でも誰の何に対して申し訳なく感じているかはわからなかった。
上記の部分が私が特に気に入ったシーンです。
心情描写だけでなく、主人公の設定や物語の流れもとても現実的で、どこからどこまでが「現実」なのか――という程でした。
事実、私は作中に出てきた「破産者マップ」なるものが実在するも…続きを読む