武江成緒

“家”。 それは外部の危険からあなたを護る、安全な空間であるはず。 けれどそれは裏を返せば、外部から遮断された閉鎖空間ということ。 そのなかに、得体の知れないものが発生したら、その…続きを読む

“命が絶える”ことを始めて生々しく感じる。 それは、形は違えど、誰にでもあることなのでしょう。 やがてはその鮮烈な体験も摩耗し、悲しみや罪悪感とともに、深海のごとき記憶の底へと隠蔽…続きを読む

「京都五山送り火」の時期、京都へやって来た二人の少女の足どりと会話からなる物語。
素朴にして雅、鮮烈にして静か、微笑ましくも哀しい。
そんな小旅行をお楽しみください。

前作『TAKAMURA』に続く、平安前期を舞台にした伝奇ストーリー。 主人公を担うは、詩歌と弓にすぐれ、閻魔大王の補佐をも務めたという伝説の伝わる公卿・小野篁。 前作にて平安京をみ…続きを読む

残ったのは、涙か。祝福か。

これだけのおぞましいイメージと、第二次世界大戦というこの社会の最大の暗部とされる時代。 この両者を1800字で融合させ、味を端的かつ存分に引き出した手法には、脱帽しながら賞味するほ…続きを読む

怒りに動かされ、復讐に誘われて、死神の鎌を求めた男の物語。 怒りのままに復讐を果たしても、死をもたらしても、終わった後には悲劇しか残らない……それが現代の陽光の下にしめされる良識と…続きを読む

あなたもこの書店の中に“とらわれ”たくなければ……。

重く苦しく、恐ろしいテーマですが、それに反して軽妙さと重厚さを併せもつ文章によってするすると引きずり込まれてしまいます。 けれど「あの言葉」には引きずり込まれませんよう、ご注意を……続きを読む

神とは、本来見えもせず、固有の名もつけようもなく、人間には知ることもできない、なにか。
そんなことを強烈に刻み込んでくれる話です。

「個人サイト」全盛の時代をご存じの方
かつてのインターネットに満ちていたアングラな香りをご記憶の方
敢えて言いましょう、これは必見です！

心身の飢えのもとめるままに、自在に暴れる山と海の荒ぶる神々。
それに屈し、かりそめの安寧をもとめあがく弱い人間。
その対比が形づくる、残酷で、美麗で、優雅ですらある月下の乱舞。

暗い村、暗い屋敷、暗い牢獄……その暗さは、牢のなかに居る化け物の恐怖と脅威、そしてそれに屈服した村人の心から湧き出るもの。 人の心を搾りながら、牢のなかに囚われながら、その化け物は…続きを読む

愛着と思い出にすがる主人公の想いの様は、予想外の方向へと繋がってゆきます。 その果てを堪能するため、シートに腰を落ち着け、グリーン先生の言葉に耳を傾けながら、じっくりと読み進めて下…続きを読む

短くストレートな作品ですが、じわじわとした迫力があります。
会話や描写が丁寧に描かれているためでしょうか。
映画村の秘密、どうか確かめてみてください。

雷雨の翌朝、主人公は近所の祠へとおもむきます。 彼の目を通して描かれる風景は、雨上がりの朝という状況ににあわず暗澹として、読み進むほどに穢さと醜さがこびりついているようで。 その…続きを読む

「婚礼」が個人間の愛ではなく共同体の必要によって行われる環境。 その究極ともいえる形が待ち受けている、その前夜。 運命にすべてを委ね、ただ待ち続けることを選ぶ彼女の言葉は、憤りも絶…続きを読む

静かなる、しかし沈むことのない煌々たる光にみちみちた世界。
この光のなかに身を置かないのは損！　ぜひともこの世界の、あらたなる始まりの物語を見届けて下さい。