武江成緒

「妖は徳に勝たず」という諺があります。 ならば、人間の悪徳の爛れた傷口に、妖かしは仔を産みつけ育てるのでしょう。 主人公をとりまく悪徳。そして彼女自身の悪徳。その彼女を産み育てた…続きを読む

登場人物の描きかたが素晴らしい。 何気なく読み始めたのですが、端的ながら生き生きとした人々の交わりとその心情に引き込まれ、するすると読み進めてしまいました。 花を散らせて春を呼ぶと…続きを読む

人は相談をするとき、その悩みの答えは自分の内で決まっている、などと言いますよね。 主人公が悩みを吐き出す相手は、オウム返ししかしないロボット。 その相談がどうなるのか……読んでゆく…続きを読む

役目をうしない廃墟となった教会のなかで発見した、もはや再生する手立てもないレコード。 その音楽をピアノで奏でるロボットと、彼のかたる思い出に、一人だけの観客は過去の息吹きに取り巻か…続きを読む

ためらいのない悪意が、呪いという溶媒によって、人々の心を染め上げてゆく。
そんな狂気で自分の周囲がじわじわと侵蝕されてゆく。
その圧倒的な恐怖を、序章から最後までごらんください。

退屈な会議のなか、誰もがうかべる雑念と妄想のこまかな心理描写。 主人公とともに益体もない雑念の世界に引きずり込まれた読者は、彼とともにアクシデントに振り回され……思いがけないラスト…続きを読む

……うん、そういうことです。
この作品を読んで、やましい事を覚えなかった人だけに、異議を唱える資格があるのでしょう。

中尸、それは人間の腹に宿り、病を引き起こす悪霊。 庚申の日、それは天へと上り、天帝に宿主の悪行を告げ、その寿命を縮めるという。 この現代で、実体を得た“中尸”もまた、『自然』という…続きを読む

Googleの「Bard」を用いて小説を作る試み。 このAIの特徴なのでしょうか。セリフや物語的な演出が少なく、比較的シンプルな印象です。 それゆえに、辻褄が合っているようないない…続きを読む

一気に、とんでもない規模まで拡大してしまいます。
あなたも、すぐ近くにあるトラブルにはご注意を……。

二つのものを一つに融合する。 それは異様なグロテスクと、その反面、合成された美しさとを併せもっています。 本作はその姿を恐ろしくもありありと描きあげながら、同時にこの作品自体が、…続きを読む

ビルの谷間に静かに開いている、『鐘』の名をもつちいさな喫茶店。 上品で和やかな店内で、お客の老紳士がマスターに注文したもの。 マスター特製の“それ”をあなたも是非、店内の空気と一…続きを読む