庭でタイムカプセルを見つけた女の話

リストラされた男の話

亡くなってしまった大事な人を悼む女の話

推しを見守る男のとある一日 (KAC2022 二回目お題　推し活)

誰もいない夜の公園。その魅力に取り憑かれた男の末路

閉ざされた部屋から脱出を試みる女の話

金曜日の深夜、女は帰宅中、毎度感じる視線に悩まされていた。ストーカー、それは彼女の全てを握っている。

ある日、いつものように散歩していた高校1年生の俺は怪しい老人と出会う。「これは勘じゃが、お主……勉強が苦手じゃな？」 そう言うと老人は俺に第六感を鍛える方法を伝授し去っていった。…

家の鍵から金庫まで、あらゆる物を開錠出来る万能鍵。ただし使えるのはたった一度だけ。貴方もお一ついかがですか？

僕たちはいつも一緒だった。ステージの上でも、移動の時も、帰る家も。だからボロボロのお前を見た時、コンビを解散することを決めた。(KAC2022 四回目お題　お笑い/コメディ)

入学式の日、可憐で愛らしい彼女に私は初めて恋をした。だから、彼女に好きな人が出来たと聞いた時、その初恋が実らないことを悟った。

88歳の誕生日を迎えた私は、米寿のお祝い直前になって逃げ出してしまう。街のショーウィンドウに映る自分を見た時、あなたはその姿を誇りに思えますか？(KAC2022 五回目お題　88…

深夜、いつもこの時間帯にコンビニを訪れる男に私は恋していた。「焼き鳥、一つ」それが、私と彼が交わす唯一の会話だった。(KAC2022 6回目お題　焼き鳥が登場する物語)

小学校6年生の冬、ヒロは親の都合で引越しを余儀なくされる。友達のユウキと別れるのが辛いヒロは、引越し前日までその事実をユウキに告げる事が出来ずにいた。冬休み最終日、ユウキに引越し…

私は、気がついたら病院にいた。事故で一時的に記憶を失った私の前にいたのは、両親、友達、そして見知らぬ男性だった。毎朝一番にお見舞いに来る彼と喋るうちに、私は彼の記憶を少しづつ、取…

猫のイッチは今日も部屋でダラダラ。ご主人はテレワークで大忙し。そんなご主人を見かねたイッチはある慣用句を思い出す。せや！猫の手貸したろ！！

深夜、自室で眠る男は隣の部屋から聞こえる絶叫で目を覚ました。気にせずもう一眠りしようとしたところで突然、家のインターホンが鳴らされる。非常識さに腹を立てた男はそれを無視し二度寝し…

夏休み、友達の家に行った俺は机に置かれた日記に気がつく。宿題の参考にしようと思った俺は興味本位でそれを覗いてしまった。(KAC2022 11回目お題　日記) 追記:他者の差別や…

ある日、会社で新たに開発されたスマートウォッチ専用アプリ「見えるストレス」のモニターに抜擢された僕は、なるべくストレスを減らそうと様々な行動を試していく。

気がついたら、私のそばにはあなたがいた。だからずっとあなたを見つめていた。これは、近くて遠いあなたに触れた、最初で最後の物語。

僕のクラスでは今、心理テストが流行っている。ある日、隣の席の才川が友達といつもとは一風変わったテストをしているのを、僕は横で聞いていた。そのテストとはサイコパス診断テスト。 思え…

作者不詳のアプリゲーム、“インスタントディテクティブ”。これは、たった3分で終わってしまうこの推理ゲームをやり込み、研究し尽くしたとある一人の男の話

小学生の時、ふざけて学校の屋上で遊んで、落ちて。それが私が幽霊になる前の最後の記憶だった。私にいつも花を持ってきてくれる同級生の男の子への、温かいこの気持ちの答えを知った時、止ま…

ある日の放課後、下駄箱を開けるとそこには一通の手紙が入っていた。中身はなんとラブレター、ただし差出人のところは何故か数字で書かれていた。僕はこの一世一代のチャンスを逃すまいと、貯…

厳しい親のもとで育ち、小さい頃からピアノを叩き込まれてきた僕は、ある日のコンクールを境に声が出なくなってしまう。学校や家、どこにいてもコミュニケーションの取れない僕が安らげる場所…

手術前日、その不安から深夜に目が覚めた僕はこっそり病室を抜け出しトイレへと向かう。その一番奥、左側の個室に、お爺さんは陣取っていた。

朝起きて、いつものように家を出た僕は、玄関先で見知らぬ少女と出会う。その瞬間、気がつけば僕はまたベッドの上にいた。 「目覚めてから繰り返される五分間で、全てを思い出せ」 突如表れ…

いつものように帰宅し、夫の帰りを待たずに薬を飲んで就寝した私は、気がついたら死んでいた…… 死因はストーブの消し忘れによる火事。周りは不幸な事故だと決めつける。しかし私はストーブ…

居酒屋でアルバイトを始めた大学2年生の私は、たまたま客として来た高校時代の先生とばったり再会した。あの日と変わらぬタバコの香り。それは初恋の香りであり、燻る恋心の副産物だった。

ミチはいつも僕の手を引いていろんなところに連れていってくれる。僕には見えないけれど、ミチにはいつも何かが見えている。

空に浮かぶ月を眺めていると、ふとあなたの顔を思い出す。 だから私は、愛しいあなたを忘れないように、いつもその夜空をキャンバスに切り取ってしまうのだ。

俺はたった今思い出した。俺の前世が勇者であったことを。たくさんの化け物を倒して人々に崇め奉られていたことを。 なのに今の俺はどうだ？　上司には媚びへつらい、部下には舐められ、肉体…

ここは閉じられた狭い世界。僕らが生きていくために必要な食料は全てトンネルの中に溜まっていく。だから僕らは、今日も生き延びるために、そして世界の出口を探すために、危険だと知りつつも…

獄中の男に私は問う。 「最後の晩餐は何が良いか？」と。 男はただ項垂れて「コーヒー」とだけ呟いた。

度重なる科学の発展。それはやがて雲という副産物を生み出し、大気汚染によって地球は空の光を失った。 そこで人々は、各主要都市に置かれたAI搭載型空気清浄機に一縷の望みを託して、快適…

待ちに待った小学校の夏休み。僕と妹は、宿題である自由研究の題材を探している真っ最中だった。そんな中で妹が題材に選んだのは、なんと空から降ってきた一匹のおたまじゃくし。妹は、嬉しそ…

高校を卒業してから約一年、久しぶりに会った友人は、相変わらず少食で、おしゃべりで……だけど、どこか元気がない。 聞けば彼女は、遠距離となった彼氏とどうにも上手くいっていないのだと…

男は、読書やテレビで時間を潰してばかりの、うだつの上がらない独身ニート。そんな男の唯一の取り柄は、物語の途中でそのオチに気がつくことが出来るというものだった。 ある日、母の職場で…

パソコン研究会の部長として朝も夜もブルーライトに向き合ってきた俺は、常に寝不足の不眠症となってしまっていた。そんな俺を見かねたお節介な後輩は、とある提案を俺に持ちかける。 「実は…

上京して二年。二十歳になった僕は、高校の同窓会へ赴くため、久しぶりに地元「岡山」へと帰省する。 華々しい大学生活を送るかつての級友たちに劣等感を覚えつつ、一人寂しく飲んでいた僕に…

長年目が見えなかった私は、その治療のため、しばらく入院することとなる。そこで出会った、名前も顔も知らない君の口から溢れた美しい景色に、私は一瞬で心を奪われてしまった。

彼女と出会ったのは、大学の先輩に誘われた合コンがきっかけだった。文学部に通い、気まぐれに言葉を紡ぎながら純文学作家を志す一つ年上の彼女。誘われるまま一夜を共にしたその日から付き合…

朝、病院に行く途中で、行きつけだった古本屋へ寄って立ち読みしていた僕に突然の便意が襲い来る。しかしその本屋からは、なぜかトイレが綺麗さっぱり消えてなくなっていた。 トイレを探して…

え、妻についてもっと詳しく知りたい？　ははは、あなたも物好きな人ですね。……いいですよ。まあ、少々、長くなってしまうかもしれませんが。

常に注意力散漫で、誰かと話していても関係ないことをぐるぐると考えてしまう癖のある私は、そのせいで友達がなかなか出来ない。 ある日の放課後、いつものように教室で一人思考に耽っている…

真夜中に目が覚めてしまった私はストレス発散のため、コートを羽織り深夜の散歩へと出かけるが、そこで偶然、徘徊する老婆に捕まり、なんと息子だと勘違いされてしまう。 家に連れていけと無…

「狙え！　ラッキーセブン！」 甲子園のマウンドに響くのは、敵を鼓舞する応援席の歓声。 ７回裏、相手の攻撃。なんとしても、このリードを守り抜いてみせる。 ボールを浅く握りしめた相棒…

自己否定に屁理屈。言い訳ばかりで絶対に首を縦には振らない彼女を、どうにかして頷かせたい。

短歌から小説を連想して書くことは可能なのか。リハビリついでに検証していきます

ある日突然開設された異世界耳鼻科には、今日もお客さんがひっきりなしにやってくる。たった一人の従業員かつ医者の女が、医療のいの字すら知らないど素人だったことも知らずに……。 免許と…

元より廃墟好きだった私は、同志のブログに興味を惹かれ、廃村集落となった無人島へと足を踏み入れた。未だ生活感の残る島を気ままに探索していると、砂浜にポツンと放置された古めかしい缶の…

人知れず海に浮かぶ無人島、花幻島。通称「魔法使いの墓場」と呼ばれるその島に辿り着いた男は、自身の魔力に侵され息絶える寸前だった。 そんな彼の目の前に現れたのは、幼く無表情な一人の…

「開始コドンって知ってる？」 ベランダで一人佇む僕に向かって、隣の部屋に住むお姉ちゃんはいつもよくわからない呪文のようなことを言ってくる。 それがなんなのか、聞いたり考えているう…

箱入り娘。担任するクラスの中でそう呼ばれていた女生徒にはとある秘密があった。 家庭訪問をきっかけに、教師である私はその生徒の母親がいわゆる新興宗教に毒されていたことを知る。 入る…