概要
「もう、解散しよか。俺ら」「え、なんで? 今集合したばっかやん」
売れない劇団員をしながらアルバイトで毎日食いつないでいた俺は、バイト先で小学校時代の同級生である三上と再会した。相変わらず明るく、少し抜けているところのある三上と俺はすぐに打ち解け、シフトが被ることも段々と多くなっていった。
ある日、劇団活動の一環としてチラシを配っていたところを三上に目撃され、俺は咄嗟に余っていたチケットを渡してしまった。その日の公演後、いつものようにバイトへ向かう俺の前に現れた三上はとんでもないことを言い出した。
「あのさ! 僕とお笑いやってくれへん?」
これが今からおよそ二十年前のこと。俺とお前のコンビ結成の瞬間や。
舞台の上でぼーっと客席を眺めていた三上は、俺の方を向いて照れくさそうに笑う。
「ごめん、全然聞いてへんかった。もっかい言って?」
数年前から、三上の記
ある日、劇団活動の一環としてチラシを配っていたところを三上に目撃され、俺は咄嗟に余っていたチケットを渡してしまった。その日の公演後、いつものようにバイトへ向かう俺の前に現れた三上はとんでもないことを言い出した。
「あのさ! 僕とお笑いやってくれへん?」
これが今からおよそ二十年前のこと。俺とお前のコンビ結成の瞬間や。
舞台の上でぼーっと客席を眺めていた三上は、俺の方を向いて照れくさそうに笑う。
「ごめん、全然聞いてへんかった。もっかい言って?」
数年前から、三上の記