「笛」を含む小説

買い物帰りに通る道にはいつも笛の音が響いていた。

　はやく帰って休みたい。 　しかし、同時に帰りたくないとも思う。 　帰ればまた、あっという間に時間が過ぎ、明日がくる。 　はやく帰りたいけれど、もう帰りたくない。 　いっそ、この…

硫黄の月の諍いを受け、広大な鉄野を統治する獣人の帝国がスケルトンの逗留地である笛啼きの峡谷に三千の軍勢を差し向けた。 獣相のものどもの古き王、大酋長天歩荷の首を求め、スケルトン戦…

ハーメルンの子ども達、どうなったのでしょう【読切短編】274文字

いくつもの国に分かれた、臥竜列島（がりょうれっとう）。一国の役人の息子として生まれた皓夜（こうや）は、笛を吹きながらひとり旅をしている。旅の途中、大国に攻められ滅びたばかりの国を…

無役で部屋住みの青年武士『庄二郎』。参加を許された旅で起こった悲劇を背負い、単身で所領の地へと向かう。 出会う人々との心の交流を武器に、武士の常識を覆す奇想天外な思考で問題解決に…

霧島明日香はフルートの名手として有名だが、家族と二人の親友だけが知っている秘密があった。それは、自分の持っているフルートが自然の力を借りることの出来る精霊の笛だという事と17歳で…

1284年高名な異端審問官ベルナール・ギーはドイツの小都市ハーメルンの住人五十名を異端と断じ処刑する。処刑された異端者には百三十人の子どもがいた。聖パウロとヨハネの祭りの日、ギー…

ある日、少年は、場違いなものを耳にした。 外れた音階、割れた音。お世辞にも上手いとは言えない。 しかし少年は、その音に惹きつけられるように、音のもとへ向かった…… 鬱展開があり…

ふえ吹き男はひとりきりでした。 だけど、そんな男と仲良くしてくれる人がいて、男はひとりではない喜びを知りました。 そして、今、また男はひとりきりです。 ※小説家になろうにも投稿…

　銃刀法が改正され、誰でも拳銃を所持しうる日本。 　配信を生業とする女子高生、笛波ヒナワはある日、廃工場に潜伏した男によって追い詰められる。違法に短機関銃を確保した男に対し、少女…

全八話 犬族のケン、羆族のユウ、猫族のタビは、いなり様から「願いを叶える機会」を与えられ、かつて皆で遊んだ秘密基地へと子供の姿で戻る。そこでは十五年前の『ヒト族女児神隠し事件』で…

少年タカシは森で古びた笛を見つけ、アリたちを呼ぶ不思議な音色に魅了される。アリたちの声を聴きながら笛を吹くことで、悪い考えを抱える者たちの誘惑に屈してしまう。友人ユキの助けを受け…

主人公ラウラは、姉と一緒に入江のある湖に行き、水晶質のきれいな石を見つけた。そのうち笛のような音が鳴り始め、入江から人々が去っていく。 ラウラはその音を聞いて、笛が「泣いている」…

魔物と戦い町を守る一人の魔法少女、ミルキー・セイナ。幼い頃彼女に助けられた霜笛愛莉は、高校の入学式でセイナとそっくりな担任、星河夕七と出会う。憧れのセイナに似た女性と出会い大興奮…

龍神の神気によってあやかしの住まう地とは隔てられた霧ノ国。桔花はそこで花楽師を生業とする少女だった。しかしある日、伝説の鬼姫とよく似た見た目を理由に牢へと入れられてしまう。この先…

とある時代の、とある場所。 何気ない世界の……けれど、誰かにとっては特別な場所で紡がれる、五つの物語。 ・彼女の名前 月に一度だけ出会う“彼女”と、自分でも気づいていない密か…

この村では、鎮守の神様を祀る祭りが今日はめでたい日として迎えられている。朝から聞こえる笛と太鼓の音色が響き渡り、村人たちは心躍らせている。