「フィルム」を含む小説

わたしが見つけた８mmフィルムに残されていた映像は、若かった頃の母が撮ったものだった。

「未来を予言する」能力を持つ「加小里(かおり）」は顔の右半分を常に仮面で覆っている。そんな加小里のところには毎日ように未来を知りたい人間が鑑定を受けにやってくる。未来を的確に当て…

昭和31年、春。檜家の騒動の後、檜惣時郎と二十七代現一狼、それに、惣時郎の親友、葭原水貴は、伊勢参りに出かけていた。水貴は貴重なカラーフィルムに、これだという一瞬を留めようとする…

静かな図書室で出会ったのは、1つ年上の先輩・三池唯菜。 映画部の話をする彼女の笑顔は、佐藤悠斗の胸に小さな火を灯した。 少しずつ紡がれていく二人の会話、映画を通じて広がる新しい世…

あるバンドマンが語る、愛の終わりについて。

　朝の台所で繰り広げられる納豆のタレ袋との格闘は、一見すれば些細な光景にすぎない。 しかし、その薄いフィルムと強靭な粘り気は、両手を使っても容易に屈しない強敵として立ちはだかる。…

鑑賞記録。

大好きだった母が死んだ。 シングルマザーでカメラマンだった母は いつも家におらず、何処かへ写真を撮りに 出かけていた。そんな母が死後残したものは たった1つ、母が大事に使っていた…

　高校二年生の夏、太陽のように眩しい石川陽菜。生きる世界が違う彼女が、突然声をかけてきた。石川陽菜は自他ともに認める美少女で、明るくリーダーシップのある性格からクラスの中心人物。…

もし、あなたの過去、現在、そして未来が同時に起きていたとしたら？もし、あなたの人生のすべての瞬間が、一コマ一コマ、すでにあなたの存在というフィルムに焼き付けられていたとしたら？…

某所にメモしていた映画の感想を加筆、修正にて転載。 せっかくなので創作論とも絡めて、ほぼネタバレなしで書き進めています。 映画好きさんも、創作好きさんも、興味がないゆえにお試しの…

最近、やたらとあの頃の事を思い出す。

地方の高校を舞台に、二年生の瀬尾瑛士と有坂千紗は文化祭に向けた映像作品制作に挑む。平凡な日常、バラバラな価値観、協力に消極的な同級生たち——そこには一瞬で過ぎ去る青春の断片が散り…

日常の中でふと感じたことを記録するエッセイ集です。

　写真家のわたしはその日、カメラのフィルムを現像していた。自分で撮った写真ではない。学生時代の友人――久世の遺品として、預かったフィルムだ。久世はわたしにカメラを教えた師匠であり…

Nina Hagenの『カラーフィルムを忘れたのね』を小説にしてみました。 村上春樹の『風の歌を聴け』に憧れて書いた作品です。 村上春樹っぽさを感じていただけるとうれしいです。

遺伝子研究の実験体として遺伝子研究特化型サンプルにされた宗方ひなたは、自身の能力を持て余しながら、他者を避ける日々を送っていた。自分の能力が誰かを傷つける、それが怖くてただコワく…

滞在したことのない都道府県は残り１県！ 元大手旅行会社社員が独断と偏見で紹介する旅のエッセイ・連載版に切り替えました！ 「瞳のシャッター　心のフィルム」は、ベテラン添乗員さんが…

「部活が廃部になりそうなんだ！力を貸してほしい！！」 そんなよくある一言から全ては始まったのだった 映像研究会ことエイケンに所属していた主人公、禊萩蓮は友達であり作家である伊…