「ファンタジー 純文学」を含む小説

※「小説家になろう」さまにも掲載中

上品な言葉を使えば、「ひとりよがり」である。 若者に向けてファンタジー作品を提供する場で、こんなくだらない短編を投稿するのはどうかしていると、自分でも思わなくはない。 しかし投稿…

親からの電話、その先にはもう一人の私が居た。 超常現象、妖怪、UMA、それらは日常の隙間を埋める。 いつから居たのか、いつまでいるのか、なぜ正体がわからないのか。 きっと彼…

　都内に出勤したまま戻らない妻を探しに多摩川を渡ろうとするが橋は封鎖されていた。侵入すると橋の上で暮らすつもりか、と尋ねられる。そうではなく妻を探しているのだ、と答えると、矢印屋…

　あなた、さては旅のお人でしょう。 　わたしを見て「ああ！　足だけが歩いている！　化け物だ！」と、わめき散らすような失礼な方は、ここにはおりませんから。 　そうです。まずは落ち着…

――その花は、きっとあなたの中にも眠っている。ただそっと、いつか訪れる目覚めの時を待つように。 智佳(ともか)は親友のみなみと楽しく日々を過ごしていた。 しかし、或る日教育実習生…

世界から雨が消えた。 その世界で私の父親は傘屋をしている。

妻が勝手に結んだ悪魔との契約で、数時間後に自らが犠牲になることを知った吉岡さん。愛する家族に裏切られ、空っぽのまま消えていく彼は最後に何を思うのか……。ファンタジーと純文学的要素…

「僕」は、命を落とす者の最期の瞬間の言葉を理解できる能力を持つ。人間、動物、あるいは植物までも。生きた事実のある者たちの言葉は息絶える瞬間、彼の内側へと伝播し、そして彼自身の脳内…

寂しくてたまらない少年が、痩せ細った猫を拾って家に連れ帰り、恩返ししてもらう。それは「ずっとそばにいてよ」という願いを叶えることだった。いつか、猫のほうが先に命が尽きるのだと知り…

ノンジャンルの短編集です。ほろ苦ファンタジーやヒューマンドラマを掛け合わせた作品が中心。ご賞味あれ。

人生に行き詰まった男が、故郷で死と向き合う話。 三題噺。 「一夜だけ流れる川」 「夕暮れに魂を捕らわれる」 「田舎天狗」

「夜明けを連れてきて、夕暮れ前に立ち止まります。 三人の兄弟がばらばらに散らばって、宝石の六本の角がテーブルの三辺にはめ込まれていました。 真ん中のコップにはお酒がいっぱいで、誰…

主人公の神崎美麗はある日を境に不登校気味になる。 駅のホームで学校に行きたくないと切に願った時、周りの人々の動きが止まり、1台の列車がやってくる。行先は『雲』＿＿。 『雲』の世界…

あの人は顔を忘れて帰ってきた。盗まれたことに気がついてもいない。 あなたを癒してくれるのは寝る前の一杯のカモミールティーだけだったが、耐えがたくなると飛ぶ練習をするために屋上に上…

2度目の洪水から復興し、早数千年。もはやその洪水というものは誰も疑いやしない神話となり、人々の行動規範の根底となった。 ただ、まさかセンティコアとイクチは自分の生きている間に3回…

陽国有数の財閥である市原家の次男・武雄の冷え切った心を溶かしたのは、使用人のアキラだった。アキラは数十年前に世界大戦を起こしたゼンビア国の出身で、常にその罪を被ったようなほの暗い…