暗黒の証人

第1話

何が真実で何が偽りかはわかりません時々私はいつも考えます:この世界は私達が見ているようなものですか?この世のすべては、実在するものなのか、でたらめなのか。

物理学を勉強して光の二象性を知っていれば、人が見ていないときに光が変化するのはなぜなのか疑問に思うでしょう。これはあまり適切な例ではありませんが私の考えを十分に説明しています私たちが生きている世界は日々変わります。戦争、疫病、飢饉、平和……美しくて、そんなに美しくなくて、永久にずっとずっと絶えず変化して、時には私は思わず思考します:結局何が真実なのです。何が偽りなのでしょうか……

でも、それは言いたいことじゃなくて、言いたいことは違うんです……

夜の街を一人の男が歩いていました。もう日が暮れていました。今日はその年の最後の日で、あと数分で新しい年がやってきます。その男はトレンチコートを着て、シルクハットをかぶっていました。痩身で、高い襟が顔をかくしています。普通の人はこの男が少し青白いだけで顔がよく見えません。彼はとても静かで、歩く時もほとんど物音を立てませんでした。

その男の手には、黒檀でできた、黒いマナウ石がついたステッキが握られていました。若い男の手にすると、少し古くさいステッキでしたが、そのことについては、あまり気にしていませんでした。彼は静かに歩いて、この町の路地を横切って行きました。彼は今夜見つけなければならない獲物を探すのです相手が自分の存在に気づいていることはわかっていたので、余計なことをしないように、急がなければなりませんでした。

この男は名前はありませんがロレンスと名乗っていますなぜそう呼ばれたかというと、ロレンスという兵士を知っていたからだそうです。このような黒い雪の夜に、兵士の名前は確かに「残忍」の2文字を想像させるかもしれません。

ロレンスと呼ばれたその男は、延々と続く路地の先まで進んでいきました。そこには大きな屋敷がありました。妙な話ですが、こんな屋敷がこの町では目立つはずです。しかし、これまでのところ、この城の中では、目の前の男以外に、その存在に気づいた者はいないようです。その男は屋敷の門をたたいて、「コンコンコン」と三回言いました。

三つのノックの音が、屋敷の中に三回こだまして、それから、ゆっくりと、ドアがひらいたのです。

名前のない男が部屋へはいっていくと、真っ暗だった広間に、ぽつぽつと明かりがつきました。後ろのドアは閉まり、家の主人は訪問者を待っていました。

「あなたの命を奪うために、今日ここへ来たのです」男は単刀直入に言いました。部屋の中では何も答えませんでしたが、次の瞬間、四方から飛んできた矢がすべてを答えたように見えました。その日の夜、誰もが大きな音を聞き、その音で街のほとんどの人が目を覚ました。しかし残念ながら、その音の出所がどこなのかは、誰にもわかりません。

翌朝になると、初雪が町を白く染め上げました。しかし、その一面の白い中に、血のようなものがあるのを、誰も見ていません。

ロレンスという男が、大晦日の夜に町の「有名人」の名前を取ったのです。この死んだ人にも名前はありませんが、自分のことをエドガーと呼んでいます。

夜明けの光が街の隅々にまで降り注ぎ、ロレンスは背を向け、隠れることのできる光の中に入っていきました。日光の下では,何も目新しいことはありません。

夜明けとたそがれ、なんと似ています……